表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/110

話題の高額ゲームをプレイ【SoF】#1

こちらの作品は今年最後になります。

良いお年を。

 身バレ騒動もだいぶ治ってきたころ。まあ、まだ俺の中身を特定しようとしている人もいるんだけど。見切れて写っていた五反田マネージャーがリリ扱いされていたのは不謹慎だけど笑った。

 演劇をやっていたとか諸々込みでほぼ住吉祐悟だとバレているけど、明言しなければ一応秘密のままだ。配信とかで中身に触れてこなければいい。

 今日は朝配信から珍しくゲームの新タイトルをプレイする。色々な意味で話題になっている作品であり、パッケージ版はこの後の10時に店頭に並ぶが、ダウンロード版は0時の段階でプレイができる。配信者や早くプレイしたい人はダウンロード版なことが多いだろう。


 今回のゲームは据え置き機では1つしか対応しておらず、あとはPC版しかない。俺は据え置き機でできるなら据え置き機でやりたいので、事前に据え置き機にダウンロードをしておいた。

 配信者はほとんどPC版でやるが、PCの容量も無限ではないし、PC版しかないようなゲームをやる時に困りたくないので今回は据え置き機でやる。あとアクションRPGということもあってコントローラーで操作をしたかった。

 エクリプスでも既にポラリス先輩とKP7先輩、そして頑固一徹さんがプレイしている。他にもやろうとしている人は多い。KP7先輩が必死にこのゲームを勧めていたこともあってエクリプスでの認知度は高い。


「皆さん、おはようございます。絹田狸々です。今日は珍しく朝から新作ゲームをやっていきます。『Spill over and Fall-fortune fallen doom-』というタイトルですね。今日発売なんですが、色々な意味で既に話題になっているゲームです。ゲームのコンプライアンス的にこのタイトルプレイ時はスーパーチャットを切っているのでご了承ください」


『リリおはよー』

『リリが発売日に新作ゲームやるの珍しいな』

『お前またすぐ楽曲提供しよってからに!なんなん⁉︎』

『『SoF』じゃん。まあ、気になるよね』

『なんたって値段が、ね』

『配信は許すけど、収益上げるのは許さんって会社あるからな。スパチャ禁止了解』


 今日発売というだけあって今日はいつもよりも同接数が多い。ちらほらと触れている人もいるが、話題になる理由がまあたくさんあるゲームだ。

 それに他の話題を出している人もいるが、それは昨日のことなので触れるタイミングとしては良いだろう。


「ああ、昨日の『リリをおもてなし第2弾』について話しましょうか。今回は女性陣ということで亜麻井先輩、イソラ先輩、ユークリム先輩、但馬さんが対象でしたが。今回の僕の楽曲を勝ち取ったのは全員です。全員あそこまでふざけなくても良くない?」


『あ、また曲上がってたのね。後で聞きにいくわ』

『同率1位じゃなく、同率ビリというふざけた結果だぜ』

『足の引っ張り合いが酷かったですねえ。エンタメとしては面白かったけど』

『何で接待パーティーゲームが全員借金で終わるんですかねえ?』

『一応リリがトップにはなったから……』

『何でリリはあんなに妨害されて何だかんだ1位になってるの?』

『醜い争いのせい、ですかねえ』

『そもそも銀行役って普通にやってれば黒字になるはずなんよ』


 一応ゲームマスターというか、俺が銀行役になって他の4人が俺から借金をしながら資産を増やして俺に返済するという領地育成ゲームをやったはずなのに、なぜか俺への返済が滞りまくって全員が借金地獄になった。普通にやっていれば銀行役の人よりも資産を増やせて勝てるはずなのに、泥沼の借金押し付け合いゲームが開催された。

 俺も金利とかを調整して返済しやすくしたはずなのに、相手プレイヤーを貶める行動ばかりしたために領土はすっからかんに。

 全員仲良くすべきだと、4人で歌う曲を提供した。普通に仲良しだし、歌もしっかりとハモれるくらいには合わせることができるのに、エンタメとなるとボケ始めるんだから困った人たちだ。

