35マモ マ王の国民の物はマ王のもの
『共有できるの?』
『はい。マ王の専用スキル『マ王の政』は、こんな感じです』
『マ王の政:国民の中で1名のスキルとステータスボードを共有できる。切り替えるにはクールタイムが1日必要』
俺の問いにレイが教えてくれるが、恐るべき能力だった。いや、これが普通のスキル共有なら強いけど枠から外れた存在にはならない。
でも、ルーもリリーも違うシステムの元にいるのだ。俺はマーモット総統にもなれるし、ダンジョンマスターにもこのスキルを使えばなれる。何人ものスキル持ちよりも、違うシステムのマーモットが集まった方が脅威だ。例えると、ド◯クエとファミコンウォ◯ズやマインクラ◯トをダークソウ◯のゲームで使えるようなもので、チートすぎるといえよう。ゲームとして成り立たないとのツッコミはなしだ。ファミ◯ンウォーズは古すぎるだろとのツッコミもなしでお願いします。
『ルシフェルやリリスでは、スキルの持ち腐れとなるとも考えられたので、ちょうど良いスキルと言えるでしょう。経験値一万を消費しマ王専用固有スキル『マ王の政』を取得しました』
『回し車や隅っこに負けると言いたいんだろうけど、マーモットにとっては優先順位は間違ってないよ』
『そうでした。プレイヤーと会話をする時はデブリスだと意識しているのですが、お酒を飲んだり漫画を読みながら会話をしていると不思議とデブリスだと忘れるんですよね』
人間ならアホな奴と一笑されるだろうけど、マーモットなら正しい選択なので馬鹿にされる謂れはないよ。あと、AIアシスタントの後半のセリフは聞かなかったことにしておきます。
人間とは価値観が違うのさとクールにピピピと鳴いて、ルシフェルのステータスボードを共有する。
たしかにルーたちにステータスボードを任せても扱いきれない。ならばマ王として有効活用してやろう!
「MAレベルアップ! 誰が何と言おうと、MAはロマン武器だとしても、レベル上げなくてもクリアできるからと言われようとも、俺は使うからね!」
ピピピと、ルーの経験値を勝手に消費! うはは、ロマン溢れるスキルだぜ、後は俺に任せてルーは走ってて。
『MAレベルは基礎スキル以上には上げられません』
駄目でした。まもーん。
「なんだよ、結局のところ基礎スキルを上げないとだめなのね。そんじゃ、基礎スキルレベルアップ。……んと、そして、『マモベース』を開発」
基礎スキルをギュイーンとレベルアップすると、ピコンと開発リストが更新される。シルエットのみだけど、戦艦っぽいのでがっかりするふりをしてワクワクのマーモットです。
『マモベース:地上戦艦を開発します。MA艦載の初のマ軍の戦艦として、装甲を厚くして火力を低くした輸送用を開発する』
『マモコプター:マーモット型ヘリコプタードローン。小型化をして戦闘よりも偵察任務を重点に開発する』
経験値2000也。そして、マモコプターもついでに開発。マモコプターはシルエットからして、ドローンの上にマーモットのぬいぐるみが乗せてあるだけに見えるけど、開発リストに載った機体は全て開発するのが俺のポリシーなので使えなくても気にしない。経験値を貯めて、必要な機体だけ開発すれば良いじゃんと言われるかもだけど、コレクター魂がピギーと叫ぶのだ。これは経験値1000で開発可能らしい。
ルー、ごめんね。全部経験値を使っちゃったけど、回し車にしばらく夢中になってるだろうから気にしないよね?
他人から預かったお金を横領するのに自己欺瞞をする横領犯のような思考をしながら、俺は『開発まで2日』と表示されたログを見てウンウンと頷く。やっぱり開発期間はあったのか。それじゃ開発が終わるまでは━━。
「俺も回し車やる〜。ルー、一緒に走ろうよ」
マーモットルームへと俺もテテテテテテと向かうのだった。回し車を俺も使いたいんだもん。
◇
━━2日後。
「どうやら開発は終了したね。ルー、確認する?」
ルーのステータスボードには、マモコプターとマモベースの開発が終了したと燦然と輝いている。再発した機体を見る楽しみはさすがにルーに譲らないとねと、俺は優しいマーモットだよと、ソワソワと身体を揺らしながら尋ねる。
「ふっ、天才たる僕は風になっているんです。そんな物を見ている暇はないので、お任せします」
だめだった。回し車に夢中で全く興味はなく、懸命に回し車の中で走っている。高ステータスのマーモットが回す回し車は触れたら削れそうに速いのでドン引きである。
クールに走るルーを諦めて、俺は開発を終了させる。このワクワク感は、キラキラのビックリマ◯シールが入っているかなと、チョコレートの袋を開く感じに近いね。
マモコプター 経験値300
3機編成
耐久力:2
戦闘力:1
『偵察用飛行ドローン。武装はなく可愛さを追求するため、マーモットのぬいぐるみを取り付けた』
出てきたのは四角にプロペラの付いているオーソドックスなドローンだった。ただ、中心に手乗りサイズのマーモットのぬいぐるみがちょこんと置かれているし、その横には操作用のタブレットがある。うん、なぜにマーモットを乗せるのか? MDだからとの言い訳ができるようにかな?
