始まりの街へ、潜入調査?【SoF】#7
明日を3Dお披露目に控えた直前の夜配信。
宣伝の意味もあって個人枠で配信をしていた。準備はできるだけやったので、後は配信前の最終リハで確認するしかないだろう。
雑談配信とかコラボも挟みつつ、結局気になったということもあって今日も【SoF】をプレイしていく。前回正教に嘘を言って主人公の産まれ故郷に調査に行くというところで終わらせていた。
ゲームを始める前に明日のお披露目配信のことを枠とサムネで紹介しつつ、前回のあらすじも話してゲームを始めていく。ギルド長の部屋から再開し、ファストトラベルでコアキメイルへ行くところだ。部屋の外にも出られず、ファストトラベルでもコアキメイルしか選択できない。
ここからはメインストーリーが一本道で強制されているようだ。寄り道とかもほとんどできないんだろうな。
そういうわけでファストトラベルを使って、コアキメイルのスラムに着くとイベントが始まる。ブローカーのような男が早速孤児の女の子を捕まえようとしているところだった。
それを見たフォイルはブローカーであることを確認して、即座に殺害。「てめえらの命なんて安いもんだろ」なんて言う親はいないだろう。いたとしてもクズ親だから殺して良いはずだ。
【あ、殺しちゃった。アジトの場所を聞こうと思ったのに】
【……お姉ちゃん?】
【ああ、ごめんね。怖いもの見せちゃって。逃げる場所はある?】
【うん、あるよ!ありがとっ、お姉ちゃん!】
少女はお礼を言って走り去ってしまう。それを確認してから、囲まれていることに気付く。周りにはブローカーのような男たちがたくさんいた。10人程度だろうか。
【おうおう、嬢ちゃん。よくも俺の仲間を殺してくれたな?仕事の邪魔しやがってよー。まあ、嬢ちゃんも綺麗な顔だから、年齢的にアウトでも良い商品になるだろ!】
【俺たちで使ってやってもいいぜ!まだ未使用だろ!】
【ぐへへ!そりゃあ名案だ!】
【……何年経っても、クズはクズね。違法売買のアジトはどこ?あなたたちの言う商品を卸す先はどこ?誰?それを教えてくれれば一番優しく殺してあげる】
【さっきは不意打ちで殺したくらいで調子に乗ってんじゃねえ!やるぞ、てめえら!】
戦闘になった。10人纏めて戦闘になったが、なんと通常攻撃で一撃で倒せた。ノーダメージで速攻倒せたのは魔物より弱いということ以外に、ギフトの追加効果で復讐対象に攻撃力が上がることも関係していそうだ。
孤児を攫うだけだから普通の冒険者よりも弱いんだろうけど、ハードモードで一番簡単な戦闘だった。
最後の1人だけは殺さず、尋問を始める。その尋問の結果、街の中の南西部に拠点があると分かったのでそれを聞き出した後に殺していた。
躊躇ないな。
ここから自由行動になった。スラムにブローカーの姿はなく、その代わりに孤児はそこそこいた。話しかけても治療のサブイベントが発生するだけでアイテムなどを貰えることもなかった。見返りもなくMPを消費しただけだが、治療に使ったMPは微々たるものだからあまり気にしない。
スラムを抜けてコアキメイルの街に踏み入る。ここは来たことがなかったのでまずは探索をしてみる。アイテム回収やNPCにどんな街か聞いてみると経済はしっかりしているようで、独立した街の割には外との交流もあって生活には不便をしていないらしい。
街の外は干からびた大地だというのに、街中は木も生えているし、噴水もある。水路もしっかりと整えられていて、街を行き交う人々の服もかなり雅なものだった。生活が苦しそうではなく、スラムや街の外と優雅な街のミスマッチ感が半端なかった。
何でこんな綺麗な街並みの隣にスラムが存在するのか。ブローカーが職として平然と存在しているのか。怪しさしかない。
「なんかコアキメイルの街、気持ち悪くありませんか?外との交流もあるとはいえ、何で発展している街なのか見当もつかなくて。街の綺麗さと、スラムとかの二面性がアンバランスというか……」
『海外でも首都にスラムあったりするし。こんなもんじゃね?』
『街の外って赤茶けた大地だっけ?その中に水路があるのは確かに変かも?』
『街の後ろにある崖が実は山で、川とかあるんじゃね?』
『じゃあこの街で水を堰き止めてるじゃん。周りの大地が元気ないのって、やっぱりこの街のせいじゃね?』
『なんか自警団もいるし。金の流れとかわからんよな』
『そういう街、ファンタジーで流しちゃいかんのか?』
『バッカ。こういうのは妄想と考察してる時が一番楽しいんだぞ』
そういうものだと受け入れてしまえば良いんだろうけど。主人公のいた街で、スラムでは酷い生活をしていたというイベントムービーやスチルがあったからか余計に考えてしまう。
壁1枚隔てた先には何不自由ない生活ができる都市があったなんて、彼女は受け入れられるだろうか。
もちろん良いことだけじゃなく、悪も蔓延っている。ブローカーやら、最初のサブイベントでこの街に年端もいかない少年少女を連れてこようとしていた違法商人もいたから、何かしら薄暗いことはあるんだろうけど。
歩いて気付いたことがある。
「あ、やっぱり。この街、正教の教会がない?神父がいませんね」
『マップに表示されんな』
『いつもなら話しかけなくても教会のマークは表示されるのに』
『あの北にある宮殿みたいなところにお抱えでいるんじゃない?入れない建物とか怪しいし』
『自警団が守ってる場所な。フォイルちゃんも今は近寄らないでおこうって言うくらいだし、何かはあるんだろ』
マップには道具屋とかそういう情報は出るはずなのに、教会のマークは表示されない。それらしい建物もないのでこの街には多分教会がないんだろう。
そうしたらどうやってブローカーはギフトを選別していたのか。神父と同じスキルを持った人物が組織にいるのかもしれない。でもそれならこのギフト至上主義みたいな世界で、この街の人たちはどうやってギフトを得ているのか。謎だ。
探索もある程度終わったので、ブローカーのアジトへ。まさかの正面突破というか、普通に入り口から入れた。中でたむろっていたブローカーに怪しまれてそのまま襲われる短いイベントの後に戦闘が始まったものの、さっきと同じく瞬殺。
建物の中で死屍累々な中、フォイルは組織の中でも偉そうな人物を尋問する。あの宮殿らしき建物である『ヴァルハラ・スローン』という場所へ孤児を送って、そこでギフトの鑑定をしてもらい、結果が悪かったら人身売買をしているとペラペラ情報を吐いた。
