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病院の扉は、運と根性が幾重にも重なり、ゆっくりと、開く② ~田中ビネーⅤ~

《2022年3月13日 王子、小1、6歳》



《病院までの道のり はじまりと少し編》 (5歳0ヵ月、年中3月)



初回のカウンセリングで、王子には、人間の表情が読めない、人間といることが苦手、等の特徴があることが判明したので、2回目は、発達検査をすることになりました。




《カウンセリング 2日目》 (市の施設にて)



受験勉強と同じく、検査をゲームだと思っていたため、王子は、朝からウッキウキで、前回はカウンセラーに対して、モニョモニョしていたのが、今回は、元気に、ハキハキと、色々と、答えていました。



王子は、ママリが一緒で、且つ、相手が大人な場合、少し話せることもあり、更に、内容が、王子の好きな物についてだと、もう少し、話せていました。




《田中ビネーⅤ》 (5歳0ヵ月)



問題が出されるだけではなく、手を動かすもの等々も、ありました。



例えば、王子が遊ぶ様子を観察して、不器用かを見ていました。


王子は、不器用です。




他には、音を聞いて、王子が答える問題も、ありました。



これは、王子、聞き間違えました。



そのため、この日の田中ビネーⅤでは、『耳からの理解が弱い』という診断結果が出ましたが、この後にやったWISKⅣの検査では、逆に、耳からが強いという結果がでました。



実際、王子は、視覚よりも、聴覚に優れている、頼っている、ので、この検査だけで判断していたら、真逆の対策を練っていた可能性があります。





面白かったのは、想像力や常識を試す問題ですね。



絵の一部に誤りがあり、例えば、魚が空に浮いている (ママリ作です)、このような絵を見て、考えるもので、王子は、ギリギリ、合格点でした。




もう一つは、もしも、の問題です。


似た感じのものを、作ってみました。


ママリ作です。



「買い物に行って、財布がなかったら、どうする?」



王子は全ての質問に、「分からない」と答え、想像力が乏しいという判定に、なりました。





ママリ、悩む。


悩みました。



むむむ。


これは、本当に分からないのではなく、話せないから、「分からない」と言っているのでは……。




なぜなら、質問の中に、迷子に関するものがあったんですね。


王子は、「分からない。」と答えたのですが、実は、王子は、実際に、迷子になったことがあります。



以前、王子は、東京駅で、迷子になりました→↑↓→↓→→。



その時は、見つけてくれた女性と、一緒に、駅長室に行き、パパ虫の名前を答え、構内アナウンスをしてもらい、座って、パパ虫の迎えを待っていたそうです。



王子は、泣くこともなく、当時 (多分、年中のはじめ頃だったと思います) 大好きだった新幹線のシールをもらって喜びつつ、自分の名前なども、冷静に、答えたようです。




ママリが、その話を、カウンセラーにすると、


「それは、今現在、目の前で起きていることには、対処ができるんです。」




「でも、今じゃないことを、想像して答える、ということは、苦手です。」



と、言われました。





??


ええ⁉



ママリ、笑う。


笑いました。


もう、笑うしかありませんでした。




ちょっと、もはや、言われたことの意味が、よく、分からない…。


分かりませんでした。



分かりますか??




なかなか、素人では思いつかない、斬新な視点でしたね。



なんだって?


実際に、迷子になったら対処できるけど、迷子になったことを想像して、考えることはできない、って、いったい、どういうことなの?



因みに、家に帰って王子に確認すると、確かに、どう思う?という質問に答えることが、苦手でした。


王子はすぐに、「分からない」と、答えていました。




当時、王子は、絵本をよく読み、家での会話にも、違和感はありませんでした。


でも確かに、年中の王子(4歳)との会話は、何があった、とか、これは何だ、等の、過去か現在の、実際に起きた事柄が多くて、未来の、想像の話しはしていないかもしれないと、ママリは、思いました。




この後、王子の、想像力、常識力レベルアップのために、色々と、トレーニングをしました。



幼稚園時代は、幼児用のドリルや、パズル、1年になってからは、z会の国語の問題を、手取り足取り、やりました。




今 (1年生、6歳) では、どう思う?等の質問にも大分、答えられるようになりました。


物語を途中まで読んで、その続きを書いたり、作文も、そこそこうまく書けるようになりました。




どんなトレーニングを、どのようにしたのか。


どのアイテムを使ったのか。



その詳細は、また今度、書きますねー☆






そして、王子(5歳)、星人生初の、IQが、でました☆★



IQ123(6歳2カ月相当)が、出ました☆



IQとは、同じ年齢の子の中央値を100として、70~130の間に約95%の人間が入ると、言われているらしいです。


因みに王子は、この後に受けたWISKⅣでは、IQ134という結果でした。


その後に受けた時は、137です。




ママリは、田中ビネーとWISKⅣの初回の検査を、王子の後ろで見守っていましたが、田中ビネーは、表面を撫でる程度の質問で、WISKは、もっと、それぞれの子共に合わせて踏み込んでいく感じでした。



