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異世界でマーモットの王となりました  作者: バッド
1章 俺たちマーモット

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25/51

25マモ 聖者にしてはエグすぎる

「ガーブッ!」


 焦った俺は手を伸ばすが、元々マーモットの手は短いので全然届かなかった。


 ちっこい小動物が突如として床に現れた大口の中に吸い込まれる。マーモットどころか、人間すらも一口で喰えるだろう化け物にガブは一口で食べられてしまう。


 パクリ。ゴクン。


「ふん、へんてこなマーモットだったが、それも私の手にかかればこんなものだ。さて、切り札を喪った君に聖者の力を見せてやろう」


 哄笑して巨腕を構える浦木。予想以上に強い。もっとやられ役的な強さだと思ったのに、やられ役はマーモットだったのかも。


(まさかのワールドスキルとかか? レイ、奴を『理解』だ!)


『人の負の感情を喰い、己の身体にエネルギーとして溜めることができる。そのエネルギーは力へと変換して様々な攻撃に使える。ワールドスキル『聖者』を持つ人間。聖邪因と名付けました!』


『名付けのどこに聖者らしいところがあるの?

邪悪なところは目の前のアイツを見ればわかるけどさ?』


『それは内緒です。分かった時に私のハイセンスなネーミングに四肢を投げうち感動するでしょう。ふふふ、レイ教を作っても良いのですよ?』


『マーモットには難しいかもね』


 レイからの返答を聞いて、聖邪因に構える。ワールドスキルとか世界唯一のスキル多すぎない? これだから日本人は困るんだよ。異世界転移したらみ~んなチートスキルを持つんだから。


「もう一匹も先ほどのマーモットのように強いのか? だがこの聖者には敵うまいよ」


「はっ、どうだかな。試してみろよ、聖邪因とやら。アミ、後ろに下がってろ、俺がガブの仇を討つ!」


「了解であります。ご武運をお祈り致します」


 嘲笑う浦木へと半身となって、手を構える。2本足で立ち、半身になってちょこんと手を構えるマーモット、生成AIと思われてもおかしくないキュートな姿だ。


「ガブ、俺の戦いを見守っててくれ」


 空のお星様になってしまったガブへと誓い戦いを始めようと━━。


がりごり


「いて」


がりごりがりごり


「いてて」


がりごりがりごりバキッ


ペッ


ポヨンポヨンまもん


「かった! こいつかった! メタルスライムかよ、こんなん食べてられないわ。牙折れたわ!」


 大口からガブは吐き出されました。大口の牙が折れており、文句を言うと大口は消えていった。


 うん、なんとなくわかっていた。わかっていたよ、こんなオチ。


「な!? 私の断末魔の大口が食べられないだと? トラックでもスクラップにできる強靭な牙なんだぞ? 貴様、本当にマーモットか!?」

 

 必殺の一撃で自信があったのだろう。それがマーモットが傷一つなく吐き出されて、あまつさえ牙も折られて、浦木は目を剥いて驚いていた。


 うん、分かる分かる。俺もガブの硬さには驚くというか、呆れてるしね。


「へっ、俺様は最強だって言っただろ? 仲間たちを守るためにも常に最強を目指せとAIアシスタントも教えてくれるしな! マーリン、こいつは俺様が倒すから手出しするなよ?」


「はぁぃ。それじゃ任せるよ」


 不敵な笑みを浮かべて、ガブが構え直す。


「舐めた真似を! 聖者として小動物如きに必殺の権能が破られたと沽券に関わります! お前はここで死ねぇ!」


 マーモットを倒せなかったのがよほど悔しかったのだろう。浦木は力を込めると、その体が膨れ上がっていく。


 その体は4メートルと超えて、鉛色の肌に代わり、浮き出た血管が蠢動し筋肉ははち切れんばかりだ。


『絶望の肉体』


「これが私の100%だ。貯めたエネルギーを消費するのはもったいないが、これでお前をミンチにしてくれるわっ!」


「はっ、やってみろよ、このガブリエルを本当に倒せると思ってるならな!」


 うわぁ、よくあるセリフとスキルだよと、俺は横にどいて、ガブと浦木の戦闘を見守ることにする。ヤバかったら助けようっと。


「ふんぬっ! オラオラオラオラ」


 浦木がマーモットよりも大きな巨腕を繰り出してくる。まるでマシンガンのように速く強力な連撃。


「テレフォンパンチだな、おっさん!」


 対してガブは冷静に浦木の拳を捌いていく。迫る拳へちょこんとお手々を添えて、最低限の力を込めその軌道を変えてゆく。拳の豪雨はまるで傘に避けられるように軌道をずらされ、虚しく床を叩くのみ。