「うわぁ、かーいいね。ニニーの新しい家族しゃん、こっちでしゅよ〜」
そして、幼女がドローンからマーモットのぬいぐるみをベリッと剥がして、満面の笑顔で応接室のソファにぬいぐるみを並べる。その隣にあるのは、マモタンクのぬいぐるみじゃないかな? 分解してキャタピラと砲を外しちゃったのね。
「あ~い、この子の名前はラベンダーしゃんでしゅよ〜、朝顔しゃん、新しい家族にこんにちわでしゅよ、こんにちわ〜」
もう名前をつけたようで、もう一体のぬいぐるみへと頭を下げさせておままごとを始めるニニー。これは取り返すと泣かれそうだから諦めるしかないな。
「まぁ、一機あれば良いかな。全滅しないように一機はしまっとこ。そうすれば魔力で自動回復するようだし」
ゲームと違って、全機で行動しなければならないという制約はない。なので一機は応接室にしまっとく。せこいと言うなかれ、これらは経験値を消費して生産しなければならないのだ。それなら開発終了時にもらえる試作品だけでしばらくは活動するよ。
「なぁなぁ、操作してみて良いか? なんか面白そうだし。どこに電源あるんだろ、これかな?」
意外なことにガブが興味津々でタブレットを触ろうとするが、マーモットの小さなお手々では掴むことができないので、テーブルに置いて自身もテーブルにちょこんと乗って、ツンツンとタブレットをつつく。
「ドローンの操作ってどうやるのかなぁ。俺も使ったことがないし分かんない」
マーモットがドローンを操作した経験がある方が不思議である。
「でも説明書があるんじゃないかな。ウェブで閲覧するタイプでは無さそうだし」
ネットがないので、ウェブでマニュアルを見ることはないだろうとキョロキョロと探す。
「なにを探してるの、まーくん?」
モッシャモッシャ
「うん、説明書を探してるんだ。知識が頭に自動でインストールされるようじゃないみたいだし、どこかに紙の説明書が置いてない?」
「うーん、そんなのあるの? 見当たらないよぉ?」
ガサガサガサガサ
ミカも巣作りをしながら探してくれるけど、どこにもない。どこにもない……。
口にいっぱいに咥えた紙くずをせっせと巣に運びながら、ミカも探してくれるけど、見当たらない。うん、見当たらない。
「見当たらないじゃないよね!? その紙くずはどこから持ってきたの?」
「ここらへんにたくさんあったんだよ。ミカえらいでしょ〜、ほら、巣がフカフカになったよぉ」
大量の紙くずを敷き終わったミカがコロンと寝っ転がると、幸せそうに目を瞑り寝始める。たしかに寝心地抜群の巣作りになったようで、俺も横で寝たいよ。
どうやら説明書は全て紙くずに変えられた模様。高ステータスの噛みちぎりは、一瞬で分厚い説明書を紙くずに変えられるパワーを持っていた。
「どうするの!? 3冊全部紙くずにしたら、もう分かんないよ? 新しい説明書を作るには、新たに生産しないといけないし」
「こういうのは困った時に説明書を見れば良いんだ。でさ、困ったんだけどどうすれば良いと思う?」
真っ二つに割れたタブレットを掴んで、ガブがお鼻をヒクヒクさせる。どうやら、マーモットパワーが炸裂してしまった模様。しかも爪でつついたからか、液晶が穴だらけだ。まるで猛獣に襲われたかにしか見えない。
うん、だめだこりゃ。残りのタブレットは触らないでね?
『アミ〜、ドローンの操作できる?』
仲マに期待するのは諦めて、頼りになる人にお願いすることにする。やはりこういう機械を操るのは、人間タイプに頼るしかないよ。
アミは既にタブレットの電源を入れていて、ポチポチと画面をタップしており、ドローンのプロペラを回転させていた。なんと、早くも起動できた模様なので、驚きだ。頼りになるのはアミだけだよと、よじよじとアミの肩に登ってお願いする。
「そうでありますね、このドローンの使い方は単純なようですが、やはり空を飛ぶ機械を操作するのは難しいであります」
ドローンを浮かしながら、アミは難しそうな顔をする。フラフラと浮いており、少し操作性が悪そうで頼りない。でも、これこそがヘリコプターの操作性だ。
『ヘリはゲームでも難しかったしね』
ゲームでヘリを使うと、上昇するのも下降するのも旋回するのも大変だった。大体その場をウロウロするだけで敵に撃墜された覚えがあるよ。
「ある程度はオートにして、目的地に到着したら、マニュアルにするのがよいかもでありますね。それなら必要最低限の操作で終えることができます」
「ふむふむ。さすがはアミ、アミにドローンの操作は任せれば良いか。それとガブはタブレットから離れるように」
アミの肩によじ登り、自分もタブレットを操作させてと、爪を伸ばすマーモットを引き離しておく。テレキネシスでぶらーんと浮いているガブは放置して、次はいよいよ本日のメインディッシュだ。
「よし! それじゃ、マモベースを呼び出すから今度は外に行こう!」
戦艦というのだから巨大なはず。俺は意気揚々とテンションを上げて外に向かうのだった。
アミ以外は寒いからと誰もついてこなかったので寂しかったのは内緒だよ。
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