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未来の予定、の形

「さて、そろそろ本題に入らないか?」


 もう休憩は十分だろうと思い、俺は先ほど甘地先生が言っていた夏休みの予定とやらの話をしようと提案する。


「そうだな。あまり遅くなっても困る。そろそろ始めようか?」


 甘地先生が俺の言葉に賛成して部長に提案する。

 時刻は六時前。何を話すのかは知らないが、もういい時間だろう。


「そうね。それじゃあ始めましょうか」


 一ノ瀬がそう言うと否の声はなく、みんなペットボトルを机の上に置いて、聞く姿勢を取った。


「で、何の話をするんだ? 夏といえば………なんだ? 海にでも行くのか? ……いや、それいいな。ちなみにもし海に行くならどんな水着を着るんだ? もしよければ俺が全員の分を選んでもいいぞ」


 適当言っていたら思いのほかその気になってしまい、つい熱く語ってしまった。


「バカなことを言っていないであなたは黙っていなさい」


 ピシャリと切り捨てられた俺の案。

 ただ一ノ瀬以外には好評だったようで、


「海ですか⁉ 海ってあれですよね? あの青い水の――~~~っっ‼ 行ってみたいです!」


 皇は海という言葉を聞いて興奮した様子で、ワクワクしていた。


「つ、九十九さんと海……デ、デート………いいなあ」


 村崎さんは小声で何を妄想したのか、ニヤニヤと口元を緩めて自分の世界にはいっていた。


「うふふ、私はあなたが選んだものならどんなものでも構わないわよ? というか、別に二人きりの場所でなら服なんてなくてもいいのよ? ……ねえ、夏休みは二人きりで過ごさない?」


 アホ教師は誘惑してきた。


 そんなカオスな空気に部長の一ノ瀬は処置なしとばかりに首をまわして溜息を吐き、甘地先生は、


「……それで、結局海は行くのか? 行かないのか?」


「……はあ」


 先生のちょっとワクワクした声を聞いて、一ノ瀬はもう一度大きなため息を吐いた。





「その、……ごめんな」


 しばらくして、一旦落ち着いた皇たち。

 流石に申し訳なくなったので俺は一ノ瀬に謝っておく。


「………バカ」

「っ……!」


 ……反則だろ……っ⁉


 唇を軽く尖らせて、拗ねた子供のようにむくれる一ノ瀬の姿は、しっかりと俺の脳内フォルダーに保存した。永久保存版だな。今度理事長に見せてやりたいくらいだ。もちろん自慢として。



 結局その後はろくな話し合いなどできなかった。

 学校に集まる理由はないが、一月も会わないのは……。というのは全員共通しているのだが、その言い訳が思いつかなかったのだ。

 結局最終的には、来たければ好きなように来ればいいという結論に落ち着いた。

 一体何の部活なのか、いい加減分からなくなってきた。


 ……ちなみに海の件についてはあまりにも乗り気の人間が多かったため、機会があれば考えるという話だ。とても期待している。



 部活が終了し、戸締りを済ませた俺たちは教室から出る。先生たちは少し作業が残っているらしく、一足先に職員室に向かった。村崎さんは村崎先生の終わりを待つようで、それに付いて行った。


「……それじゃあ、またな」

「ええ、また」

「はい、また明日会いましょう!」


 挨拶をして二人と別れる。



「はは、また明日って……」


 明日から任意の参加だとさっき言ったばかりなのに、まるで俺たちが来ないことなど考えていないような皇の口ぶりに、つい可笑しくなって笑ってしまった。


「――ああ、また明日な」


 明日から夏休み。けれどもブラック企業であるこの部には、そんなものなどなかったようだ。


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