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エピローグ 『ウィザーズ&モンスターズ』の9月箱開封配信

遅くなりました。

 朝は9時過ぎに起きた。遅くまで起きていたとはいえ、ここまでゆっくりしていたのは栃木での撮影振りかもしれない。あの時だって朝食の時間があったからここまでゆっくりしていなかったわけだけど。

 シャワーを浴びてから、出かける準備をする。普通に男の格好で出掛けようと思ったけど、真紀さんが騒動があったばかりだからもう少し普段の顔を隠した方がいいんじゃないかということで中性的なメイクをしてみる。メイクの仕方によって女性の顔も作ろうと思えば作れるけど、ナチュラルメイクをしたユニックス系の女性を目指して顔を作ってみる。

 服装もズボンはジーンズ。その代わり上は女性っぽい服装にした。完成系を見た真紀さんの感想が次の一言。


「ここまで顔って弄れるの……?メイクじゃなくて整形じゃない?」


「細目とかもテーピングで作れますからね。眉毛で印象を変えたり、あとは頬の骨格をどう隠すかで結構顔の形は変えられますよ。喉仏はどうにもならないのでチョーカーで隠すしかないですけど。コスプレイヤーさんとかのメイクとか本当に別人に見えますから、割と顔を隠すって意味では勉強になりますね」


「そういうのも俳優の時に習ったの?」


「そうですよ。舞台の時は濃い目にメイクしないと白い照明のせいでのっぺらぼうに見えるので口紅とかも塗ってましたし、頬にファンデーションとか塗りまくりです。ドラマとかだと明るさの調整ができるのでメイクさん次第ですけど、色々遊ばれましたね。顔が良いと売れるんですよ、俳優って」


 演技よりも顔の場合もあるのが俳優だ。あとはコネとか、贔屓とか。演技が上手かろうと出世できないから成功している俳優なんて才能プラス運が良かったという人がほとんどだ。時折才能がなくても起用される人もいるが、そういう人は本当にコネと顔。もしくは事務所のゴリ押し。

 プロデューサーとか脚本家がそのアイドルを好きだからとか、そういう感じ。遅咲きの俳優なんていくらでもいるが、そういう人たちは才能がなかったとか、歳を取って才能が芽生えたとかではなく、長年の努力を見ていた人がいた場合が多いと聞く。


 俳優として長年続けられる時点で、才能がないと仕事にありつけない。ギリギリ食べていけるだけでその人は天才だ。あとはその天才を発掘するお偉い人が現れるまで待つだけ。それが運だったりするんだけど。

 俺も多分運が良かった方だ。オーディションをかなり受けさせてもらえたこともあり、そのおかげでモブではあるが小さく仕事を貰えていた。舞台でもドラマでも映画でも、いくつか仕事をさせてもらえるという経験ができるというのは俳優を名乗れるギリギリのラインだ。

 そもそも売れた人だって仕事が年単位で来ないことがある。仕事が貰えるという時点で才能がある、運が良いということだ。


 そんなことを思いつつ、2人でカフェに向かう。朝ご飯を食べるためにコーヒーとモーニングセットを求めてチェーン店のコーヒー店へ。朝10時半に来たのに割と並んでいる人が多い。女性が多めだろうか。平日のこの時間にたくさんカフェにいる人たちは仕事とかどうしたんだろう。

 まあ、講義がない大学生とか、仕事が休みな社会人とかだろう。俺たちも同じようなものだし、とやかく言うことはできないだろう。


「え、あの人綺麗……」


「あの2人、どういう関係なんだろう……?」


「背の高い人、中性的でかっこいい……!モデルとかやってるのかな?」


 なんか女性からめちゃくちゃ目線を向けられる。女性っぽく見えるのはメイクと服装が間違っていなかったということだろう。女性2人に見えているなら何でもいいか。

 カフェオレとサンドイッチのセットにする。それを頼んで2人で丸テーブルを囲みながら朝ご飯を食べた。


「案外この時間に人って多いんですね」


「午後から出勤の人もいるだろうから。でもわたしは働いていた時にはそんな余裕なかったなあ」


「普通に朝出勤されて、夕方まで働くのがゲーム会社の普通ですか?」


「デスマーチじゃなければね。普通の会社なことは変わらないから。ただゲームのサーバー保守の人とか、メンテナンス班の人とかは時間差出勤してる人もいたよ。そういう人たちじゃないかな?」


