前へ目次 次へ 135/141 プロローグ 初めて人を殴った時、胸に抱いた感情はただの痛(・)み(・)だった。 それはべつに心の痛みではない。拳にじんじんと感じるただの痛み。 「……っ――いっ――きみは――され――んだよ」 苦しさに顔をしかめながら、それでも彼女は俺の手を離そうとしない。 閉じかけられた瞳には一切の怯えの色もなく、むしろそれを楽しむように挑発的に先ほどの言葉を繰り返す。 それ以上の言葉を聞きたくなくて。 「っ…ふふ。……いいよ。そう、そのまま――」 俺はゆっくりと彼女の細首にかかる親指に力を――……