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新人などの新情報確認

 夜配信の前に、15時くらいに新情報が事務所から発表されていた。今後の運営方針と新人男性ライバーが2人デビューするという話だ。今回は既にビジュアルも名前も設定も公表されているので触れやすい。デビューの日付も出ているのでお昼からこの話題でSNSは盛り上がっている。

 俺としてもこの話題をしようと思って、『ソラソラ』をプレイしつつ雑談をしようかなと思った。『ソラソラ』でレイドイベントが始まっているので視聴者参加型で回そうと思う。

 配信を始めて、レイドイベントを始める前に今日の出来事があったのでそのことを話す。


「新人は男性2人みたいですね。初めての同性の後輩なので嬉しい限りです」


『幻想組は女性だし、あんな感じだしな……』

『男子2人以上同時デビューって2期前半のグローバル組以来ってマジ?』

『1年以上空いてる?マ?』

『確かに最近は女性デビューが多かったか……。統計的にもVtuber全体として女性ライバーの方が多いんだよな』

『でもおじさんとパティシエ見習いだよ?』

『それがいいんやろがい!』


 Vtuberで人気が出やすいのは女性な気がする。Vtuberとして最大のチャンネル登録者数を誇る別事務所の方とか女性だし、数的にも女性の方が多い。男性専用事務所は少ないのに、女性専用事務所はかなりの数がある。エクリプスのように男女兼用の事務所もかなり少ないんだよな。

 企業としても利益を求めるなら女性を多く雇いたいのかもしれない。ならウチは限られたパイの奪い合いにならないように男女兼用で進んでいくと運営方針でも言っていた。レインボードロップスのように男女兼用で大成功している大手事務所もあるからそれで良いんだと思う。


 特化型の方がチャンネル登録者数や利益とか良いのかもしれないけど、向こうは向こうで男女が参加する大型企画とか雑多に配信者を募集する企画などに参加しづらいらしい。コアなファンは手に入るけど、そういう機会を失うこともあるから一長一短だとスターティンクルの方々が話していた。

 話は変わって今度のデビューする2人は、片方が飲食店をやっていた30歳のおじさんという設定。もう1人が実家を継ぐために料理の専門学校に通っているパティシエ見習いという設定のようだ。

 料理組としてデビューするらしい。五反田マネージャーに聞いた感じ、その設定通りの人たちのようだ。おじさんと未成年を同時デビューさせるって社長も凄いことするよな。


頑固(がんこ)一鉄(いってつ)さんは元飲食店の料理長で、自分のお店を持つための資金稼ぎのためにデビュー。ドグマ・樹林(きばやし)さんは料理専門学校に通いながら新しい見解を求めてライバーになろうとしたってことですね。いつか料理企画に食べる人として呼ばれたい……」


『この食いしん坊さんめ』

『リリは作る側だろ?何言ってんだ?(グルグル目)』

『美味しい料理が出てくるなら食べたいのは同意』

『そうだよ!リリの鍋そろそろ食えるじゃん!』

『コラボカフェそろそろかー』


 ああ、コラボカフェ。そういえばそろそろだった。抽選は終わったものの、当日券もあるので抽選に外れてしまっても行けるかも、という話だ。ただしコラボカフェあるあるなのが、飲食なこともあって結構のんびりする人も多くて客の回転率はあまり良くないらしい。

 だから当日券で入ろうとしても何時間待ち、みたいなことがあるとか。

 ライバー全員に通達されたのが、声で身バレする可能性が高いので期間中に客として行かないように言われた。その代わり、プレオープンのような形で関係者だけ招待する慣らし営業が2日あるので、行きたい人はそれで行くようにとのこと。詳細も貰って、FORで来週の金曜日に行くことになっている。


「コラボカフェ、行く方々は楽しんできてくださいね。ここ限定のグッズとかあるみたいですから。今のところボイスはコラボカフェだけかな?」


『そうだよボイス!出してくれよ!』

『抽選落ちたから朝イチで秋葉原行くぜ』

『初日めっちゃ混みそう……』

『平日で予約取れた俺、有給を使い高みの見物』

『やっぱ平日の方が良かったか』


 嬉しいことに予約は完売で、利益的にはかなり確保されているらしい。その辺りの生々しい話もたまに事務所で聞くが配信で言うことはない。

 コラボカフェは来週の土曜日から3週間後の日曜日までやっているようだ。間にシルバーウィークも挟まるのでその辺りが一般客が多そうだと予想されていた。そもそもアキバはコラボカフェがなくてもファンがかなり行きそうな場所なので正直あまり行くことは推奨されていない。