「こ、こいつ、本当にマーモットか!? 武術をこいつは使っている!」


「悪いが、この程度では俺様に触れることもかなわーねぜ! なぜならば俺様には最強神がついているからな!」


 浦木は攻撃が全て受け流されていくことに驚愕を隠せないようで唇を震わせている。そりゃそうだ、まさかマーモットが武術を使うとは思ってもいなかったに違いない。


「そんなことはない。たまたまだ、きぇぇぇ」


 一歩引くと、浦木はソバットを繰り出す。拳から蹴りにつなげて、ガブの隙を狙うつもりなのだ。


「今度は俺様の力を見せてやる時だな。その目をかっぽじってよく見ろよ!」

 

 だが、ガブはその身体から金色のオーラを吹き出すと、鋼鉄のような浦木の蹴りへ拳を突きだして反対に吹き飛ばす。浦木の丸太のように太い足に比べると、マーモットの手なんか象とアリ程の差があるのに、浦木の足には衝撃が走り、その巨体を仰け反らせたのだ。


「ぐうッ、私の蹴りをあんな小さな前脚で弾くだと!? あんな小さな身体のどこにそんなパワーが!」


「わからねーだろ。これが劇場版ガブリエルのパワーだ! マナを超力に変えるスキル『サイキック』。そしてワールドスキルの天を貫くマーモット、即ち『天マ』だ。うぉぉぉ、フルパワー!」


『サイキック』


『天マ』


 ガブリエルの茶色い毛皮が黄金に染まっていき、その背中から小さな光の翼が生えていく。その神々しさと力は見るだけで分かる凄まじさだ。


「俺様は仲間を守る。そして、誰にも負けない最強を目指す。ギュイーンで世界一になるんだぜ!」 


 力強く言うとガブは床を蹴る。ギュイーン世界一はマーモット界の夢なので仕方ないよね。


 踏み込んだ床に黄金の粒子を残しつつ、ガブは浦木へと高速で迫る。


「黄金色になるだと! ハッタリだ、マーモットだぞ! そんなハッタリに負けるか! ぬぅぅぅん!」


 巨腕にて浦木は殴り飛ばそうとする。体重差を考えれば、ガブはその拳には耐えられない。


「だが、浦木ではガブを倒すことはできないな」


 シャクシャクとキャベツを食べながら、俺は感想を呟く。浦木は体術を知らない。空手も総合格闘技もやったことはないのだろう。見た目通り、普通のサラリーマンで、格闘技とは縁がなかったに違いない。その強力な肉体でゴリ押しで敵を倒してきたのだろう。

 

 対して、こっそりと鍛えていたのか、ガブは鍛えられていた。力だけではない、その武術の腕は浦木では到底及ばないものだ。


「あめーぜっ!」


 鋭角にステップを踏み、ガブは拳を躱していく。そうして風のような速さで、浦木の懐に入り込む。


「これでおしまいだぜ! ガブ様の一撃を食らいなっ!」


 床を蹴って飛び上がると、ガブは右手に力を集めていく。対して浦木はというと━━。


「馬鹿めッ、所詮はマーモット、この私の力が単なる力だけだと思ったか! 切り札は最後まで取っておくものなのだよ!」


『聖なる吐息』


 浦木の身体に縦に亀裂が入ると、その身体が割れる。そこに内臓はなく、ピンク色の肉がねちゃりと姿を現し細かい牙が生えていた。

 

 もう一つ浦木は口を持っていた。それも肉体全部を唇にする悍ましい化け物の口だ。


 口内にヘドロのような色の霧が溜まると、吐き出される。触れたら危険と一目で分かるような吐息だ。飛び上がったガブは予想外の攻撃に回避する事ができずにマトモに受けてしまう。


「この吐息を受けた人間は猛毒により、皆腐り果てて死ぬのだ! 絶対即死の切り札! わかったかね? 聖者と愚物の違いが! ふははは!」


 勝利を確信し哄笑する浦木。『聖者』の力は偉大であり、自分は無敵だと信じていた。


 猛毒の吐息が部屋に充満する。酷く嫌な臭いがして、俺も気持ち悪い。


「へぇ、そうかよ。だが━━このガブリエル様には効かねーみたいだな!」


 猛毒の煙からガブが飛び出してくる。その右手は光輝き莫大なエネルギーを集めていた。


「な!! 人間は皆腐り果てるはずなのに!」

 