 企画の動画と、歌動画がどちらも昨日の夜に投稿された。今回は動画の最後に普通にこの後公開って書かれていたために驚かれることもなかった。


「『それでも僕らは』、なんだかんだで良い曲に仕上がったんじゃないでしょうか。作詞は全員に任せたので個性が色々と出ていますが、あれが纏まるんですねぇ。作曲した僕としても驚きです。というかあの人たち、顔突き合わせて5時間で歌詞完成させたらしいですよ?」


『あの4人ってどんなふうになるんだろうって思ってたけど、全員尖ってたな』

『の割には歌には協調性があるっていうか。脳がバグりそうだぜ』

『5時間で纏めるって仲良しじゃん』

『但馬っちも最後の方は先輩とか関係なく暴れてたからなぁ。企画としては良かったんだろ』


 昨日の企画のことはそんなところで良いだろう。

 今日やるゲームの何が話題になったかって、まずはその想定プレイ時間。全てのシナリオをクリアするには100時間を超えると製作側から言われている。

 そしてDLCなども一切ない。作る予定がなく、追加シナリオなどではなく、作るとしたら続編だと言い切っているのでこの作品を楽しむならこれを1つ買ってくれればいいと明言しているほど。

 そのお値段。15000円(税抜)というフルプライスゲームって何だっけという値段だ。一般のフルプライスゲームの倍額であり、それだけの値段に見合うものを開発したと豪語している。


 元々RPGなどでも良い評価を受けている開発会社ではある。そのため会社のファンとかも購入しているようだし、発売前に発表されているデモムービーなどからグラフィックの美麗さ、豪華声優陣、洗礼された戦闘システムなどからとんでもない値段も合わさってかなり注目されていた。

 KP7先輩がこの会社のゲームが好きだったのでかなり布教されたわけだ。

 早速ゲームを始めていく。

 OPにも超有名なバンドを起用して、アニメーションはアニメ会社に作ってもらい、ド派手なOPで始まる。とにかく戦闘戦闘という感じで、とにかく戦ってばかりのOPだった。

 そのままプロローグが始まる。


【全てを神に捧げよ。意志も身体も財産も、子も心も選択も、全て神へと捧げるのだ。さすれば神からの祝福が降り注ごう。与えられた才を伸ばし、他者を助け、お金を稼ぎ、教会に寄進し、また才を与えよう。神は進化を求む。神は人間を愛している。その愛に報いよ。さすれば──世界は救われる】


「おおー、フルボイス。まあ、このお値段なら?」


『宗教戦争っぽいのよね、今回』

『めっちゃグラフィック良いじゃん!テンション上がるー!』

『一神教?宗派の違いで戦争ありそうか?』

『お、でたな。ゲームモード選択』


 プロローグが終わると選択肢が3つ現れた。ゲームモードの難易度とシナリオ選択らしい。難易度とストーリーがリンクしているようで、イージー専用の主人公、ノーマルの主人公、ハードの主人公とそれぞれ操作キャラがいて、難易度を途中で変えることはできない。

 普通に考えたらイージーから順番にやるんだけど。


「他の人たちがノーマルとハードでやってる中、僕だけイージーでやるのはなぁ。それにKP7先輩にハードでやろうって言われてるし」


『ここでひよるやついる?いねえよなぁ!』

『ポラリスと一徹がノーマル。KP7がハードか。リリならハードで良いんじゃない?』

『ハード!ハード!』

『ダメそうならセーブデータ変えてノーマルとかにすれば良いんじゃね?』

『ポラリスのを見た感じノーマルは普通に楽しめてたから、無難にノーマルにしとけば?』

『KP7は楽しくハードやってたぞ』


 ここでKP7先輩を裏切るのも違うなと思ってハードを選択。白髪でウェーブ髪のショートヘアの少女。着ている服はボロボロで、頬や肌にも土が付いているような少女。少女というより幼女だろうか。とても幼い。