ギフトの結果が良かった者はどうなるかをブローカーも知らないようで、ただその子供たちを外で見たことはないとのこと。あとは裏口の場所を聞き出して殺す。
潜入することを決めたフォイルはその前にアジトでわかる情報を調べるが、売り飛ばした子供たちの情報を探ることはできなかった。彼女の家族がどうなったかは、わからないまま。
アジトからは強制的に出されて、その後は入れなくなった。となると『ヴァルハラ・スローン』に行くしかないか。
裏口は街にある川の上流の方にあるとのことでそちらへ移動する。水路を行く必要があったが、そこはさっきまでは鉄格子があり鍵が閉まっていた。鍵はアジトで入手しており、開けて水路を進む。敵がいたわけでもなく、裏口までは進めたが裏口の扉の前には自警団らしき胸当てをつけた男が2人いた。
【裏口にいるってことは薄暗いことに関わってるってことでしょ。殺していいか】
「フォイルちゃん、もしかして復讐の機会だからって思考が殺意で固まってます?関係者全員殺す勢いなんですけど……」
『多分家族の仇だし』
『十中八九黒だしなぁ』
『目撃者全員やっちゃえばフォイルの犯行だってわからないわけで』
『そういやこの子、次期聖女なのに大量殺人やってんのか。怖っ』
『聖女になる気がない子ですしおすし』
というわけで戦闘。こちらはブローカーよりは強かったもののやはり2回ほど攻撃をしたら倒せた。2人しかいなかったし、集団戦でもなかったのでむしろ楽だった。復讐対象で火力上がってたんだろうな。
裏口から侵入。入った場所は地下のようで、洞窟のようにくり抜かれていて建物の内部に入ったわけではなさそうだ。イベントも起こらなかったので移動を始めると、巡回の自警団がいたので戦闘でチャチャっと倒した。シンボルエネミーが自警団っぽい。
地下から更に地下に向かうようだった。上に行く道もどこかにあるんだろうけど、今は見付からない。本当にこの建物は何なんだ。
地下2階は牢屋のようで、中には誰もいなかった。連れてきた子供を入れるための場所だろうか。
特に調べられるものもなく進むと、いきなり綺麗な石畳になったスペースに出た。今まではただの岩と土で一応体裁を整えましたという感じだったのに、いきなり生活感が出た。
そこにいた自警団に何者だと叫ばれてそのまま戦闘。だがやっぱり魔物に比べると弱くて瞬殺。
なのだが、イベントの続きで自警団の1人が首から下げたホイッスルを吹いた。その音が反響し、直後にジリリリリ!という甲高い音が聞こえる中、ホイッスルを鳴らした本人の胸へ剣を突き入れて殺す。それでも警戒音は止まらない。
【気付かれちゃった。急がないと。むしろ全員来てくれて助かるかも……?うん、一網打尽にできそう】
「だ、誰がこんな復讐の鬼にしたんだ……!」
『世界』
『この街』
『ここの黒幕』
『神様』
『無能な正教』
『ブローカー』
『多分悪いやつ』
『なんか書いとけ』
『ギルドもお目溢ししてるかも?』
純粋に感想を言ったのに、コメント欄が大喜利大会になってしまった。ここの黒幕は何がしたくてギフトを調べているんだろうか。
流石に警戒音は鳴っていないが、BGMはヴァルモニア解放戦と同じものになった。それだけの緊急性がある場所か。主人公のルーツに関わってるだろうし、幼少期編で一番重要な場所かもしれない。そうなると重要なBGMにもなるだろう。
シンボルエネミーが一気に増えた。とはいえ、こんな場所にもう来られないだろうから探索は密にする。アイテムを回収しきれなかったら、二度と手に入らない可能性もある。隅々まで探索しつつ、地下3階に辿り着くとそこはまるでアンジェリカにあるような立派な内装の教会だった。
本当に教会があるのか。というか、ここに教会があるってことは、正教も関わってるな?
イベントムービーが始まる。神父の格好をした極悪人が悪態を吐きながら十字架に磔にした少年へ光を当てる。あれ、ギフトを与える時のものじゃないだろうか。彼の近くに金貨が積み上がっている。
【全く、こんな時に侵入者など。自警団にもそれなりのギフトを与えただろうが。さっさと殺せば良いものを。──主よ。この者の可能性を拡げ給え。与えるギフトは【龍化】】
【があああああああああ⁉︎】
神父に光をぶつけられた少年はもがきながら髪や瞳を変色させていく。金髪だったその鮮やかな髪は色素が抜けていくように白く、碧色だった瞳は紫へと変わっていった。そして左手が龍のように黒色の鱗が生え始めて肥大化し、爪も伸びて爬虫類のような腕へと変貌していた。
その光景に息を呑むフォイル。ギフトを与えただけでああなるんだろうか。ギフトの名前的に龍に変貌させるんだろう。
ということは、今まで魔物になっていたカテゴリーHって。
【まあ、与えた直後はこんなものか。おい、誰かこいつを牢に……。そうか、侵入者のせいで出払っていたな。まあ放置で良いだろう。むしろ今この拘束を解けば暴れるだろうしな。しかし侵入者は何者だ?自警団も無理なら我々に援助を求めれば良いものを……】
そう呟いて神父風の男はいなくなってしまう。あの神父が何者かわからないが、一度は正教の門を叩いた者じゃないだろうか。そして神のことも信仰していそうだ。
ギフトを与える、変更する能力を悪用していることは確定。有望な子供にはああやってギフトを与えて何かの実験をしているのだろう。そしてその実験の成れの果てがカテゴリーHじゃないだろうか。
ギフトを与えられなかったのではなく、そういうギフトを与えられたという方が納得感がある。
フォイルは誰もいないことを確認して少年の元へ近付く。そして十字架に括られた少年の手足を縛っていた縄を全部切ってしまう。拘束を解いた彼女はそのまま少年に緑色の光を当てて治療を始めた。
しばらくすると目を覚ます少年。ただし腕は龍のままだ。
【う、ぅ……?】
【あ、起きた?知っていることを話して。ここは何?ここは正教が関わっているの?他の子供は?】
【……】
矢継ぎ早に質問をしても、少年はまだ覚醒したばかり。何も答えられそうにない。フォイルも回答が来るとは思っていなかったようで、ひとまず彼を床に寝かせてまた治療の光を当てる。
そんな悠長なことをしていたからか、自警団がこの教会もどきにやってきた。
【こんな奥深くまで侵入されていたとは!ロムル様は無事なのか⁉︎】
【そのロムルってさっきの神父?ここはなぜ正教を模しているの?あなたたちは何をやっているわけ?】
【子供……⁉︎いや、見られたのだ!殺せ!】
「問答無用ですか。きな臭くなってきましたねー」
といいつつ、軽く捻る。このダンジョン、難しくないぞ?これからなのかな?