「人間は、だろ! 俺様は偉大なる最強のマーモットだあっ! お返しの一撃を食らえ!」


『サイキックブロー』


 右手の周囲の空間が蜃気楼のように歪み、爆発するかのようにガブは一撃を解き放った。その一撃は空間を歪め、途上の全てを破壊する。


「クソっ! こんな馬鹿なことが、馬鹿なことがぁぁっ!」


 慌てて浦木は腕を交差させて防ごうとするが、巨腕すらも放たれた一撃に巻き込まれて、グシャリと潰れていく。光の波を受けて、浦木は徐々に押されていく。


「わ、私はエリートで、聖者で、愚物を顎で使う偉大なニンゲンのはずでぇぇ!」


 遂に両腕が砕かれて、その身体に大穴が開くと、浦木は内部に奔るエネルギーにより粉砕されるのであった。


「へっ、人間がどれだけ偉いかは分からないが、俺様は最強のマーモットなんだぜ」


 床に降り立って、ガブは金色の毛皮を解除すると、自慢げに笑うのであった。


 化け物じみた聖者であるが、マーモットには敵わなかったのである。


「それよりも、いつの間にキャベツ食べてるんだよ! マーリン、そのキャベツ俺様にもくれ!」


「夜中に食べると太るからダメ~」


「寄越せって! 激闘でお腹すいたんだよ。ギュイーン」


「だめだよ、これは俺の! ギュイーン!」


 目敏く俺がキャベツを食べていることに気づき、ガブは俺とギュイーンで争うのだった。キャベツを譲る? マーモットにそんな優しさはありません。


 にしても、ガブは強くなったね。俺たちを守るためなのが嬉しい。仲間を守る心、俺も見習いたい。キャベツはあげないけどね。


 だが、油断したのがいけなかった。俺たちはクエストクリアも出てないのに、ギュイーンで遊んでいたのがいけなかった。


「ボス、まだあいつは死んでいません!」


「なぬっ!?」


 アミの鋭い声に振り向くと、肉体はバラバラになって、唯一形を保っていた頭がモゾモゾと動いていた。


「馬鹿めッ、聖者がこんなところで死ぬわけがないっ! 覚えていろよ、部下を従えてすぐに復讐にやってくるからな!」


『聖者の尻尾切り』


 驚くことに頭から蜘蛛の足が生えると、浦木は頭だけとなって走り去ってしまうのだった。


 ねぇ、レイさん。あいつのどこが聖者なの?


           ◇


名前:ガブリエル

種族:マーモット+1

信仰する神:武神ハルカ

経験値:5000

固有スキル:小動物の加護、進化レベル1、始祖、マ闘士、天マ、サイキック

スキル:ギュイーン(使用済み)、体術レベル1、念話レベル1、土精霊召喚レベル1、デビルアーミーレベル2召喚、複数召喚レベル1、魔力操作レベル1、魔力障壁レベル1、言語読解レベル2


効果

天マ:黄金の毛皮となり、天使の翼が生えて、一時的に全ての効果がパワーアップする。ワールドスキル

サイキック:マナを超力に変えて攻撃できる。ワールドスキル


→『ステータスボードが変更されました』


名前:ガブリエル

種族:マーモット+1

職業:天マ

信仰する神:武神ハルカ

レベル:16

次のレベルアップに必要な経験値:2200

HP167

MP89

ちから:79

たいりょく:96

まもり:534

すばやさ:128

まりょく:71

うんのよさ:8

とくぎ:柳風体、サイキック、サイキックブロー

まほう:土精霊召喚、デビルアーミー召喚、念話、魔法障壁


『表記されないスキルはデフォルトステータスに統合されました』


 本当にたくさんの神様がいるのか不安になってきた? いえいえ、神様は多種多様に存在しています。存在してますからね?


 それと、神様視点では、浦木はピギーピギーと鳴くマーモットに独り言を呟いていたとだけお伝えします。

ルックスY。マガポケで連載中です。見てみて〜。

モブな主人公。マンガボックスにて連載してます!

コンハザがシーモアにて発売中!

1月9日ルックスYの一巻発売してまーす!

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