「ちゃんとした会社で働いたことないので、時間差出勤とかもあるの知らなかったです……。あ、でもバイトでの夜シフトみたいなものか」


「そうそう。多分あの人たちは休みとかそういう時間差出勤の人だよ。ふふ、その格好でも注目されるって凄いね」


「男だとバレてないなら良いですよ」


 カフェでゆっくりとして朝ご飯を食べた後、服屋に向かった。女性用の服のパターンが少ないために事務所に行く時用に女性の服を買いに行くことになった。

 真紀さんの見立てで服を買っていく。いくつか服の組み合わせを写真で撮られて、それを陽菜ちゃんに送られた。どれが良いのか客観的な意見が欲しいとのこと。そんな感じでファッションショーが行われて、2つの組み合わせの服を買った。

 ついでに真紀さんに着て欲しい服も見繕って、買い物は終わり。


 その後はカラオケへ。カラオケでご飯を食べつつ歌うのは、実は冬以来だ。男の先輩たちと遊びに行ってもカラオケには基本行かないし、俺は1人でカラオケに行くタイプでもない。友達と遊びに行くとしても食事をして終わりなことが多いので、カラオケに行くのは珍しい。

 歌が好きな友達でもいたら、カラオケにも結構行ったんだろうけど。

 そんなこんなでカラオケには4時間ほど滞在した。エクリプスの曲はほとんどなかったものの、ドロッセル先輩の歌はいくつか収録されていた。歌えるとも思わなかったので歌わなかったけど。


 あとはVtuber系で見たのはスターティンクルとレインボードロップスのもの。あっちは全国流通のCDをたくさん出していることもあり、収録曲はたくさんあった。カテゴリができているほどだ。

 ボーカロイドとかも増えたけど、Vtuberもカテゴライズされるほどに増えたのかと、時代の変化を感じ取っていた。昔なんて純粋に歌のトレーニングとしてカラオケに来てたから、流行り曲くらいしか知らなかったけどカテゴリがたくさんあるものだ。


 カラオケでご飯を食べつつ楽しんだ後は、電車に乗って移動。真紀さんがSNSで宣伝したのでそれに返信する形で俺も宣伝する。

 その宣伝の2時間後、告知を夜に出すよと五反田マネージャーに言われていたので公式の発表についても追加で「重大発表あるかも⁉︎」と煽り文句を添えて宣伝して配信の準備をする。真紀さんの家で準備を済ませて、配信を始めた。


「皆さん、こんばんはー。霜月エリサです。今日は『ウィザーズ&モンスターズ』の9月発売の新弾を剥いていこうと思います。カードの方ですね。スタジオは取れなかったので家からの配信になります」


『開封キチャ』

『エリーが紙の開封するのは珍しい』

『いや、今回こそエリーが開けるだろ』

『スタジオじゃないんか』


 俺たちがよくやっている、『ウィザーズ&モンスターズ』の新弾が先週の土曜日に発売された。なのでその新弾を開けていこうという配信。

 同じ場所で配信をしているが、オフコラボだとは伝えていない。炎上するからね。


「開けていくとは言っても、わたしって『ウィザーズ&モンスターズ』はまだまだ初心者なわけで。なので同期の解説役を連れてきました。どうぞー」


「はい、皆さんこんばんは。霜月さんの同期の、絹田リリです。一応解説役ではありますが、お目当てのカードがあるのでそれが当たったら良いな、くらいのもので全部のカードを解説したりはしません。懐かしいカードのリメイクだったり、昔からあるテーマカードの強化カードが来たら軽く説明するかもです」


『ま、リリだよな』

『エリーかなっちゃんがこういうのやるなら、頼るのはリリだろ』

『今回記念BOXとかじゃなくて普通に新弾なのに、店頭在庫全然ないのやばいな……』

『リメイクや強化カードはもちろん、新テーマが面白そうなんだもん』

『初動から割と好調な良いBOXだぞ。そのせいで転売が盛んになってる』

『マジで転売用にカード買い占めるな。欲しい人間が買えなくなるの、おかしいだろ』


 紹介されて今回の立ち位置を説明する。ついでに今回何で霜月さんが開けることになったのか、という説明をしなければならない。

 俺みたいに毎月新弾を買っているコレクターや、唄上先輩のようにデッキを強化したいという人でもなければあんまりBOXは買わない。カードショップに行って欲しいカードだけ単品で買う方が安く済む。

