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異世界でマーモットの王となりました  作者: バッド
1章 俺たちマーモット

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2/10

2マモ マーモットがボスと戦うのは辛い

 齧歯目リス科マーモット属。俺の血筋は分からない。ニホンマーモットかな? 日本にいるかは分からないけど。


 マーモットってどんな動物? と言われれば、50センチくらいの体格のリス科最大の生物だ。黒みのかかった毛皮、リスなので出っ歯のように尖った歯、可愛らしい鼻、そして、ちょっと虚無的なお目々。二本足で立ち、やけに人間くさい行動をとる、小さなおっさんとも言われる、次に来る人気小動物No.1。それがマーモットなのである!


 転生したのでは? との疑問はあれだよ、あれ。炎の鳥が言ってただろ? 輪廻転生で次も人間になるのは稀だって。死んだ仏彫師は人間になれないなんて嫌だぁと悲しんでいたけど、今頃キツツキに転生して鳥生を謳歌してるかもしれん。


 というわけで、俺はマーモットに転生した。このままマーモットカフェで人気者マーモットとして生きていくと思っていたんだけど……どうやら今世のマーモット生はそう簡単にはいかないようだ。


名前:マーリン

種族:マーモット

信仰している神:なし

マナ:12

筋肉11

敏捷18

器用11

魔力10

固有スキル:マ王、小動物の加護

スキル:なし


 懐かしき古典的でテンプレなステータスボードが目の前に浮いていた。どうやらマーモットなのにトングを使って魔物を倒したのが高評価となって、経験値を貰えたらしい。


 俺だって人間の時は異世界転生に憧れていた事があったので、ワクワクしてきたけど、今はマーモットだ。人間よりも遥かに簡単に死ぬ可能性があるので、急いで行動しなくちゃならない。


 まずは固有スキルからだ。そっと空中を爪でつつくと、詳細が表示される。


マ王:マーモットの王。自己及び仲間のマーモットの全ステータスに10加算する

小動物の加護:取得経験値10倍、ステータスボード閲覧と操作。スキル手動取得、スキル効果アップ、無詠唱


「マーモットの王!? え? 俺が? ……マーモット王かぁ、てへへ」


 マーモットの王、略してマ王になっていた。やはり王と名のつくのは浪漫あるし、テレテレとちっこい手をフリフリと振って照れてしまう。でも、その効果なのか、このステータス。効果が付与されてなかったら、ゴミステータスだな……。


 にしても、ヒットポイントの表示がないのは、首を切られたり即死攻撃があると死ぬからかな? そうなると表示なんて意味ないもんな。


「で、次は小動物の加護か……取得経験値10倍はありがちなチート級だけど……ステータスボード閲覧と操作? スキル手動取得? 無詠唱はマーモットは言葉を喋れないからだろうな。にしても、ステータスボード閲覧と操作?」


 ひやりと背筋が冷える。小動物のために強力な加護がついているのは分かる。というか、小動物でステータスボードを閲覧できる奴が俺以外にいる予感がしない。これ、酷い加護だ。小動物がステータスオープンなんて、普通思わないよ!

 

 前世は人間だからこそ、このステータス表示を理解できる。日本語で書いてあるしね! 小動物は一切わからないだろうよ! ということはスキル手動取得も使えない事となる。ステータスボードを閲覧できないからな! そうなると経験値も死ぬしスキル効果アップも意味がない。自動取得のほうが遥かにマシである。小動物にとって、この加護はまったく意味ないよ!


