身辺捜査課の新入り
誤字脱字等何か不備があれば報告して頂けると有難いです。
真っ直ぐ伸びた背筋、シワのないスーツとワイシャツ
綺麗に磨かれた革靴。そんな清潔感溢れる格好をした彼は今日から配属の身辺捜査課に向かっていた。この課は2年程1人しかいなかった。元々日本では1年に10人行方不明者が出る程度だった。行方不明者が出る場所はまばらであった為各地方で対応していた。彼が向かっている東京支部も1月に1人行方不明者が
出るか出ないか程だったので1人で事足りていた。しかし異世界への誘拐事件がここ数ヶ月で特に東京で急激に増加していた。それでも1月5〜10人程だが。それでも1人で捌くのは無理がある。その為、急遽彼が配属される事になった。
(配属先に不満は無いが何故僕なんだ…?)
そんな事を考えていると新しい仕事場に着いていた。彼は深呼吸をしドアをノックした。
(さてどんな人が出てくるか…)
だが、彼の期待を裏切る様に誰も出てこなかった。彼が困惑していると、ドアの向こうから物音がし、程なくして人が出てきた。
「…..誰?」
ドアから出てきた人物はまさに彼と真逆と言ってよい
格好だった。猫背にシワだらけのシャツ、靴はくたびれていた。
「あっ、今日からお世話になります。御笠川 龍と申します。」
すると思い出したのか目を見開きながら挨拶を始めた
「あぁよろしく頼む。私の名前は貝塚 兎安」
互いに挨拶を交わした所で貝塚は申し訳なさそうな顔をしていた。
「すまない、自分の我が儘なんだ。君をこんな所へ配属させてしまったのは。」
そう言われ、御笠川は慌てて否定した。
「いえ、元々この課に興味があったんです。貝塚さんの希望もあったからだと思いますが、自分の希望もあった為ここに配属されたのかと…」
御笠川は驚く程饒舌に話をした。その言葉に貝塚は安心した様な表情を浮かべていた。
「そう言って貰えるとありがたい。改めてこれからよろしく。」
貝塚はニコッと笑っていたが笑い慣れていないのかその笑顔は少しぎこちなかった。