 それでも今回開けるのは、欲しい新規カードがあるからだ。


「今回の新弾なんですが、なんと『ノアの方舟』テーマの新規があるんですよ。しかも25周年レアもあるとかで、これは是非欲しいってなって、リリくんと開けようと考えたわけです」


「霜月さんが今使っている『フレスト・オーダー』のデッキは『ノアの方舟』とも相性が良い地続きテーマですから。とはいえ今回のものは結構『ノアの方舟』単体デッキのサポートだったり、『フレスト・オーダー』2期のサポートカードが多めなんですよね。使えなくはないんですけど」


「『フレスト・オーダー』2期って『フィロ・ローマス』主体のカードだよね?」


「そうです。『フィロ・ローマス』単体出張が多くて2期単体デッキを組んでいる人は少ないんですよね……。割と強いし、慣れれば面白いデッキですよ?」


『2期はなぁ。1期と4期と比べたら結構煩雑というか……。なら1期に混ぜ物で良くね?になっちゃう』

『というか、1・4期の贔屓がヤバいだけ。3期も割と泣いてるだろ』

『3期はシナジーがなさすぎる。そういうテーマ群なんだろうけど、属性から種族からバラバラすぎるんだよな』

『で、敵対派閥だから4期とシナジーもなく。『フレスト・オーダー』3期のはずなのに何もサーチできないからぶっちゃけ別テーマなんだよな』

『コンマイも最初3期だってこと隠してたし。『ルトゥナ・ノア』出した段階でモロバレだったけどな!』

『あれはアニメ先行で『ルトゥナ・ノア』使ったアニメラスボスが悪いし……』

『あの召喚方法はマジで人の心がなさすぎる』


 さすが人気テーマ。コメント欄が活発になった。

 背景ストーリーというのがカードによってはあって、『フレスト・オーダー』は今のところ4期まである。その4期の新カードということで今回のBOXは人気になっている。カードイラスト、効果、強さ、エモさ。そんな諸々を込みで最高レアリティの25周年レアのあるカードは4万円という高額カードになっていた。

 真紀さんが欲しいのもそのカードだ。


「『ノアの方舟』の25周年レアが欲しいなーって思って今回は開けていきます。ちなみに2人とも3BOXずつです」


「合計90パックですね。3BOX買っても目当てのカードが出る可能性はかなり低いんですが。そもそも1BOXで25周年レアが確定というわけでもなくて、出たらラッキーくらいに思ってください」


「『ノアの方舟』関連の新規は8枚で、その内最高レアリティがあるのは3枚だっけ?」


「そうですね。モンスターが2枚、マジックが1枚です。出たら説明しましょうか」


「事前にパックに鋏は入れてあるので、どんどん剥いていくよー」


 チャンネルの配信主が真紀さんなので、基本は真紀さんが当たったレアモノについて説明する。カードって光ってなくても強いカードがあるから光っているかどうかだけで判断するのはまずいんだけど、彼女が読み上げるカードの名前を聞いて答える。

 手元を映したりはせずに、出たカードはネットでも公開されている公式の画像から載せる。配信などにサイトを利用しても良いと言われているので、ありがたく使わせてもらう。

 俺も剥きつつ、真紀さんの配信の声を聞いていく。


「あ、スーパーレア!『アーツマジシャン・アイン』、モンスターだね。星4だから使いやすいかも」


「今弾からの新規テーマですね。魔法使い族の強化テーマなので、かなり有り難がられています。そのカードが初動なので当たりカードですよ」


「ノーマルカードで他にも『アーツマジシャン』って付くカードあったから、それ系かな?」


 スーパーレアは1BOXで5枚ほど入っているので封入率は高い。ただ目当てのカードではなかったために解説もそこそこにする。

 光っているカードは基本スリーブに入れる。俺も当たったカードがあるのでスリーブに入れつつ、『アーツマジシャン・アイン』の画像を真紀さんに送って、やっと出た『ノアの方舟』のカードについて説明する。


「こっちでレアカードの『世界樹(フレスト)との訣別』が出ました。フレストの名前が入っているのでサーチもしやすいトラップカードです。これは2期フレストのカードで、『グレイム』というキャラが消えていく描写のカードでストーリーの最後に近いカードのはずです。これ自分のSPデッキから何でも好きなカードを落として、その攻撃力以下の『フレスト』モンスターカードをデッキ・セメタリー・除外状態から特殊召喚すると。いやこれ強いですよ」