ブローカーにやったみたいに、今度は1人を十字架に磔にして尋問をし始めるフォイル。あるものを有効活用するのは偉いのか、やっぱり悠長なのか。
恨みを拷問で晴らそうとしてないか?
【質問に答えなさい。答えなければ痛みを与えた後に回復させてずっと地獄のような痛みを与え続ける。さっさと話した方がマシよ】
【か、回復魔法を使える……⁉︎ま、まさかあなたは聖女候補……!なぜあなたが我々を攻撃するのです!】
【ふうん?じゃあ正教から攻撃されることは想定してないんだ?つまり正教か聖女がここの屑みたいな行為に関わってると。誰の指示?さっきのロムルとかいう神父?】
「うわ、言質取るのはやっ」
『フォイル、すっかり尋問に慣れちゃって……』
『えー。やっぱり黒幕は正教かよ』
『つまりカテゴリーHもマッチポンプ?』
尋問の結果、ここはギフトの実験場ということ。優秀なギフトを与えられるほどの素質持ちにギフトを与えて、そのギフトがどのような効果を発揮するのかを調べるとのこと。
大体の子供が異形化し、完全に心を無くして魔物になった後はその個体の情報を正教に伝えて討伐してもらうとのこと。基本は野に放って、普通の魔物と誤認させた上で殺させるらしい。
コアキメイル周辺でカテゴリーHが発生したら怪しまれるため、ほとんどの場合は眠らせて適当な場所へ捨てにいくという。こいつら、本当に畜生では?
正教とはカテゴリーH以外にどう関わっているのかを尋問するが、何も答えない。そこで痺れを切らしたフォイルが強めの雷撃をぶつけるが、男は口を割らなかった。これ以上知らないのか、絶対に話さないと意地を張っているのか。
苛立つフォイルの後ろで、左腕が龍になった少年が立ち上がる。フォイルの横を歩いて通り過ぎると、彼は左手で男の頭を鷲掴みにした。手が大きくなっているために、5歳の少年でも容易く掴めていた。
ギシギシという音と共に暗転。そしてビチャア、という効果音。少年の狂ったような笑い声の後にズシャっ!とかドカッ!という効果音が入る。
暗転が終わると、男の姿がなくなっていた。これ、やったか。
【あははははは!みんな死んじゃえ!なんだこれ⁉︎僕の腕はどこ⁉︎お腹空いたお腹空いたオ腹空イタッ!こんな腕、みんなに嫌われちゃう⁉︎戻れ、戻れよ!僕を、人間に戻して⁉︎】
そんな悲痛な叫びをする少年。凄い演技だとフルボイスで聞きつつ、なんか聞き覚えのある声というか、本当に売れっ子声優になっていないかと思ってリスナーに確認してしまう。
「あのー。この少年の声優、間宮光希君じゃありませんか?」
『え、みーちゃん?』
『確かに『ソラソラ』の幼少期アセムっぽいか……?』
『人物図鑑にCV表示されるし、確認すべ』
『そこ、CV???のこともあるんですよ……』
『少年役、女性声優じゃないんだ?』
『もしみーちゃんなら声幅どうなってんねん』
ストーリーから脱線していると、その少年をフォイルが抱き止める。そして左腕に対して緑色の光を当てる。
すると膨張していた腕が萎んでいく。だができたことはそれだけで、鱗も爪もそのまま。龍の腕だ。
それでも大きさだけは戻ったからか、少年の涙が止まる。目をぱちくりさせながら、フォイルの顔を覗き込む。
【ごめんなさい。これくらいしかできないみたい。大丈夫、あなたはちゃんと人間だよ。ギフトで姿を変えられただけ。ギフトを他のものに変えれば、きっと元に戻れる】
【……ホント?】
【多分。そのために、ここから脱出しましょう。ついでにあなたをそんな姿にしたあの神父を殺しましょう。あなたは復讐する権利がある】
【復讐?】
【あなたの心にある、そのドス黒い感情のこと】
【……そっか。これが復讐。……うん、お姉ちゃんについていくよ。お姉ちゃんの名前は?】
【フォイル。あなたは?】
【アルビオン。よろしくね】
アルビオンが仲間になったというポップアップが出る。あ、パーティー入り?本当に?
すぐにメニュー画面を開くとパーティー画面にアルビオンがいた。ランダと同じようにステータスとかも確認できそうだ。
先に人物図鑑を確認する。登場人物も多いし、フォイルのように会わない期間が長いと忘れてしまうので大雑把とはいえキャラクター説明があるのは助かる。全部アニメ調の1枚絵があるので、かなり手間をかけている部分だと思う。
ちなみに死ぬと説明文にもどこやいつ死亡したか記載される。
アルビオンのキャラクター設定は簡素に『ヴァルハラ・スローンで出会った少年。5歳。【龍化】というギフトを与えられて左手が龍と変化した』としか書かれていない。そしてCVの欄には間宮光希と書かれていた。
「おぉ……。本当に間宮君だった。僕の耳も案外バカにできないかも?」
『またこの高校生声優、幼子演じてるよ』
『最近、見ない場所を探す方が早くなってきたような……』
『それは流石に過言。高校生だから仕事はセーブしてるって本人も事務所も言ってる。その代わり放課後も土日もないらしいけど』
『これでセーブしてるの?アニメでも割と見るし、ソシャゲにもなんだかんだいるし、こうして据え置きゲームにもいるぞ?』
『アニメのレギュラーは今季そこまでいないから……。ゲームなら個人収録だから日程の調整とか楽だろうし』
『アニメだと確かに?でもズァークの主人公とか有名どころはしっかりやってるんだよな』
『今季という意味なら10月だから始まったばかり定期。キャスト発表されてる奴だけでもレギュラー1個とサブレギュが3つ確認済み。普通に売れっ子レベルだわ』
『リスナー、間宮君に詳しすぎない……?』
『なっちゃんがファンで雑談聞いてたら頭に入るし……。ああ、なっちゃんに『SoF』に出てたよって言わないと』
間宮君は今映画館でやっているロボットアニメのズァークの主人公をやっていたり、俺が好きなソシャゲで3役演じていたりと今躍進している高校生声優だ。陽菜ちゃんがファンを公言している。
様々なアニメやゲームで名前を見るので、知名度は高い。有名な漫画のアニメ化で声を当てたり、こうやってゲームでもかなり名前を見るようになった。
俺は彼が昔世間で一世を風靡した子役の間宮沙希君じゃないかと疑っている人物だ。