 名前などを変えることができず、名無しの少女を操作するらしい。名無しなら名前を付けても良いんじゃないかと思うけど、後で名前が付けられるんだろう。

 物語が始まる。全部3Dでグラフィックが統一されている。セリフなどは吹き出しの形で人物の横に出るシステムのようだ。些細な会話もフルボイスで文字起こしがされている。


 主人公の少女が紅い大地の街をふらふらと歩いていた。建物も崩れていて、廃墟やスラムのような雰囲気がある。活気など全くなく、だがそこから離れたところではきちんと整備されている建物や道があった。そこでは大人や子供の笑い声が聞こえる。

 そちらを睨むと、少女の前に汚いおじさんが現れた。酒を飲んでいるようで酒瓶を持ちながら千鳥足で主人公の方へと近寄ってきて、彼女の姿を認めると上機嫌に大声を上げた。


【おお、女のガキ!女はいいぞぉ、高く娼館に売れるからな!適当にソッチ系の才能を開花させてやればお前も幸せだろう!俺は金が入る、お前も美味い飯が食える環境に身を置ける!最高だろう⁉︎】


【……死ね。違法売買(ブローカー)の屑。お前らのせいでこの辺の子供が消えた】


【いいじゃねえか、生きていられるんだからヨォ!死ぬよりマシだろ!お前ももうすぐ空腹で死ぬ。その前にギフトを与えてもらって奴隷として飼われる!見たところまだ5歳じゃねえだろ!金持ちにすっげえギフト与えて貰えば食いっぱぐれねえ!まあ、夜に寝られることはねえだろうけどなあ!】


「うわあ、凄い屑だ。あ、チュートリアル始まった。主人公ちゃん、殺意満載のガンギマリの目をしてるよ……」


『こういう幼女大好き。もっと暴れてくれ』

『この短いセリフで世界観教えてくれるプロローグ。100点』

『戦闘に入るまでが早い!』


 操作説明でローリングによる回避にダッシュ、攻撃に防御などを悪人のおじさん相手に勉強する。こんな悪人のおじさんをサンドバッグにしても良心が傷まないのが良い。

 武器なんて持ってない主人公ちゃんは殴る、蹴るが基本。

 チュートリアルが終わると、イベントムービーが入る。


【グハァ⁉︎て、てめえ、実はギフト持ちだったのか⁉︎】


【……】


 返事をしないままブローカーが持っていたナイフを奪い取り、それで滅多刺しにする。言葉遣いといい、この描写といい、年齢制限が高めな作品だけあって過激だ。

 しっかりと動かなくなったのを確認して、ナイフを簒奪したまま歩き出す。イベントムービーが終わり、探索のための操作ができるようになる。それにストーリーガイドが表示されて街から脱出しようと出る。それに画面の右下に主人公のキャラクターデザインの胸から上だけが表示されて、字幕が出る。しかもボイス付き。


【ブローカーの仲間がやってくる……。わたしは、生きたい】


「というわけで操作できるようになりましたね。ミニマップにも行き先が出るのは親切で助かります。主人公ちゃんは孤児なのかな?メニュー画面を見てみましょうか。さっきのナイフとか装備できるかも」


『アクションゲー慣れてないと進めるの難しそうか?』

『ハードだからってのありそう。イージーだと戦闘楽だったぞ』

『普通はストーリーが別なら難しくない難易度から始めるもんだからな。操作に慣れている前提の難易度なんだろ』

『殺伐とした世界やなぁ』

『この子、声優東條ちゃんか。東條ちゃんも色々な作品で見るな』


 いくらガイドが出ているからって、この街で探索できそうなら探索してみたい。この感じだと脱出したら当分この街に帰ってこられなさそうだし。

 まずはメニューを見る。ナイフは装備していなかったので『盗品のナイフ』を装備する。装備をすると3Dの主人公がナイフを構えるポーズを取った。細かいな。他に持っているものや、メニュー画面でできることを確認していく。セーブはメニューからできないようだからできる場所が決まっているんだろう。

 メニュー画面でも主人公の名前はわからないまま。『名乗らない少女』か。この書き方だと名前はありそうだけど名乗りたくないってこと。この街で暮らすにあたって、名前が知られたらまずいとかあるんだろうか。


 この子の生い立ちとかそういうのを知る痕跡が街にはあるのかもしれない。そういうわけでガイドに従わずに廃墟に入ったりしてみる。あとはRPGあるあるで割と色々なところに役に立つアイテムがありがちだ。予想通りアイテムがいくつか隠されていた。序盤の回復アイテムって大事だからね。装備アイテムはなかった。