「SPデッキのカードは指定ないんだ?」


「ないですね。『ノアの方舟』は共通効果で『フレスト』カード扱いなので、使いやすいです。しかもこの時に『グレイム』と名の付くカードをセメタリーに送った場合、効果は無効化されずに相手フィールドのカード1枚を除外できるおまけ付き。凄い強いです」


「『グレイム』かあ。どっちも採用してないなぁ。出す条件難しかったよね?」


「『ナクス』と『世界樹(フレスト)』を使ってまで出すかと言われたら微妙ではありますが……。使うと思ったら言ってください。コレクションファイルには確実にあるので」


「その時はよろしくね」


 『グレイム』は別人で2枚あるのだが、そのどちらもSPデッキから出さなくちゃいけない。召喚すること自体はそこまで難しくないのだが、彼を出すくらいなら『ルトゥナ・ノア』を出した方が強いと言われてしまう。『ルトゥナ・ノア』が出てくるまでは確実に『フレスト・オーダー』デッキでのエースだったのに。

 今回の『フレスト・オーダー』の新規は2期に関わりのあるカードが多い。そのため、今更ながら2期のカードが人気になり、カードショップから在庫が減っている状況だ。再録されているものは人気の1期のカードばかりだから、2期は実は集めにくかったりする。

 そろそろ周年BOXとかで再録されないだろうか。年末箱とかは再録が多めなので期待したいところだ。

 その次の関連カードは真紀さんが引いた。


「ウルトラレアの『フレスト』カード!『世界樹との契り──終焉』、儀式マジックだって!」


「大当たりです。とうとう儀式召喚まで手を出したかって感じですが、これがまた強い。このカードのおかげで『フレスト・オーダー』のデッキレシピが一気に増えましたね」


『来たか』

『今まで儀式はなかったんだけど、契約とか儀式めいたことが多かったカード群だからとうとうか、って感じ』

『これで出す『世界樹の番人(フレスト・オーダー)カノン』がバカ強えんだ』

『『ルトゥナ・ノア』以外の新エース。こっちも攻撃力5000とかバカ高え。効果もおかしい』

『儀式軸が一気に注目されてるからな。儀式なんて最近は日の目を見なかったのに……』

『これを儀式と呼んで良いのか?まあ、ええか……』

『デッキを素材にするな!』


 儀式カードというのは基本的に手札・フィールドのモンスターをセメタリーに送って、手札から指定の儀式モンスターを特殊召喚するというもの。だけどこの儀式マジックは素材をデッキから選べるし、対象の儀式モンスターがデッキ・手札・セメタリーのどこにいても使えるというもの。除外だけはダメだけど、それ以外からならどこからでも召喚できるのは強すぎる。

 デッキを素材にしていいということもあって、たとえモンスターが手札にいなくてもデッキから直接素材にできる。素材も出したいモンスターもデッキで良いので、極力この儀式マジックさえ引っ張ってこられたら『世界樹の番人(フレスト・オーダー)カノン』をすぐに出せる。


 デメリットとして素材にしたカードは裏側で除外されるという、試合中にもう使えなくなるので強いカードをわざわざ素材にしないといけない上に、効果なども使えずに蘇生もできないのは大きなデメリットだ。

 そのデメリットを踏み倒して、一撃で決着をつければいいだけではあるんだけど。

 それから新規テーマのカードだったり、既存テーマの強化、リメイクカードは紹介した。カードゲームは昔のカードにも出番があるのが良いところだ。いや、カードによるか。確かポケクリのカードはレギュレーションがあって、何年かでレギュレーションから落ちてそのカードが使えなくなるらしい。


 レギュレーションから落ちたら観賞用のカードにしかならないのはどうなんだろう。『ウィザーズ&モンスターズ』も古いカードの大半は使えないから、その辺りは大差ないか。

 BOXに3枚は入っているウルトラレア。その中でお目当てのカードを真紀さんが引く。


「あ、リリくんこれ!『世界樹の番人(フレスト・オーダー)カノン』引いちゃった!すっごいビカビカしてる!」


「もしかして25周年レアですか?効果欄のところに25周年のロゴ入ってます?」


「ちょっと待ってね、スリーブに入れて画像送るから」


 そう言いつつ、俺のところにカードを持ってくる。画像も撮っているんだろうけど、直接見た方が早い。

 カードを確認して、効果欄を見る。ここに25周年のロゴがなかったのでこれは25周年レアじゃない。ということはこのカードだけでかなりレアリティ違いがあるな?