 加護の悪辣さをひしひしと感じつつも、まずはスキル取得だ。なにせ、スライムが出てきたし……それにあいつらを放置できん。


 ちらりと仲間を見ると━━。


「なんか力が強くなった感じするな?」


「ふふふ、たしかに。これなら回し車をもっと回転させられます」


「ねぇねぇ、藁を敷き詰め直すの手伝いなさいよ。もう昼寝しましょ」


「うん。ご飯の時間まで寝よ〜」


 目の前の危機が無くなった仲間たちは、昼寝の準備をしていた。せっせと藁を敷き詰め直して、皆で寝るつもりだ。全ステータスが上がってるのに行動は変わっていなかった。放っておくと、すぐに死んじゃいそう。


「とりあえずスキル取得。……んん?」


『信仰する神によって、取得可能なスキルがかわります。信仰する神を選んでください。一度選択すると原則変更不可です』


 と表示されて画面が遷移する。ふむふむ、神によって取得スキルが変わると。慎重に選ばないといけないな。ゲーム的なシステムで少しワクワクしちゃう。


 そして、ズラッと神々の名前が……。


『適当神ハルカ』


 んん? ページをめくるボタンあるのかな? 

 

 なんか1個しか出てこないので、バグかなとペシペシとステータスボードを叩くけど、何も起きない。しつこく爪でペシペシ叩いてるとログが表示された。


『マーモットに信仰されるのは嫌だと多くの神々が断りました。マーモットは可愛いよねと残ったのだけを選んでください』


「選べないよ!? なんか1人しかいないよ? ぐぬぬ、仕方ないか。マーモットだもんな。可愛いのに……可愛いのに!」


 うぅ、種族差別反対。マーモットに信仰されても良いじゃん!


『適当神ハルカ:全ての神々のスキルを取得可能。ただしそのスキルの効果は70%となる。教義は適当に生きていこう』


 おおっと……予想外に良い神様だ。聞いたことない神様だけど。


「効果が落ちてもマーモットはスキル効果の加護があるから、ペナルティにはなり得ない。いいね、この神様! もしも多くの神々が表示されていたら反対にスルーしてたかも! よし、適当神ハルカ様。マーモット王たるマーリンが貴方を信仰します!」


 もうマ王としてノリノリのマーリンである。へへーと平伏して、お祈りするので、本当にマーモットかと、人間が見たら目を疑うだろう。


『適当神ハルカを信仰することとしました。スキル取得可能です』


 やった。これでスキルをおおぉぉぉ!?


 スキル一覧が表示されたが、大量に表示された。しかもページがあって、その桁が10桁ある! 神々の持つ全スキルとは伊達ではないらしい。


「こんなにあると、なにを取れば良いのかわからないじゃん! ええっと鑑定スキル!」


『そんなスキルはありません。共通認識が違うので結果が変わります』


「あ、そうですか。すいません、はい」

 

 ダメ元で話しかけたら、なんか辛辣な答えが来たよ。AIアシスタント搭載のステータスボードだったか。たしかに『鑑定』は共通認識が無いと不可能だ。マーモットだって、『黄金を掘るアリ』とか呼ばれるしね。人によって名前は違うんだ。


「なら、それに近いスキルをください!」


『経験値一万を消費し、固有スキル理解を取得しました』


『理解:見たものを理解する』


「えぇぇぇ! ちょっと、選択の余地なく取得しないで! せめて考えさせてよ」


 し~ん。


 慌ててキャンセルしようとするけど、ノーコメント。無視である。AIアシスタントに頼ろうとしたのが間違いだった。しかも固有スキルって一万ポイントも使うの!? このスキル役に立つんだろうな!