 それと手記などもなく、この子のバックボーンになりそうなものはなし。そもそも5歳にもなってない孤児が文字の読み書きなんてできないか。住人などもいないので話も聞けない。十分探索したと思うので、改めて街の外へ向かう。気付いたら出口の反対まで探索していた。

 出口に向かうとイベントが挟まった。


【てめえ、そのナイフ!返しやがれ!】


【お前たちがたくさん奪ったくせに!】


「あ、強制イベントっぽいですね。さすがハード。戦闘が多い」


『ブローカーの仲間?』

『舐めんなよ!こっちにはナイフがあるんだ!素手だった時とは違うんだ!』

『向こうは大人だし、同じようなナイフ持ってるっぽいんだよな』

『戦闘で勝てば良し』


 主人公ちゃんはナイフを装備したことで通常攻撃やコンボ攻撃が変わった。ナイフ主体ではあるものの、蹴りも殴りもする。回避をしっかりとこなしつつ、戦闘に勝った。イベントで一々胸をナイフで刺すらしい。

 殺意の高い子だなぁ。どこでこんな技術を覚えたんだか。

 イベントが終わるといきなり街に人のシンボルが増えた。身なりのそれなりに良い人から、最初に倒したおじさんのように着崩した人まで。女の人がいないけど、これは罠かイベント進行によってストーリーが進んだと見るべきか。


「あの人たちに話しかけたら何か情報持ってると思います?それともブローカーの仲間かな?まあ、仲間だったとしても倒せばいいか!すみませーん!」


『ちょっとは躊躇えよ!』

『まあ、敵だったとしても経験値美味いか。さっきのも結構くれたし』

『情報は何にせよ手に入りそうじゃね?主人公ちゃんが速攻殺さなければ』

『割とすぐ殺しちゃうんだけど、この子』


「あ、やっぱり敵だった!やってやる!」


 結局全員敵だった。情報は特に手に入らず、戦利品は経験値といくつかの『盗品のナイフ』だけ。性能は変わらないのでいつかは売るだろう。

 あとちゃっかり主人公がお金を盗んだのか、それなりのお金も手に入れられた。改めてスラムを1周するけど、もうブローカーはいなかった。


「シンボルエンカウントだったみたいですね。まあ軍資金と経験値がたんまり手に入ったので良しとしましょう。皆さんお待たせしました。好奇心が満たされたのでストーリーを進めていきます」


『やっとか』

『始まりの街を脱出するのに30分以上かけてる……』

『戦闘がそれなりに歯応えあるから、それなりにね』


 というわけで街から脱出。ここでストーリーガイドが消えて、街から離れるくらいの情報しかなくなった。広大なマップが広がり、どこも街と変わらず赤く焼けた土地のようだ。植物がほとんどなく、土と岩ばかり。でも砂漠ではなく、自然が急に消えたかのような不自然さがある光景だった。

 オープンワールドほど自由があるわけでもなく、主人公の姿が幼少期なこともあって行ける場所は限られているんだろうけど、それでも行ける場所は多そうだ。

 一応試しで街に戻ろうとしたけど、主人公が戻りたくないと言って入れなかった。この街の名前もわからないまま離れることになる。


 それとさっきまではミニマップがあったのに、ワールドマップになるとマップにもやがかかっていた。自分のいる場所はわかるものの、進んでいかなければマップが開放されないらしい。まあ、白紙を埋めていくのも醍醐味か。

 というわけで歩いていくと敵とエンカウント。シンボルはなかったのに戦闘になったから、ワールドマップではランダムエンカウントなんだろう。敵は四足歩行の猪なんだけど体表が青色だ。