 カードの文字は金色なのだが、カードの縁がビカビカに光りつつ、絵の部分は光の線が入っている。だけど25周年レアは効果欄のところにロゴが入っているだけではなく、攻撃力と守備力が金色になる。それにカード名の文字が緑色になあっているのが特徴だ。

 真紀さんが席の前に戻ったのを確認して、確認結果を伝える。


「霜月さん、これは25周年レアじゃなくて、プリズマティックアートレア、という種類になります。ちょっと調べましたけど今回のBOXでのレアリティとしては上から2番目ですね。『世界樹の番人(フレスト・オーダー)カノン』はウルトラレア、シークレットレア、プリズマティックアートレア、25周年レアの4種類あるみたいです。こうやってコレクターを泣かせて……」


「ど、どんまい?でも嬉しいなぁ。ソラン先生の絵って美麗だし、欲しいカードだったから嬉しい〜」


 真紀さんがゲーム会社にいた頃、製作担当した3Dキャラの元絵を描いていたのがソラン先生らしい。その縁でソラン先生の絵が好きだとか。

 ソラン先生はこの『ウィザーズ&モンスターズ』のフレスト・オーダー関連のカードをほとんど描いていらっしゃる。3期は違う先生の方が描いていたが、それでも敵キャラに当たる『ノアの方舟』所属のキャラクター、つまりは1期フレスト・オーダーと関わりが深いキャラの原案はなさっていたとのこと。


 以前真紀さんにはその辺りのイラスト設定集を貸したことがある。再販があるかわからないけど、あったら絶対に買うと言うほどにファンだ。

 他にもウルトラレアやシークレットレアは出るものの、『ノアの方舟』関連ではなかったため簡単な説明だけで済ませた。1BOXは終了して2BOX目。

 俺の方で25周年レアが出た。


「あ、あー……。出ちゃった。『世界樹(フレスト)シェルマー』です。25周年レアだ……」


「えー!あたしまだスーパーレアの方も出してないのに!良いなー!」


「3枚必須級ですし、スーパーレアだから早めに出るかなと思ってたんですけど、まさか最高レアリティが先なんて……」


『やってんねえ!』

『今回の新弾で一番の当たりじゃね?販売45000円とか見たが……』

『女の子のイラストだとすぐ値上がる……。カードゲーマーの心が分かってやがるぜ』

『今見てきたら『世界樹の番人(フレスト・オーダー)カノン』で38000円、『世界樹との契り──終焉』で55000円付いてる』

『55000円⁉︎』

『BOXが店頭から消える理由……』


 2期フレスト・オーダーのヒロインの変性した姿と思われる『世界樹(フレスト)シェルマー』。そもそも名前がそのままシェルマーだし、姿もシェルマーが10歳くらいになった姿だ。

 最後の世代交代。そしてシリーズの終わりの意味での終焉。世界からオレンジ色の空ではなく、青空を取り戻して物語は終わる。これ以降フレスト・オーダーの新規カードは来るかどうか。そもそも一度終わっているのに新規が来たからビックリではあるんだけど、この感じだと新たなテーマをつけてくるか、物語の脇でいた人物などで新規カードが来そうではある。


 それとコメント欄を見て今回の25周年レアはそんなに高いのかと驚く。ポケクリほどではないけど、『ウィザーズ&モンスターズ』も高額になってきたな。

 結果、6BOX開けて出た25周年レアは2枚。真紀さんが当てたのはお目当てのフレスト・オーダーではなかったため真紀さん的にはがっくし。でも『世界樹(フレスト)シェルマー』は2枚確保したし、新規カードは全種類手に入れたので3BOX開けたとすればそれなりの成果だろう。