 秋葉原のカードショップとかおもちゃ屋さん行ってたら声で身バレしたVtuberさんがいるらしいし。自衛はしてたんだろうけど、それでも声でバレたってファンが凄すぎるのか、その人の声があまりにも特徴的だったのか。

 どこにファンがいるかわからないから極力目立たないように、かつ大声を出さないようには気を付けている。コラボカフェの期間は秋葉原に近付かなければ良いだけだ。


「あとは公式発表の話しましょうか。ライバーのデビューは今後、会社の規模が大きくなれば増やしていくが基本的には大きくしすぎずにやっていくという社長の言葉がありましたね。今いるスタッフ、ライバーを大事にして全員から目が離れないように事業拡大についてはあまり考えていないと。海外進出も考えてないって言っていましたけど、これは今いる僕たちにはありがたい話ですね。スタッフとの連携がおざなりになって潰れた会社とかよく聞きますから」


『ライバーデビューの頻度が減るのは残念でもありつつ、今いる人を大事にする宣言はありがたい……』

『大きくしすぎたら手がまわんなくなるとかよくある話だし』

『上場とかする気ないならそこそこに留めるのは正解なんだよな。とにかくライバーがいれば良いって話でもないし』

『スタッフ雇ったり、グッズ展開したりスタジオ増やしたりとかってなったらお金がかかる。それを回収する利益が見込まれてるなら投資しても良いだろうけど、スタッフの数をあまり増やさないならライバーの数も増やせないだろうな』

『え、みんな社長とか経理とかなん?』

『いや、営業。でも役職付きになればこんなくらいの会社経営の話は会議でするし、管理職とかなら全員知ってる話じゃね?』

『正直エクリプスはドロッセルと社長のパワーがやばすぎるだけで、まだVtuber事業は2年経ってないペーペーだし……』

『そうか、まだ2年経ってないのか』


 そうそう。まだまだ小さな会社だったのに話題になってしまっただけで、正直今も整地をしているような状況だろう。それでも応募と新規取り込みのために新人をデビューさせるけど、このペースでこれからは行かないよという宣言。割と4ヶ月空いてるってゆっくりなペースだと思うんだけど、大手だと2ヶ月に1回新人増やしたり、1ヶ月で複数グループとかデビューさせたりしている。

 そこまでハイペースになれないと現状がわかっているからこそ、身の程を弁えて社長がゆっくり行きますよと今回文章で発表したわけだ。

 海外展開もかなり大変だろうし。言語と文化の差があるから大手で海外展開している事務所は本当に凄いと思う。海外ライバーとコラボとかもしてみたいとは思うけど、それはいつかでいい。


「3D作成とか、新衣装に新技術、スタッフさんたちもやることがいっぱいですからね。これから事務所を大きくしていくには僕たちの頑張りも大きいってことですよ。その一環になれるように、ゲームの方を始めていきましょうかね。今日は『お客様』参加型ということで1戦ごとにルームを建て直してやっていきたいと思います。1度参加された方は基本的に次回の参加はやめてください」


『りょ』

『やるかー』

『キャラ自慢していい場はここですか?』

『レイドは報酬美味しいからやりたいぜ』


 ゲーム画面を操作してまずはキャラピックから始める。この前FORでのオフコラボで当てた水着アセム/ル/フェだ。配布じゃなくてガチャの方。少年時代、最強だった頃の本物のアセム。

 水着イベントだし、推しキャラだしということで引いたこのアセムだけどまあ強い。近接も魔術による遠距離攻撃も回復もできる万能型。4章の諸々があって、その後のヴィヴィの能力を見たら納得ではあるんだけど。