「通常スキルは千、固有スキルは一万か……。なら次は攻撃スキルを取得しないと詰むぞ。マーモットだし」


 慎重にしないとと、ゴクリと息を呑む。こういうの苦手なんだよ。セーブ画面はないかな? 取得して使えなかったら、ロードするんだけど……。


 たくさんあるので、反対に選択できない優柔不断なマーモット、マーリンである。ウ~ンと悩むけど、時間はマーリンを待っていなかった。


「ピギー! この野郎、またでやがったな!」


 ガブの警告音に似た鳴き声が聞こえてハッと気を取り直す。見ると、新たなるスライムが次々と這い出てきていた。出てくるのは隣の部屋からだ。たしか厨房だったはず。


 マーモットの鳴き声は警笛に似ていて、極めて高音なのだ。その鳴き声を聞いて、他の皆は避難する。でも、その鳴き声に敵は集まってくるんだよね……。


「というか、まった、ガブ。また同じ結果に……」


「オラァ、オラァオラァ! 俺様の歯の力を見せてやるぜ!」


 ぷにょんと包まれると慌てるけど、意外なことに覆われてもガブは力強く跳ね除けてカプリと噛むと、あっさりと核を噛みちぎる。さっきまでの苦戦が嘘のようだ。


「あ、これ美味しいぞ!」


 そして、くるみでも食べるようにカリカリと核を食べ始めちゃう。大きいリスなのでくるみは大好きなのだ。


 その様子を見たルーたちも、震えて隠れていたのが嘘のように、テテテテと走ってくる。


「ふっ、どうやら僕の出番のようですね」


「もぉ~、毛皮が荒れちゃうわ」


「え~い!」


 そして、ルーたちもスライムたちに猛然と襲いかかり核を噛みちぎっていく。マーモット無双だ。これ美味しいとカリカリと食べては、次のスライムに襲いかかっていた。どうやら食べ物だと認識したらしい。


「そういえば、ステータスが十倍になったからか」


 スライムの大きさは直径1メートルくらい。さっきガブは弱いステータスで耐えていたところを見ると、その拘束力は弱いのだろう。スライム最弱とは本当だったようだ。


「というか、俺も核を食べたい! けど一応『理解』発動」


『どうやらスライムを形成している核のようだ。マナの塊のため、食べてもマーモットへの害はないだろう』


 おし! 食べても大丈夫そうだ。理解って鑑定っぽい能力なのね。


 マーモットの虚無の瞳をキランと輝かせて、スライムに突撃。顔を突っ込んで核を噛む。さっきまでの反発がほとんど無いように感じ、核もプチュンと潰せた。カリカリと齧るとたしかにくるみの味がする! 美味しい!


 俺もマーモットとなったのだ。食べ物もマーモットの舌になったんだよ。


 スライムを夢中になって食べてると━━。


「ピギー! なんか嫌な匂いのスライムいるよぅ。隠れよー!」


「隠れるのか!」


「ふっ、急いで巣穴に隠れましょう」


「もぉ~、面倒ねぇ」


 もっとスライムを食べようと、厨房に忍び込んだミカが警告音を出して走り抜けていった。ルーたちはその警告音を聞いて、隅っこに集まりお尻をフリフリ振って、隠れたつもりになってる。……うん、マーモットだからね!


 そして、厨房からは……ヘドロのような臭いがする巨大なスライムが這い出てきた。二メートルはあるだろうか。這った跡の床から煙が出てる。


『悪意とマナが融合し、魔物を生み出すボススライムが生まれたようだ。酸性の粘体を持っている模様。ブラックスライムと名付けました!』


 『理解』が敵の正体をすぐに教えてくれる。けどこれだけ教えてくれるなら、もう鑑定スキルでも良さそうな……。っと、それどころじゃないか。


「えぇぇ、いわゆるボスってやつじゃん! 俺マーモットなんだけど!? とても弱いのに!」


 ジリジリと近づいてくるブラックスライムを前に、両手を掲げて睨みつける。


「ピギー!!!」


 仕方ない。マーモットの決闘を教えてやろう。


 マーリンは声高に叫ぶとブラックスライムと対峙するのであった。

ルックスY。マガポケで連載中です。見てみて〜。

モブな主人公。マンガボックスにて連載してます!

コンハザがシーモアにて発売中!

1月9日ルックスYの一巻発売してまーす!

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― 新着の感想 ―
マーモットって可愛いけど、見た目おっさんだから、おっさん神が??
>『適当神ハルカ』  ああ、コンハザ世界に繋がってる世界なのね。  …………って事は、もしかしてこのマーモットがマーモットに転生した理由は、知らない内にゾンビに変えられたか変わったゾンビに不意打ちで…
適当神ハルカ… くたびれたオッサンと絶世の美少女 二つの化身を持っていそうな予感がします。ステータスボードは配下の銀髪邪神メイドが適当に作ったのでしょうね。 ところで、マーリンはブラックスライムに勝算…
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