 そして、ここで終わりじゃない。


「あとはBOX購入にくっついているボーナスパックがあるね。これって全部スーパーレア以上なんだっけ?」


「そうです。なのでここから25周年レアが出る可能性もありますよ」


『これこれ。これが楽しいのよ』

『最後のオマケがBOX購入する理由まである。割とレアリティ高いカード入ってんのよな』

『エリー的にはもう1枚シェルマーが欲しいか?終焉もあるだけ良い』

『リリはコレクターだから持ってないレアリティならなんでも良い感じか』


 ボーナスパックは3パックずつ。これにはまだ鋏を入れてなかったので今剥く。先に俺からだ。


「えー、1枚目は『機動要塞アルマーク』ですね。2枚目は……『アーツマジシャン・ブラスター』のシークレットです。シークレットは出てなかったので嬉しいですね。3枚目は、『世界樹(フレスト)シェルマー』のスーパーレアです。まあ25周年レアなんて簡単に出ませんよ」


「次はあたしね。フレスト・オーダー系が欲しいなぁ。1枚目は……『ケプカ・セ・ララ』だ。新しい手札誘発だから嬉しい〜。2枚目は……あ、ああっ!リリくん出ちゃった!」


「あ、フレスト・オーダーです?」


「25周年のロゴある〜〜〜!『世界樹との契り──終焉』の25周年レア‼︎」


「おめでとうございます!」


『エリーおめ!』

『マジもんの大当たり!』

『とりあえず3枚入れとけカードだからな。でもデッキに入れたくね〜!』

『5万するカード、デッキに入れたくねーよ……』

『オーちゃんは平気でハイクラスデッキとかにするぞ』

『唄上はマジもんの大金持ちだから考慮外だ』


 出るもんだなぁ。小さな苗木を真ん中に、左側で眠っている世界樹シェルマーと、そんな彼女へ泣きそうな顔で手を伸ばしているカノンの構図。カード名からこれで世界樹と契約して、『ノアの方舟』ではなく、『世界樹の守人』、もしくはカード名通りに『世界樹の番人』になったのだろうという回帰の物語。

 それはナクスが通った道。そして彼の息子であるフィロは選ばなかった道。そんなフィロと同じ魂を持ったカノンが選ぶしかなかった道。

 カード名とイラストが公表された時点で、フレスト・オーダーの設定集からどの場面か察して界隈が今月は盛り上がっていた。


「いやー、嬉しいね。最後の1枚は……あ、銀色⁉︎やった、シークレットの『世界樹(フレスト)シェルマー』だ!3枚目!」


「これでデッキ改造できますよ。目標枚数がひとまず揃いましたね」


「うん。あとでデッキレシピ教えてね」


 これで開封配信は終わり。最後は告知の時間だ。

 陽菜ちゃんはいないけど、本人からやっていいよと言われているのでそのまま告知をしてしまう。


「じゃあ最後に告知です。まず1個目!」


「はい、映りましたね。僕の3Dお披露目配信です。来週の土曜日、18時から実施予定です」


『3Dお披露目⁉︎そんなあっさり!』

『お前、3Dになるんか』

『歌じゃなかったのかよ!2人で歌えよ!』

『あれ?コラボでこれ発表ってことは……?』


 画面には絹田狸々3Dお披露目配信と書いてあり、黒いシルエットで姿は隠されている。けど下半身は見えていて、こんな感じですよと若干見せている。

 で、俺だけの発表じゃない。


「続いてこちら!あたしと夏希。同時3Dお披露目配信決定〜!」


「珍しいことに同時お披露目です。それと2人のお披露目はエクリプスの公式チャンネルでされるのでご注意ください」


『エリーとなっちゃん同時⁉︎同じ枠⁉︎』

『そういうこともあるんや……』

『これ、みなちぇがごねってこうなっただろw』

『FORも全員3Dか……。時期的には順当の一言ではあるが』


 そう、真紀さんと陽菜ちゃんは同時お披露目となった。2人で歌ライブをやりたいらしい。最初は俺も一緒が良いと言っていたが、それは流石に長時間になりすぎるのでスタッフからNGが出た。じゃあ炎上しない組み合わせは、ということで俺だけ単独だ。

 本来3Dお披露目は個人でやるものなのだが、陽菜ちゃんが同時にやりたいと言ったことでどうしようかと考えた結果のことだ。この後公式からも宣伝が出る。


 陽菜ちゃんにも告知したと伝える。

 お披露目はお楽しみにと伝えて、配信を終わらせる。配信を終わらせたら片付けをして、真紀さんのデッキを編集して儀式を増やしたデッキの完成。それをSNSで見せつつ、今日の仕事はおしまい。

 仕事がおしまいと言うことはプライベートというわけで。

 そのまま俺は、真紀さんの家に泊まった。寝るのが遅くなったのは仕方がないことだろう。


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