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プロローグ
『――強くなりなさい。一人でも生きて行けるよう、誰よりも強く、弱点のない人間になりなさい』
三年前。
中学に入った年の誕生日。姉さんはそう言って、俺の前から去っていった。
『――人気者になりなさい。いつも誰かがあなたの周りで笑っている。そんな人間になりなさい』
姉さんはいつだって俺に弱さを許さなかった。
できないことを許してはくれない。
『――無能な人間になってはダメよ。弱いあなたはいらないの。強くないと、あなたは生きていけないわ』
どんな時も、姉さんからかけられる言葉は厳しかった。
学校の勉強はもちろん、放課後は毎日何かしらの習い事。すべて一番でなければ許してはもらえず、一番であっても褒めてなどくれない。
何かが完璧になれば、また新しい習い事が始まった。
『――強くなってね。私がいなくても生きていけるよう、あなたは強くならなくちゃいけないの』
姉さんはいつも優しくて、でも俺はまだ、一度もきちんと感謝を伝えられたことはない。