CVも確認できたので、ステータスの方を確認する。レベルは33とフォイルと遜色ない。ステータスは全体的に高く、武器を装備していないのにランダくらいに強かった。ステータスの数字の隣に(+)で表記されている数字はギフトで上がっている数字なんだけど、その数字が軒並み100に近い。
装備画面でフォイルと共通の装備が多かったので強いものを装備していく。ヴァルモニアでフォイルが重すぎて使えなかった槍の『デストライデント』を装備できたので使ってもらう。戦闘をしてみないとわからないが、左手だけで槍を持っているので普通に使いこなせそうだ。
「これ、フォイルちゃんの武器じゃなくてアルビオン君の装備だったってこと……?」
『仲間用だったのか』
『あの?アルビオンめちゃくちゃ強くない?ゲストキャラ?』
『もしゲストだったら正式パーティーキャラはいつ加入するねん……』
『ランダとドゥーンの装備は装飾品しかいじれなかったけど、アルビオンは全身装備を与えられたから流石に正式パーティーキャラじゃないか?』
『これでフォイルちゃんは孤独脱出やな!』
ギフトは流石に1つだけ。レベルも1。【龍化】は全ステータス上昇と火属性ダメージカット50%と魔法耐性50%アップとかいう、インチキ効果が書かれていた。何もかも強いことしか書いてないんだけど。ドラゴンって凄いなぁ。
メニュー画面で確認できることは終わったので、探索再開。さっきのロムルとかいう神父を探せばいいんだろう。探索しつつ戦闘もやってみると、アルビオンは自分の背丈よりも長い槍を使っているのに速度的にはフォイルと大差なかった。
龍の力って暴力的なんだな。心強い仲間が増えた。
地下3階にはいなかったので更に降ると、大広間のところに四足歩行でピンクの体表をした大型の獣と、見覚えのある甲冑を着た人間がその獣の傍に2人いた。
獣には首輪がしてある。さっきアルビオンが磔にされていた時に手足に着けられていた拘束具に似ている。
こんなところで答え合わせか。
フォイルとアルビオンはその大広間に入っていく。隠密とか考えてない、完全に正面から力で全てを粉砕する系だ。騎士が2人の足音に気付くと、侵入者だとして剣を向けてきた。騎士なのにフォイルの顔を知らないらしい。ヴェールの奥の素顔は騎士も知らないのだろうか。
【フンッ。その鎧を一般人が持ってるはずがない。つまり騎士団は意図的にこの施設を肯定してるんだ。気持ち悪い】
【貴様、冒険者か?たった2人で我ら騎士に楯突こうと?】
【全部壊してあげる。神を信奉してやってることが子供を実験台?いいえ、多分子供以外にも実験をしているんでしょう。──消えろ、狂人ども】
戦闘になる。が、騎士はあまり強くなく、カテゴリーHと思われる獣が厄介だった。移動速度が速いために攻撃を当てづらく、透明化する力もあったために回避などが必要で割と時間が掛かる。
ただ、アルビオンの火力が高いので攻撃さえ当ててひるませてしまえばこっちのターンだった。1人で戦ってた時と比べてなんと楽なことか。まあ、相手の火力も高くなっているから少しでもミスったら大ダメージなことは変わらない。
全員倒すとイベントが流れて獣が身体を崩壊させていく。その中から現れたのは10歳にもなっていない少女。フォイルよりも小さい少女は凄惨な瞳をして死んでいた。
【その子、死んじゃったの……?】
【ええ。こうして魔物になった人は魔物として倒すとほとんどの場合死んでしまうの。助ける方法があれば良いのだけれど……。この子たちも被害者なのだから。カテゴリーHarmsなんてどの口が言うんだか】
【僕も、いつか。こうなるのかな】
【かもしれない。その時にはわたしがあなたを殺してあげる。誰も殺させないまま、あなたを人として殺す】
【……うん。お願い、お姉ちゃん】
「うわああああ!絶対これフラグですって!仲間になったばかりの少年を殺す約束なんてしないでー!」
『見え見えのフラグすぎる……』
『少女が!仲間の少年を!殺す約束なんてするな‼︎』
『おねショタきた……?』
『これ見ておねショタなんてポジティブ解釈できるのすげえよ(褒めてない)』
『殺すってプロポーズの意訳だと聞いたが(ロボットアニメ脳)』
不穏すぎる。絶対青年編でこの約束を守るイベントありそう。これ、本当にハッピーエンドで終わる物語なんです?幸せになるとしたら神様をボコボコにして全員幸せになりました、みたいなエンドしか思い当たらない。
難易度によってエンディングがあるんだから、それぞれの終わり方とか幸せとかあるんだとは思うけど。フォイルたちに幸せな終わり方が訪れるようには思えない。
正教を崩壊させれば幸せになるだろうか。でも世界的に正教は世界の根幹として根付いているのも事実。
聖女として建て直すのだろうか。
このイベントの後から、魔物と騎士がシンボルエネミーとして出始めた。目に付く敵を全て倒しつつ探索をしつつ、イベントなどはないまま地下7階まで来ていた。どこまで深く掘っているんだ。一種のダンジョンだぞ、これ。
7階は探索するような場所もなく、教会にあるような大きな木製の扉があってその近くにセーブポイントがあるだけ。つまりボス戦だ。ここも中盤だったら正直感服する。セーブをして中に入ると、イベントムービーが始まる。
扉の中は、アンジェリカと変わらない荘厳な教会が。内装は完璧に教会で、正教が信じる男神の巨大な像もある。これだけだと正教のフリをした狂信者かわからないのが判断としては困るところだ。騎士の鎧をつけていたとしても、別派閥が離脱した結果、なんてこともある。
宗教なんて同じ名前を冠しながら別の派閥だからと解釈が分かれていたりするし。聖女派ではなく、大司教派とかそういうのもあり得そうだし。
教会の奥には先程の神父であるロムルがいた。祈祷台の前にいたロムルが足音に反応して振り返る。
アルビオンの顔を見た後に、フォイルの顔を見て驚愕の表情をする。彼はフォイルのことを知っているようだ。
【エレシア……⁉︎貴様が侵入者だと?聖女の教えはどうした⁉︎ここには騎士もいる。そもそもこの施設が何かわかっていないのか⁉︎】
【ええ、わからないわ。騎士を配置して、人間を攫ってギフトを与えて異形に変える。理性がなくなったらカテゴリーHとして放流する。これが神を信仰する場所だと?わたしの倫理観では、あなた方こそ処罰するべき対象ですが?】