「ランダムエンカウント、それに魔物みたいなのがいる世界観なんですかね?あ、突進。回避からの攻撃!あ、さっきのブローカーよりも硬い!」


『さっきは街だったからシンボルエンカウントだったんか?』

『魔物もいるんだ。名称が出ないのは何だかなぁ』

『主人公が無知すぎるから?』

『無知な幼女……。閃いた』

『↑通報した』


 ブローカーよりは強かったものの、レベルが上がっているからか問題なく処理できた。ブローカーのおかげでもうレベルが8になっていることも大きいんだろう。

 レベルは上がらなかったものの、新しいシステムが開放された。ギフトと呼ばれるシステムで、主人公ちゃんは『殺戮者(マーダー)Lv.1』を取得したらしい。


「ええ……。物騒だ。これブローカーを殺し回ったから?これが5歳になると付与されるギフトなんですかね?このギフトは通常の経験値とは別のG-EXPが必要で、これもレベルアップできると。しかもこのギフトは取得のための条件があって、それを満たしたら取得。付与しているギフトによって得られる能力も変わると。やり込み要素だ」


『あれだけ人殺してたらね』

『神から殺人の才能が与えられるって、神認定かぁ』

『この世界の神、もしかしてとんでもなく悪趣味?』

『本人に見合うものを適切に渡してるだけかもしれんから』


 この『殺戮者(マーダー)Lv.1』をつけているとステータスの攻撃力が50プラス、敏捷性が30プラス、人型属性所持の敵にダメージ量増加30%という上昇効果があるようだ。人型の敵なんていくらでもいるだろうからこのギフトはありがたい。

 そんな新システムが開放されつつ、周辺を散策する。最初の街の周りには何もなく、山に囲まれていたために行ける場所も少なかった。ランダムエンカウントで経験値を集めつつ、ここでワールドマップでの仕様に気付く。


「あ、ワールドマップならどこでもセーブできるんですね。良心的」


『レベリング途中で死んだらアレだしありがたい』

『オートセーブないから、そのための対策か?』

『ワールドマップもかなり広いし、迷子になったまま終わらせるための仕様だろ』

『今のところ街の影も形もないからね。これで彷徨って数時間とか経ってから死んだらシャレにならん』

『他のストーリーもやらないといけないから、街でしかセーブできなかったらストレスがやばすぎる』


 ひとまずセーブして探索再開。様々な敵を倒してレベリングしつつ、このゲームでは初めて見た水源であるオアシスもどきがあった。ここは街のように入ることができて、ちゃんと表記が『オアシス』だったので立ち寄れる場所だったんだろう。

 中には中央に水源があって、その周りに若干植物があるくらい。そしてNPCがいた。ブローカー以外に初めて見た人だ。

 セーブポイントもあったのでセーブもする。セーブポイントは初めてだったためにTIPSが出つつ、NPCに話しかけてみる。これでストーリーが進むだろうか。人が3人と、近くに馬車がある。馬車も3台あるが、商人だろうか。


【やっとコアキメイルか。ようやく一息つけそうだな】


【しっかしあのガキども、何に使うんだろうな?渡した後に数日経ったら何人か返されることがあるだろ?ギフト次第か?】


【良いギフトなら何かしらに使うんだろ。要らない奴まで飼ってたら金がかかって仕方がねえ。俺らも面倒だから近くにスラムに捨てちまうけどな!】


【報酬が良くて、最後はあそこのゴミ溜めに捨てちまえばそこまで手間でもねえ。あとはブローカーの皆様に任せちまえば良いのさ!】


【あいつらも惨めだよな。あんなスラムにいるのはカスギフトの奴か、ギフトも貰えねえ赤子ばっか。そんな中から買い取ってくれるほどの当たりが出ねえかと毎日あんなくっせえ場所でガキのケツ追っかけて、二束三文しか得られない。あそこは俺たちがゴミ溜めにしてんのによ!】


【【【ギャハハハハ!】】】


「うわあ、世界観からして真っ黒だぁ」


 サブクエストっぽくてフルボイスじゃなかった。この人たちも人身売買の商人らしくて、馬車の中にはたくさんの子供がいるらしい。

 ギフトってそんな凄いこともできるのだろうか。いや、主人公を今の状態からお金をかけてしっかりと育てれば世界最強の暗殺者になれるかもしれない。

 良いギフトが得られれば、こうやって悪い大人に利用される可能性もあると。まだギフトを得ていなければ可能性は無限大。これ酷いギフトガチャを世界全体でやっているのだろうか。

