手垢のつきまくったダンジョンもの超短編
そこは、伝説の大魔王が封印されし、大迷宮といわれ数年ほど前までは誰も立ち寄りすらしなかった。
そう数年前、さびない鉄や、無限の光と熱を提供してくれる聖遺物が見つかるまでは・・・
いまそこに一獲千金を求めた冒険者たちなどが日夜探索を行うこの世界で最も発展した都市となった。
そして、そこに一人の転生者がやってきた。
「せっかく転生したのに、魔法もない普通の未発達な世界かと思ったら、
実は魔法的な要素がある世界だったんだなぁ」
彼は冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドは、喧騒に包まれていた。
「だれか、一緒に聖遺物の引き上げに行かないか!いまなら聖遺物を覆っている
聖なる光る粘土を分け前として渡すぞ!!」
「いやそれよりも俺たちと一緒に行って、さびない鉄の板を一緒に掘らないか!!」
「それより伝説の、すべてのものを滅ぼす聖なる光を放つ聖遺物を探しに最奥を目指さないか!!」
転生者
「え・・・?」
ぼろ雑巾のような汚らしい恰好をしたおじいさんが皆に縋り付き叫んでいるが誰も
聞く耳を持たず邪魔だといわんばかりに振り払われ、蹴られながらギルドを追い出されていた。
「神は言われた、その地の封印を解いてはならぬ。それは聖遺物ではない。神も手に負えなかった廃棄物だ。」
転生者
「・・・」
転生者は、追い出されたおじいさんを追いかけた。
「おじいさん、廃棄物って・・・」
「おお、まだ我々、地元の人間の話を聞いてくれる方がおったのか・・・ありがたい、話を聞いてくれるのか?」
「ちょっと気になることがあってね・・・それで廃棄物っていったい?」
「それは、もう100世代以上前からの伝承でわしらも一部の伝承を失ってどれが正しいものかわからん話じゃが、聞いてくれるかい?」
「ああ」
「我々は、先祖代々この地の封印を守ってきたものでな、3世代ごとにこの地の石板に伝承を書き映してきた。そこにはこうある、この地は呪われし廃棄物を収めた大地で、1000世代を過ぎるまで決して掘り起こしてはならぬ。それ以前にあけたものは呪われ毒をまき散らし、世界を滅ぼすであろうと・・・」
「1000世代!?、ちょっとまって、その石板って過去のものもあるの?」
「ああ、ただもっとも古いものは、ここの教会に聖遺物として奪われないがな、ほらそこの教会の建物がその石碑を収めた塔だったのじゃよ・・・、もともとは、このメダルに刻まれたシンボルが一番上に
つけられていたのに、それを奴らは・・・」
おじいさんが取り出したメダルには、特徴的なマークがついていた。
「おじいさん、その一番最初の石板って読めるの?」
「あの馬鹿どもどもは聖典としてあがめているが、だが奴らはだれも読めんよ」
「それって見ることはできるの?」
「現物を直接見ることはできんが、石板の上に紙を置いてこすり付けることで写しが取れ、
我々の村までくれば、写しなら見ることができるぞ」
転生者は、急いで村に向かった。
村についたおじいさんは、家から紙を取り出してきた。
「おお、これじゃこれじゃ、細かいところは写し取れてないがこれじゃ」
転生者は、それを見た。
そして絶望した。
「オン・・地下・・核廃棄物・・・」
「ちょっとまて・・・聖遺物をくるんでいた聖なる光る粘土ってまさかオーバーパックの粘土?
さびない鉄って、遮蔽とか、侵入防止用の装甲材?、光る聖遺物って高レベル・・・・」
おじいさん
「それがよめるのか!!」
転生者
「ああ・・・ところでこの村の名前は?」
おじいさん
「オンカロ村だがなにか・・・」
転生者
「ギャー―――――――!!!」
おじいさん
「どうした!!」
転生者
「おじいさんどこまで採掘が進んでいるか知ってるかい?」
おじいさん
「数年前一番最奥にある柔らかい金属の壁を抜けて最後の扉を開けて、粘土に覆われた
暗闇でもまぶしくて目がつぶれるほどの光を放つ神秘の聖遺物を取り出したと聞いておる。」
転生者
「え?」
おじいさん
「そしてその周りには光る岩塩があり、聖なる塩として、ほとんどの教会で生誕時の
聖別に使っておる。」
転生者
「・・・」
おじいさん
「どうした?」
転生者
「それはもう終わりなんじゃ・・・」
そして人類はまた文明を失った。
実際、これ洒落になってないんだよなぁ・・・・