【……ふん、知らんのか。悪いことは言わん、帰れ。聖女として世界を知れ。主の言葉に耳を傾けろ。さすれば世界は救われる】
【世界のために子供を犠牲にしろって?随分不親切で、歪で、穢らわしい。実験で何人を殺した?カテゴリーHとして放流した?そのカテゴリーHが被害を出した?わたしが知っているのが世界の一部だとしても、数多くの犠牲が出ている。その犠牲を払ってまで、何を目指しているの?】
【教えを授かればわかる。我々正教はそのためだけに存在しているのだ】
「うーん、カルトの勧誘っぽい。肝心なことをぼかして勧誘するとか詐欺の常套手段では?」
ロムルは断言をせずに言葉を紡ぐが、それで納得する2人じゃない。むしろ胡散臭い言葉が続くほど、殺意が増していく。
彼女たちにとっては世界とは幸せだった頃の日常で。それよりも大切なものがないからこそ記憶に勝る世界なんて存在しない。彼女たちの握る拳が強くなりすぎたのか、2人の拳から血が流れる。
【──必要な犠牲だって言うんだ?アルビオンのこの腕も、カテゴリーHになってしまった人たちも。……そしてわたしの家族も】
【ホウ⁉︎エレシア、貴様の家族は我らが実験でカテゴリーHにでもしてしまったか?つまり才覚のある者の血を引いているということ!【天使】が与えられる条件は親が不幸なことか?つまり、あえて両親をどん底に落とす様を子供に見せて印象づけさせれば……!ワハハハハ!さすがはぁ、我が神ぃ‼︎私はまたあなたの深淵へと近付いたっ‼︎】
エレシアの言葉からの妄想で、最高にハイと言って良いほどテンションを爆上げして笑い出すロムル。
彼女にとって家族は孤児の皆であって、両親の存在なんて知らないはず。そんな人物は回想で出てこず、大事な人として出てくるのはいつも孤児の皆だ。
そもそも【天使】を彼女は持っていないんだけど。
「多分聖女になれるような存在を見付けるような実験なんですかね?それにしてもこんな狂信者が褒め称える神って碌でもないんじゃ?」
『金むしり取る守銭奴だぞ』
『光源氏的思想で好みの女の子を幼少期から育てようとしている疑惑あり』
『善神っぽいエピソード、今のところないよな』
『女の子はそれでも良いけど、男は?』
『聖女が女の子の特権って誰が決めたんだよぉ‼︎』
『作中で歴代聖女は女性しかいないって言われてるやろ』
『まさか、TS……!』
『純粋に変態神が女の子優遇してるだけでしょ』
ひとしきり笑い終わったロムルは近くに立て掛けてあった木箱からモーニングスターを取り出す。鉄球付きの見るからにヤバそうなものだ。聖職者がモーニングスターを持つってどこから始まったんだろう。
【さて、知見を得られたこともあるが、貴様の暴れっぷりをお咎めなしで見逃すことはできん。損害もさることながら、現状貴様はスペアだ。不慮の事故で死んでも問題なかろう。貴様を使って神の真意を探る。結果として聖女が多く産まれれば、差し引きでプラスだろう】
【吐け。最終的な目的は?この犠牲の先に正教は何を見ているの?】
【それは聖女に教わるんだな!宿願のためならば、少数を切り捨てろ!それが世界を支えて立つと言うことだ!】
ロムルがそう言った直後、首から下げた十字架を掲げて光を出す。その光に釣られたのか、教会もどきに多種多様な魔物が入ってくる。壁を壊すことなんて気にせず、教会の中がボロボロになりながら魔物が2人を囲んでいた。
2人はすぐに対処できるように武器を構えて、背中合わせで警戒する。
コメントが一気にエモい、みたいなもので埋まった。まだこの子たち、出会ったばかりなんだけど。子供同士の背中合わせがエモいんだろうか。
魔物の首で光る首輪。その光はロムルの十字架から出ている光と同じ色だった。まるで共鳴しているようだ。
【そこのガキにもこの首輪をつけておけば良かったな!珍しい龍種の才能持ちだ!叩きのめして首輪をつけてやる!】
【いくよ、アルビオン。できたら首輪狙い。それかあいつを直接殺す】
【うん。殺そう】
「物騒な感じがそっくりになってません?さあてと、ボス戦頑張るかぁ!」
魔物が8体にロムルとの戦闘。魔物は全部カテゴリーHだけど、ロムルを倒せば戦闘はしなくて済みそうだ。
とはいえ、そんなに簡単にロムルには近付けない。魔物の奥に隠れて、攻撃魔法を使ってくる卑怯な戦術だ。その手に持っているモーニングスターは飾りか!
戦っていると、魔物本体ではなく首輪に注目することができた。ウィークポイントを発見した時に出るような黄色い注目マークだ。そこに攻撃を当てればクリティカル確定なのだが、それと同じことが起きるんだろうか。
魔法だと移動されるのでピンポイントでウィークポイントには案外当てづらい。それに相手の数が多いと詠唱を止められることが多いのでボス戦では基本詠唱は使わない。フィールドを駆け回ってカニの右腕の根元にある首輪を狙う、首輪じゃなく腕輪か?とにかく、ウィークポイントを狙った。
アルビオンは基本フォイルがターゲティングしている敵を同じく狙ってくれるのでありがたい。フォイルがカニの腕輪にクリティカルを当てると、演出が入ってアルビオンもウィークポイントへ切り込んでくれた。
TIPSでパーティーメンバーはクリティカルを当てると追撃をしてくれます、と表示された。あとバーストアーツを撃って方向キーを長押しするとパーティーの誰かと連携技を放ってくれるとのこと。
「ランダの時にも欲しかったなぁ!」
『連携技、ここで解放?』
『他のモードだと割とすぐ解放されたのに』
『こんなにボッチだったの、フォイルくらいだし……』
早速やってみる。魔物がたくさんいるものの、ギフトを育てたおかげでバーストアーツの溜め時間短縮を手に入れていたのでバーストアーツをすぐに放てた。そのバーストアーツがヒットしている間に方向キーを長押ししていると、シュイイン!とSEが入る。
【雷鳴!】
【蒼波!】
【【十波斬‼︎】】
フォイルが雷の剣撃を、アルビオンが青色の衝撃波を放って十字を作ると、そこに重なるように突進して一閃。その間にいた敵を斬り飛ばした。
専用の演出があるのカッコいい〜!