 多分主人公になれるんだから主人公の『殺戮者(マーダー)』なんてめちゃくちゃ希少なんだろうし。主人公が3人いることもあって珍しいギフトも一定数はいるんだろうから、ギフトガチャに走る人間が多くてもおかしくはなさそうだ。


【……お前たちがそうやって皆を連れてきたのか】


「あ、主人公だけボイスついてる」


【あ?ガキ?何でこんなところにこんなちっさいガキが……】


【お前もコアキメイルに連れてってやろうか?上手くいけば貴族の奴隷にしてもらえるぜ!】


【……死ね、クズが!】


【うおっ⁉︎やるってのか!】


 戦闘になった。孤児として生きてきたんだろうから、こうして孤児を増やそうとする人間を主人公は許せないんだろう。

 戦闘は初めての複数相手だ。こっちは1人なのに3人はずるいぞ!

 と思ったけど、戦闘は得意じゃないのか割とあっさり倒せた。商人のようで攻撃モーションも遅いから見てから回避が余裕だった。

 そしてしっかりとトドメを刺す主人公。敵対したら容赦ないな。


 悪い商人を倒したからか、馬車から子供が出てくる。年長らしき10歳くらいの少女が出てきて、回復アイテムを譲ってくれないかとお願いしてきた。死にそうな子供がいるから使いたいと。

 数も余っていたので渡す。これでクエストクリアらしい。報酬にお金と、小太刀を貰えた。この子供たちは商人が持っていたお金と馬車を使って元いた街へ戻って親元へ帰るらしい。その辺りはギフトでどうにかできるようだ。

 便利だな、ギフト。元いた場所への正確な道順がわかるものと、動物を従える能力らしい。


「あれ?主人公は連れていってもらえないの?街があるらしいのに」


『置いていかれましたね……』

『イベントクエストで強制移動はないんじゃね?』

『メインストーリーじゃなくて多分サブだし』

『本筋に戻れってこった』


 貰えた小太刀はナイフよりも攻撃力が高かったのでそちらに装備を変える。オアシスには他にも装備品のマントがあったのでそれを回収して装備。あとはオアシスの水がHPを回復してくれたので、探索再開。

 それからシンボルエンカウントの敵も何人か倒してレベリングをしつつ、ようやく人がいる活気のある街に着いた。オアシスとは真逆の位置にあり、『冒険砦グランベル』と言うらしい。

 商店を営む人はもちろん、甲冑や大太刀を装備した大男、軽装ながら鞭などを腰につけた女性などが闊歩していた。冒険という言葉が指すのは冒険者なのだろうか。


【さあ、ニュービーはいないか⁉︎新しいダンジョンが見付かったぞ!ここで名を上げてお前もすぐに上級冒険者の仲間入りだ!】


【ギルド長が死人を増やそうとするな!普通にベテランが向かってくれ!歴が短い奴はお断りだよ!】


【冒険者?ギルド?……行ってみよう】


「フルボイスなのでメインストーリーですかね?冒険者とかギルドとかあるんだ」


『新人にダンジョンアタックいきなりさせるなよ……』

『この世界はダンジョンがポンポン増えるのか?』


 夫婦漫才のように妙齢の男女が大きな建物の前で呼びかけをしているイベント。

 主人公が興味を持っているし、ストーリーガイドも更新されたのでギルド長の元に向かう。そこで話しかけるとイベントが進んだ。


【お、なんだ嬢ちゃん。もしかして冒険者になりにきたのか?】


【冒険者って何?】


【あんたみたいなひよっこが来るところじゃないよ。さっさと親のところに帰りな】


【親なんていない。兄妹は皆連れ去られた】


【……ブローカーか、それまがいの人間のせいかの。つまり嬢ちゃんは行く宛もないと?】


【ない。ブローカー殺せば、お金もらえる?】


【アンタ、ちょっとこっち来な!】


 物騒なことを言った主人公は女将さんに首根っこを掴まれてギルドの奥の部屋に連れていかれる。そこでギルド長相手に近くの街から逃げてきたこと。ブローカーを殺したことを伝えていた。