 遠距離の魔術が本当におかしい性能をしている。遠距離性能堂々の1位に躍り出た最強キャラだ。専用武器もあるのでこれが一番火力が出る。

 そう思って最初の1戦を始めようと思ったら入ってきたキャラが全員水着アセムだった。


「……近接メンバーがおらん!」


『まあ、環境キャラだからね』

『珍しい言葉でたな』

『いやー、最高難易度はバランス良くないとキツくない?アセム4人って……』

『いけるんじゃない?アセムおかしいから』

『攻略サイトの最適解は水着アセム4人か、水着アセム3水着ヴィヴィ1だぞ』

『超火力によるゴリ押しってこと……?』


 距離を取っているだけだと接近されて魔術の詠唱中に攻撃されやすいから1人くらいは近接攻撃が得意なキャラがいて欲しかったんだけど。アセムでもできなくはないんだけど、他の近接特化キャラに比べればダントツということもなく、タンクのようにヘイトを取りつつバフとデバフを撒いてくれるキャラでもない。

 水着ヴィヴィならバフデバフはもちろん、スタンとかもさせられるかなり良い感じのサポーターなのに。

 どうしたものかと思いつつ、始める。古の機械巨人と戦うのだが、リスナーの1人が突っ込んだ。簡易コメントで『突っ込みます!』と言っている。ならバフを使いつつ魔術で戦って良いのかな。


 そう思ってたら近接のアセムを使っている人が巨人の攻撃を綺麗に避けつつ攻撃を重ねていった。え、あの人キャラコンだけでヘイト役とタンクをこなしてるんだけど⁉︎

 ぶっちゃけそれ、アセムでやる必要ないんじゃないかと思ってしまう。同じ役割なら他のキャラの方が上手くいきやすい。スピードはそれなりにあるから避けやすいだろうけど、スピード特化や足止め用のスキルをたくさん持っているキャラだっているのに。


 リスナーのアセムは限界突破回数が多かったのか、火力がとんでもないことになっていた。最高難易度なのにゴリゴリ削れていく。限界突破をすれば基礎ステータスが上がることはもちろん、必殺技の威力もかなり上がるために最後まで限界突破するためにガチャを回しまくる人もいる。

 俺はお金をかけすぎるのもどうかと思ってそんなに限界突破には拘っていない。去年なんて生活はカツカツだったし、キャラが使えればそれでいい人種だ。


「あ、これ必殺技合わせれば倒せるんですかね?全員必殺技やり始めたので僕も使いましょう。……えぇ?そんなに火力出るの?」


『2人で終わったwww』

『限界突破ってやべえ』

『そうか、限界突破してて生き残ってればこの特大火力で吹っ飛ばせるのか。そのためのアセムね』

『タンクとかはダメージでない必殺技も多いし、アセムの必殺技によるバフってそういや全体バフじゃん……。4つも重なれば最後の人の必殺技でトドメは刺せそう』

『これ限界突破の数関係ないな。攻略サイトに計算表出てるけど、無突破で4人の必殺技が重なれば60%削れるらしい』

『それなら性能のゴリ押しも合わせて楽勝か……』


 こ、これ見応えあるのか?微妙になったので水着ヴィヴィに変えてみる。こっちのキャラを変えて画面的にも戦略的にも違う場面を見せた方が楽しいだろうと思って変えてみるが、リスナーのほとんどが水着アセムを持ってくるのでとんでも火力で何度も吹き飛ばしてしまう。


「これが、姫プレイってやつですか……」


『そうかぁ?リリも貢献はしてるだろ』

『たまに現れるキチガイキャラコンを見せつけてタンクヘイトを買ってでるリスナー以外は超絶プレイヤーでもないし……』

『水着アセム以外で来てくれた方が見てて楽しいな』

『やっぱりあいつ、性能的にバトルでもシナリオでもいちゃダメだろ』

『↑だから死んだ……』

『今回の水着イベントでも本当に全部こいつで良いじゃんになったからな。死後にまで活躍するな!』

『リリのお姫様ドレスのファンアート待ってます!』

『言い出しっぺの法則ってあってぇ……』


 俺は使うキャラを変え続けて、リスナーも少しは変わり種というか多分水着ガチャで引けなかった人たちと協力してレイドを進めた。2時間ほど、レイドに挑戦できるチケットが無くなるまでやり続けてチケットがなくなった時点でレイドは終わらせることにする。