「こういうのテンション上がる〜!もうこれ、バーストアーツばっかりやってたらいいのでは⁉︎」
『連携技かっけえ!』
『エフェクトからモーションからバリバリやん』
『連携技って結構あるよな。ランダとなかったのが本当に惜しまれる……』
『アルビオンの奥義も見たいかも』
『そうだ。奥義もあるじゃん。ボス戦だし見てえ』
『使うならアルビオンを操作にしないとダメじゃね?』
連携技で何があるだろうと楽しんでいたらアルビオンのMPがすっからかんになっていた。これ、お互いのMPを消費するから連発したらすぐガス欠になるのか。
でも5パターンも見られたから満足。使いつつ首輪を破壊するとカテゴリーHは戦線離脱したために数はどんどん減っていく。まずは首輪の全破壊を目指してカテゴリーHをとにかく狙った。ロムルは魔物の奥にいるために攻撃ができず、必然的に魔物を優先するしかなかった。
「おいしょ!」
『最後の首輪撃破ナイス!』
『これでクソ親父ボコせるぜ!』
『おん?シークレットミッションクリア?』
『なんこれ?初めて見るわ』
『首輪全部ぶっ壊したから?』
金色の文字でシークレットミッションクリアと画面の中央に出た。それが出ている間は戦闘が止まっているらしい。カテゴリーHが倒れる演出の後、元の戦闘に戻る。
【あとはあの外道だけ!】
【カテゴリーHが、ぜ、全滅……⁉︎神よ、あなたは彼女に何を与えたのですか⁉︎】
【僕を人間に戻せ!クソ神父!】
そんなフルボイスの掛け合いが入りつつ、ロムルと戦う。モーニングスターを振り回すものの予備動作が大きく長かったために、攻撃をすれば止められた。詠唱を始めようとしても数の有利があるから止めることも簡単。
カテゴリーHがいなければ、外道神父なんて敵ではなかった。
リザルト画面でギフトを強化するためのアイテムを10個手に入れた。これが金色の文字で書かれているからこれがシークレットミッションの報酬だろうか。多分ロムルを倒す前に首輪を全部破壊とかそんな感じなんだろう。
今までもそういうのがあって見逃してたのかな。こんなわかりやすいミッションもなかったからあったとしても気付けなかっただろう。
フォイルがロムルの胸を一閃。その一撃で後ずさりながら胸を抑えるロムル。武器も落としてこれ以上の戦闘はできないだろう。フォイルとアルビオンが武器の先を彼に向ける。
【全部話せ。正教は何をしようとしているの?アルビオンはギフトを変えれば元に戻る?他のカテゴリーHは?】
【それは……】
【おおおおおおおおんんん!】
「え、あ?カテゴリーHが立ち上がった?」
ロムルが話す前に、彼にカテゴリーHが殺到する。彼の絶叫が届きながら、絶命しながらも彼らは彼の身体を壊すことをやめず、彼らの中心に残ったのは血溜まりだけ。
そして満足したのか、今度はフォイルたちへ咆哮を飛ばしてきた。一斉に襲われるムービーの後、続けて戦闘になる。
「あ!もしかしてあの首輪を破壊したから⁉︎曲がりなりにも制御できていたのがなくなって、暴走してる⁉︎」
『ありそう……』
『それか外道神父が持ってた十字架の光がなくなったから?それで命令が終わったとか』
『なんにせよ連続戦闘かよ。キッツ』
回復もなしに連続戦闘になった。幸いにも相手のHPは相応に減っていて倒すのは簡単だった。複数に襲われたために回復はこまめにしないといけなかったものの、レイドに比べれば全然マシ。
全員倒した後は、お決まりのように身体が溶けていって中から人が出てくる。年齢もバラバラで成人しているような大人からフォイルより小さい子供まで。その全員を確認するが、息がなかったようでフォイルは首を横に振る。
カテゴリーHは倒してしまうと殺してしまう可能性が高い。それで考えると、剣をくれたティラノサウルスになっていた人はかなり珍しいパターンだったように思える。
なんにも情報もなしに帰るのはどうかと思ったフォイルは何かないかと探し始める。教会もどきには他にも部屋があったので入ってみる。そこには本棚と机などがあり、様々な情報がありそうだった。アルビオンも文字が読めるということで2人で調査。
【ギフトを与えて人間の身体がどこまで強靭になれるかの実験……。人間としての姿がどれほど変わっても構わない。とにかく強靭な身体を。我らが主が、地上に降りた際の器となれる身体を、我らが創り出すのだ。──神の身体を作ろうとしてたってこと?】
「あー、降臨のため?目には映らず、聖女にしか聞こえないけど実在はしているっぽいから地上で活動できる身体を産み出そうって?やっぱりカルト宗教では?」
『それが世界で唯一の宗教になってて、力があるんだよなあ』
『マッチポンプやんけ!』
『魔物増やしてるのは正教で、その変化の力はギフトで、そのギフトは神が与えていて……。邪神では?』
『好みの女に天使の名前のギフトを与えてるやべーやつではある』
『神のためにって言うけど、宗教ってそういうもんと言われたら反論できねーな』
『全部神の掌の上ってこと?』
『この世界が神の箱庭なんだろ』
なんともまあ。神様のために何でもやろうとして悲劇を起こしつつ、成果を挙げられていない。正教ってとんだ無能では?