 その物騒な事実に頭を抱える2人。実力はあるために、そして身分証明の意味も込みで冒険者になることが丸いと結論が出て冒険者になることに。

 そこで名前を聞かれたが、一向に答えない主人公にギルド長が優しく諭す。


【別に本当の名前じゃなくて良いんじゃ。偽名を使ってる冒険者などゴマンといる。お前さんの名前を他人に明かしたくないのなら、別の名前でいい】


【……じゃあ、あなたがつけて。意味とか、そういうのわからない】


【ふむ……。じゃあトレ・フォイル。フォイルが名前じゃぞ】


【フォイル……。どうして……。──わかった。フォイルって名乗る】


【うむ。フォイル、では冒険者について説明しよう!】


 フォイルという名前にどこか思うところがあったようだが、主人公はフォイルを名乗るようになる。

 冒険者はギルドの発行するクエストをクリアして報酬を貰う職業。やることは護衛任務や素材採取もあるものの、本分は世界に唐突に現れるダンジョンの探索のようだ。ダンジョンには希少な素材や武具が眠っているようで、それらを売却することで生計を立てるのが基本らしい。

 そしてお金を貯めた冒険者がやることは、教会の神父に頼んで新しいギフトを与えてもらうことらしい。超絶レアなギフトは買えないものの、ある程度優秀なギフトはお金で買えるようだ。ただし、与えられたギフトは成長しづらく、適性がなければ全然育たないようだ。


 生来持っていたギフトが一番伸びやすく、それの上位互換のギフトであれば成長もしやすいのだとか。そのため基本はギフトのランクアップを目指すことが吉らしい。

 随分世知辛いシステムじゃないだろうか。

 これを聞くとフォイルは生来の殺人鬼になりそうなんだけど。

 ギルドお抱えの物臭神父の元に案内される。その年老いた神父はフォイルを見るたび、顔をブルドック並みに皺くちゃにさせた。知っている人だったのだろうか。


【バルドフ。そいつを冒険者にするのか?やめておけ、お前の手に余る】


【うるせえ、ドリー。物臭らしさはいらねえんじゃよ。こやつ自分のギフトがわかってないらしくてな。初回費用は儂が持つから見てやってくれ】


【断る。そいつが別のギフトを欲しがったらお前が金を出してやれ。そいつは無自覚ながら、自身のギフトを理解しているぞ】


【……なんじゃって?】


【人への理解が薄い状態で『殺戮者(ソレ)』だ。貴様が愛なんぞ教えようものなら、世界をそいつは殺すさ】


【それが、お前さんの見解か?それとも、神のお告げか?】


【バカめ。神は人間に何も言いはしない。愛さず、施しもない。──祝福しよう。世界の命運は、その少女に委ねられた】


【物臭も通り越して、頭がイカれたか?まあ、いい。フォイル、もし新しいギフトを貰いたかったらアイツに声をかけろ。金は取られるが良いギフトを紹介してくれるだろうぜ】


 物臭神父が意味深なことを言う。

 このお金でギフトを貰えるというシステム。ゲーム的なシステムなのか意味があるのか。というか神がかなり怪しく見えるのはゲームだからだろうか。


「主人公の名前がわかって、冒険者にもなってキリが良いですかね。続きが気になるのでまた夕方の配信でもプレイしていきたいと思います。お昼はちょっとやることがあるのでこの辺りで終わります。ではではお仕事や学校の皆さん、今日も一日頑張っていきましょう。お休みの人はゆっくりお休みください。それじゃあ、バイバーイ」


『仕事やるかぁ』

『今日も1日学校頑張るゾ!』

『夜もやってくれんだ!続き楽しみ!』

『バイバーイ!』


 キリが良かったのでここまで。育成要素がたくさんあったり、この破滅しそうな危ない少女がどうなるのかかなり楽しみだ。

 他のルートはどっちも男の子が主人公だったけど、ここまで暗いストーリーじゃないんだろうか。いつかやる時を楽しみにしておこう。

 お昼にはバンド練習がある。朝ご飯を食べてランニングをしたら事務所に向かおう。

 女装するから、準備に時間がかかるようになったのは難点だよなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