 今からレイドチケットを集めるのは時間がかかるし、正直育成アイテムなどは目標数集まった。本来ならプライベートルームでこうもサクサクと討伐なんてできないだろうから野良とマッチングして、火力が足りなくて負けることがほとんどなのに最高難易度を容易く回れてしまうのは配信者としての特権だろう。


「はい、チケットも無くなったのでレイドはおしまいですね。皆さんご協力ありがとうございました。これで当分育成アイテムには困らないのでゆっくりできそうです。『ソラソラ』はまた時間を見付けてこういう皆さん参加型のこともやりたいですね」


『お疲れー』

『リリってやっぱりそつなく上手いよな。どのキャラでも一定の活躍はしてたし』

『『ソラソラ』ってシナリオを読むだけならプレイヤースキルはほぼいらないけど、こういうイベントとかだと本当に上手い人との差が出るよな』

『スマホだけじゃなく据え置き機でできるから、難しい操作もできてコンボ集とかも動画として上がってるもんな』

『リリに苦手なゲームはないのか……?』

『前やってたレーシングゲームは微妙だったような』


 締めの挨拶も言って配信を終える。

 この次の日、まさかのピンクのフリフリドレスを着た雄タヌキという幻覚でも見てるんじゃないかと言いたくなるようなファンアートが数件SNSに上がっていて、ピンクドレスを着ている姿をFORの残り2人によってセッティングされているような4コマ漫画もあった。

 手が早いなあと感心しつつ、ネタに全力すぎるだろうと思って描いてくれた投稿にはいいねを押しておいた。あとおそらくアンチとか配信を見ていない層が姫プをして有名ゲームをプレイして再生数を稼ごうとしている配信者としてのクズとか、男なのにドレスを着て気持ち悪いとかいう投稿がハッシュタグを付けられて投稿されていた。


 こういうのは無視が一番なので反応しない。別に悪口を言っても良いけど、ハッシュタグを付けないで欲しいな。ファンでもないんだから。ファンアートはハッシュタグを付けてくれれば基本いいねを押すので、今回姫扱いされたのが嬉しくて反応したわけでもない。

 頓珍漢なことを言っていても、いつかはボヤも消えるだろう。変に話が拗れたり、炎上したりチャンネル登録者数が減ってなければいいやと思って数日注視したが、一過性だったようですぐに姫扱いはリリという配信者は特に問題となる行動はしていないということで収束していった。


 悪意ある切り抜きや誹謗中傷については事務所が対応してくれるようだ。

 嫌いなものに執着する人はそのエネルギーを別のことに向ければいいのに。やりすぎたら前科がついて罰金を支払って刑務所に、なんて事例も最近は結構ある。

 俺も悪意によって俳優を辞めたこともあって、多分一生こういう人たちのことは理解できないんだと思う。

 プチ炎上してしまったことで色々な人に心配をされてしまった。言葉一つでこうなってしまうんだから、言葉を扱っていた元プロとして一層気を付けないといけないなと今回の一件で思った。


「でも炎上収まって良かったね。まさか姫プレイ扱いでこうなるなんて……。祐悟くんだってちゃんとプレイしてたんだから貢がれてたわけじゃないのに」


「言葉だけが先行しちゃった形ですね。最初の方は水着アセムの限界突破複数が当たり前に参加していたのでそう見えても仕方がないでしょうけど……。その立場に甘んじていたわけでもないですし、収まって良かったですよ。これでジェンダー問題とかに発展しなくて小さく収まったのは本当に良かったです」


「ああ、そういう方向もあったね……。『ソラソラ』のレイドは自動周回もできるから高難易度って本当に強くした人たちの遊びの場でしかないんだよね。報酬もほとんど自動周回と変わらないし」


「ああいうイチャモンをつける人ってそういう事実は要らないので。叩ける理由があればいいんですよ。そんな暗い話は置いておいて、明日のお昼楽しみにしてますね?」


「うん。今日は早めに寝るよ。この後の配信も見てくれるの?」


「長くなければ見ますよ」


 真紀さんとそんな電話をして、次の日のお昼ご飯を食べに行く約束もして。

 真紀さんの配信をBGMに、作曲作業をしてから眠りについた。


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