調べたら聖女が神の代弁者として改良方法を聞き、それをこの施設に伝えて実験をして神の器を作成しているようだ。つまり聖女も思いっきり関わっている。聖女は何十人もいることから、多分神も実在はしている。地上に降臨できないだけで。
実験の詳細なデータもあった。ただの一般人から、王侯貴族のような由緒ある血筋と呼ばれるのは過去神から何かを賜った者なのではないかととにかく贄にしたこと。国宝と呼ばれるような武器や神具と呼んでも良いような道具も一緒に与えたら神も適合しやすいのではないかという実験。
ティラノサウルスの人はディアナ国の王だった人で、今フォイルが装備している剣はディアナ国に伝わる神具と呼ばれていたもののようだ。それを纏めてギフトとしての力を施した結果、強い魔物にはなったもののカテゴリーHという枠を越えられなかったようだ。
血筋以外にも、最強の冒険者や強いギフトを持っていた者、無垢なる者など様々なパターンで実験していたようだ。聖女でも神の器でも、とにかく結果が出せればいいとアプローチを変えて実験の繰り返し。
結局何も成果を挙げられず、聖女は生まれつき才能があった者のみ。初回のギフト付与の際にしか【天使】は発現せず、ギフトを仲介する神父の実力は本当に関係なく、与えられる者の資質のみに起因しているということまでは突き止められたようだ。
それがわかってからは聖女に関する研究はせず、神の器だけに注力しているらしい。どのギフトが良いかは分からず、最近はレアなギフトを与えられる資質があった者にギフトを与えて、そのギフトを制御させればギフトが進化するのではないかというアプローチのようだ。
アルビオンも世界にほぼいない龍になれるというギフトの片鱗があったため、両親を殺して強制的にここに連れてきてギフトを与える者としては世界でも有数のロムルにギフトを与え直してもらうために最上位の龍へ変貌する【龍化】を与えられたのがさっき、ということらしい
もしかして神様って異形なのか?そうじゃなかったら異形化させるギフトを与えても意味がないように思えるけど。
あと正教はここ最近全世界の統一を成し遂げたらしい。国という単位をなくして、世界という単位で、正教の名前で全てを一纏めにしたようだ。そっかあ、国がないのか。王侯貴族で実験したいがために周辺国家を滅ぼして、かつ王族が神と別に統治者として存在することが許せなかったようで大元の国の王制も排除。
こうして正教がやりたい放題できる環境を作り上げたようだ。
政教分離とかないんだな、この世界。
ある程度情報がわかり、正教の裏側もわかったところで2人は脱出することにしたようだ。まだ完全に異形化していない人を助けつつ、この施設を破壊することを決めたらしい。このここの真下に牢獄があるようで、そこに向かうことになった。
道中の敵を全部倒して、牢屋の中にいた人たちを解放。彼らがいるとファストトラベルできないことと、地上の建物も破壊することを決めたフォイルたちは地上に上がっていく。シンボルエネミーを降る前に倒したはずなのに全部復活していたので、目に付く敵はまた倒していった。
レベリングできる場所が少ないのかもしれない。カテゴリーHはおらず、他に助ける人は地下3階のもう1つの教会もどきの近くの牢獄にしかいなかったのでそこの人たちも救出。
一旦裏口から救出した人を解放して、後で回収しに行くのでスラムに隠れてもらうように指示。その後は隠し通路から地上の建物である『ヴァルハラ・スローン』へ突入。上の建物で既に地下の侵入者のことを伝達されていたのか、すぐに自警団の面々が武器を向けてきた。
【退きなさい。地下のことに関わりがあった者を殺すだけ。あと不当にここに収容されている人の救助もしたいだけよ。関わっていないなら消え失せなさい。大事な命でしょう?】
【……かかれー!】
「これ、自警団全員事情知っていそうですね。なら倒しちゃっていいかぁ」
『サーチアンドデストロイ!サーチアンドデストロイ!』
『地下施設に思いっきり犯罪の証拠ありますし。無罪ってことはないでしょ』
『この人たちはフォイルちゃんが聖女ってわかってるのかな?』
『知らないんじゃね?あと候補な』
『むしろこいつらからすれば正教のためにやってる『正しいこと』だから、聖女候補に殺される道理はないって憤ってるんじゃね?』
大広間で大立ち回りをした後、警備室のような場所を襲撃してこの宮殿の詳細地図をゲット。捕まえている人がいる牢屋の場所を確認して、そこへ向かう。場所は3箇所。魔物もおらず、自警団の戦闘能力も弱かったので軽く捻りつつ、人々を解放。
最後に建物に火を付けて、フォイルたちは裏口から脱出。コアキメイルでは『ヴァルハラ・スローン』が燃えていて騒然となっている中、2人はスラムへ直行。夜中に変わりながら燃え盛る姿はかなり目立つ。
まずはフォイルだけグランベルに戻り、バルドフに事情説明。助けた人たちはグランベルに向かう途中魔物に襲われて護衛の人たちは全滅したということにしてもらい、グランベルで保護されることになった。フォイルがグランベルの外まで人々を送って、そこからは口裏を合わせてギルドへ保護を求める。
ギルドはそんなに強力な魔物がいるのかと捜索隊を編成。ギルド長と一緒にいたフォイルも住民の安全のためと騎士団を連れて周辺の警戒へ。そのような強力な魔物は見付からなかったものの、周囲の魔物は殲滅。おそらく警護の人間の実力が足りなかったのだろうと結論が出た。
保護された人たちも商人を名乗っていたが、馬車や商品がなかったために怪しまれた。だが魔物にやられて命からがら逃げてきたことと、何人か犠牲になった(これは『ヴァルハラ・スローン』でのこと。この事実があったから信憑性のある語りになった)ことから話は信じられて保護されることになる。
これから保護された人は少しの時間を置いて新しい仕事に就くことになる。商人を続けない理由も今回のことで懲りたとして自然に受け入れられた。
フォイルはドリーに彼らのギフトはどうにかならないかと手紙で聞いたが、位の高い神父が施したギフトは本人にしか変えられない場合もあるという。ドリーにこっそり確認してもらうことになるが、これで全員平穏無事に過ごせるかどうか。
そしてアルビオンはフォイルに助けられたからか、騎士団に入りたいと立候補してきた。龍となった左腕を専用の籠手で隠しつつ、騎士の1人と戦って勝ったら騎士団の入団を認めるという話になった。
この時アルビオンを操作することになったので攻撃スキルなどをしっかりとセットして戦闘に。
騎士1人なので動きを読むのは簡単だった。そして奥義が撃てそうだったので折角だし撃ってみる。
【ただ今は、この一撃に全霊を込める!うおおおおおおお!龍王の迅撃‼︎】
敵から距離を取って、背中に龍を背負っての突撃。赤黒いエフェクトを纏いながら突っ込んだ後は地面がそれこそ地龍でも這ったかのような地面の割れ方を見せて、見返り美人のように剣を振り切った。
「え、可愛い……。それなりに削ったとはいえ、一撃ですか。アルビオンめちゃくちゃ強いんですけど?」
『かっけえええ!』
『間宮君凄くね?本当に高校生?幼児でかっこいいとか最強じゃん』
『フォイルと5歳差でしょ?おねショタ最高……。冬コミはこの2人にしようかな』
『幼児×幼児っておねショタになるの?』
『お姉さんとショタに変わりないからギリ……?』
『リリの可愛いもどうなんだ?幼児が頑張ってる感は確かに可愛いけど』
戦闘イベントも終わり、アルビオンは無事に騎士になることが認められる。騎士も養成学校があって、本来であればそこで基礎を学ぶようだが、フォイルが側仕えにすると宣言したことでフォイルの専属騎士になるようだ。聖女見習いとはいえ、だいぶ権限が強い。
アルビオンのギフトと左腕的に普通に生活をしていたらまずいことになるのはすぐにわかる。そうならないようにフォイルの目の届く場所にいる理由があるのはその通りだ。
ただ、学がなく基礎もできていない者を側仕えにするのは外聞的にもよろしくないということで養成学校には通いつつフォイルのお世話もするという中々のハードスケジュールになるようだ。それをアルビオンは承諾する。
グランベルをある程度査察した後、アンジェリカへ戻る。コアキメイルから距離があるからか、事件の後すぐに帰った騎士団ではコアキメイルの惨状の話は聞かなかった。転移魔法も珍しいからか、それとも被害の規模が大きすぎるからか、グランベルに即日で噂が流れてくることはなかった。
アンジェリカに帰ってから聖女にいきなり騎士候補の孤児を拾ってきたことに小言を言われつつ、適当に聞き流すフォイル。そこからはイベントムービーが流れてフォイルは聖女見習いとしての仕事をこなしつつ正教の調査をして悪の証拠を集め始めた。
アルビオンは養成学校で圧倒的な武力を見せつけるが、座学でかなり苦労している姿がコミカルに描かれる。
Half a year laterと表示されて、フォイルの部屋にアルビオンと2人だけで密談を始めた。
【アル。正教の真っ黒な証拠を集め終わったわ。真っ黒も真っ黒。あなたのような子がたくさんいる、本当にふざけた狂信者どもよ。──正教を潰すわ。正確には名前そのままに中身を挿げ替える。影響力があるからその影響力を全部使えるようにする。業腹だけど、聖女になるわ】
【わかった。革命、だね】
【そう、革命。神なんて知ったこったないわ。もしわたしの行動でギフトを与えられなくなったとしても、その責任は取りましょう。この世界から魔物も悪人も排除する。全てに復讐するわ。もうあなたのように悲しむ子を産まないために、聖女の名前を背負ってやるの。神の言うことは全部無視する、わたしの身勝手な復讐。アルは、地獄まで付き合ってくれる?】
【もちろん。『ヴァルハラ・スローン』で僕は地獄を見た。その地獄よりもマシな地獄なら、僕はいくらでも付き合うよ】
【ありがとう。本当に、あなたをあそこで助けられてよかったわ】
そう言って腰を掛けていたベッドから立ち上がり、アルビオンの前に立って頭を撫でるフォイル。
ん?半年後なのに2人の目線が大分近くない?さっきまでは頭1個分は差があったのに、今は目線がほぼ変わらない。フォイルだって成長期のはずなのに、アルビオンは大分背が伸びてないか?
【都合良く、聖女は今日は外出中。騎士団も結構出払ってる。この内に司教たちを捕まえて洗いざらい吐かせて、拘束。まだ使い道があるから殺しちゃダメよ】
【騎士もダメ?】
【騎士は魔物を倒させるから、殺したらわたしたちが後々苦労するわ。だから絶対的な力関係を見せつけて脅すの。屈服、恐怖心。そういうので今の人は縛りつつ、新しく入る人にはまともな教育を施す。そうして世界を、創り直す。それとギルドともちゃんと連携を取った方が色々と楽よ。だから諸々変えるために聖女になるのが最短ね】
【フォイルが新しい神様になるんじゃないの?】
【いやよ、神なんて。実在のない不確かな者じゃなくて、ちゃんと目に映る存在として皆を導くの。形のあるものの方が、人は信じるんだから。──さあ、始めましょう?新しい世界の第一歩を】
ここでイベントが終わる。セーブポイントがあるのでセーブをする。今日はここまでかな。クーデターは長そうだ。良い時間なのでここまで。
続きが気にならないかと言われたら気にはなるものの、明日は3Dお披露目もあってしっかりと英気を養っておきたい。
「フォイルちゃんがアルビオンのことをあだ名で呼ぶのは信頼関係が築けていそうで良いですね。できればその過程も見たかったところですが……。その辺りは今後の回想などを期待しましょう。それとキリが良さそうなので今日はここまでにします」
『ニヨニヨしちゃうよね。甘酢っぺー!』
『こういうのもっと頂戴!殺伐としていたところにラブコメぶち込まれるのは脳がシェイクされるんじゃ〜』
『クーデター決行か。フォイルも覚悟決めてんなぁ』
『正教がブラックだとわかったからね。泥舟はぶっ壊すしかないんだ』
『ここまで?了解!』
『もうちょっとで日付変わるやん。今日も長かったなぁ』
そう、今日も5時間ほどプレイをしているわけで。毎回キリが良いところで終わらせてるんだけど、長くなってしまうのはストーリーが長いのもそうだけど、続きが気になって次まで進めたいと思うからだろう。
あとはシンボルエンカウントの戦闘をしっかりとやってレベリングも並行してやっているからだろう。今まで一度も負けていないこともあって、このまま負けずにクリアしたいと思うとレベリングもしっかりやっておきたいところだった。
配信外でレベリングをしたいものの、割とストーリーの間で自由時間がない。切りどころが下手だなぁ。もう少し考慮しないと。
配信を終わる前に、お披露目配信の告知をする。
「それとですね。とうとう明日の18時から僕の3Dお披露目があります。もう待機場もできているので、良かったらベルマークを押して通知をオンにしてもらえると嬉しいです。サムネはこれですね」
『とうとう明日か!』
『若干見える質感だけでクオリティ高いのわかるからな!明日何やるか楽しみ!』
『FORは勢揃いになるんですか⁉︎』
『歌はある?お披露目だからあるよねぇ!』
おお、期待値が高い。先輩方全員、3Dお披露目はリスナーの期待値が高いからこそ失敗できないと皆さん意気込んでいた。ゲストで出た時は失敗しないようにと必死だったけど、今度は自分の番だ。
FORで最初ということもあって下手なことはできない。これでダメだったら次の週の2人にも迷惑をかける。
Vtuber的にはチャンネル登録者数がキリ良かったり、新衣装発表が大きなイベントだが、3Dお披露目配信はその中でもかなり大きなイベントだ。3Dで動けるとなったら撮れる映像の幅が一気に広がり、鬼ごっこなどの身体を使った企画に出やすい。
それに何をやっているか視覚的にわかりやすいからか、3D配信の方がリスナーも食い付きが良い。3Dの身体を手に入れることがVtuberの第2のスタートとも言われるくらいに重要なものだ。
モデリングなどもかなり良いものを用意いただいた。関係者の方々には足を向けて寝られないくらいだ。たくさんの方々の努力の結晶がお披露目の舞台。プレッシャーも感じながら、どこか楽しみにしている自分がいた。
内容については秘密と伝えて、配信を終える。
明日はお披露目だ。