ただし、どちらにせよ、信憑性は、微妙ですね。


判定する方の知識や見解が、強く反映するな、というのが、ママリの印象です。




因みに、田中ビネーの、123はそこそこの結果でしたが、王子の場合、細かな分野で、かなりの凹凸があり、注意が必要だと言われました。



簡単に言うと、例えば、ほぼ全ての数値が80周辺とか120周辺とかだと、バランスが良く、本人が生きやすいようです。


一方で、一つが100、もう一つは80、120とかだと、自分の中にアンバランスさが強くあって、生活や勉強にも、影響が出ると言われました。





王子の場合は、学校の勉強は簡単。


でも、社交のレベルが低くて、友達ができない。


結果、不登校になりやすい、と言われました。





なるほど。


人間、バランスが大事だということですね。




田中ビネーの検査の結果は、こんな感じでした★☆





他には、ママリが話した、王子の生態についてのアドバイスも、ありました。



王子は、幼稚園で困ると、王子なりに考えて、王子なりの解決方法を、繰り出していました。




例えば、年中の夏頃(4歳)だったと思います。



王子が、先生にプリントが出せないと、困っていたので、ママリと、作戦を練りました。



ただし、ママリのアドバイスは、いたって普通です。


この頃は、王子が話せないのは、王子の性格だと思っていたので、ぶっ飛んでいる案は、出しませんでした。




「先生の前まで持っていけば、先生が気づいて、もらってくれるのでは?」



「無理。」



「先生の机の上に、置いておくのは?」



「無理。」



王子は、もんもんと、考え込んでいました。



もちろん、ママリが、先生に相談をして、先生から声をかけてもらう、という選択肢もあったのですが、ママリは当時、スパルタで、王子自身に、城壁を乗り越えて、冒険にでかけてほしいと思っていました。



なので、先生の力を借りることは、基本的に、考えていませんでした。




そして、その日、王子は、ニッコニコで帰ってきて、プリントを出せたと、喜んでいました。



ママリが、どうやったの?と聞くと、



「ゆりちゃんが、出してくれた♥」



と、言ったんです。




??



ゆりちゃん?




誰??



ゆりちゃんは、多分、王子が、一度も話したことがない、王子のクラスメイトでした。




ママリは混乱しましたが、続きを、促しました。


何か、何か、面白そうなことが起きる、そんな予感が、しました(笑)




王子の作戦は、こうでした。



①プリントを、朝、みんながシールを貼る台に、わざと置いておく。


②王子は、台から離れて、遠くでみんなの動向をうかがう。


③シールを貼るために来たゆりちゃんが、王子のプリントに気づく。王子、しめしめと思う。


④ゆりちゃんが、提出用のプリントだと気づいて、先生に渡してくれる。王子、心の中で、ガッツポーズを決める。


⑤王子、遊びはじめる。ゆりちゃんには、お礼等は特に言っていない。




これを聞いた時、ママリは、吹き出しました☆


大爆笑です☆




頭良いの?


いや、バカなの?




アホ。


アホでしょ。



この作戦と、王子のかけた労力は、実際に先生にプリントを渡すよりも、ずっと、多いですよね(笑)


それでも、プリントを先生に渡すよりも、王子にとっては、安全で楽な選択だったわけです。




それにしても、よく考えたなぁ、と、ママリは感心しました。



この成功は、王子家では、お祝いになりました☆★





しかし…、ママリが、この話をカウンセラーにしたところ、



「悪くはないけど、他人には理解してもらえないし、社会では、通用しません。」



と、ばっさり、あっさり、切られたのを、思いだしました。


血が、ママリの眉間から、ピューと吹き出しましたよ↑↑




「チャタ君は、独特な視点や解決方法を、持っていますね。集団の中で、暮らしづらいタイプです。」



と、最後にしっかり、とどめも刺されましたよ+




当時、ママリは、愉快な王子だなぁと思っていましたが、今考えてみると、王子は、深刻に、困っていましたね。



大変だな、こりゃ。






もう一つ、とっても興味深い話をされました。



「チャタ君は、大多数が気づく視点に、気づけていないです。」



「人間が、自然と、他人を見て学べることが、チャタ君の場合、自然と、学べていない可能性が高いので、言葉で、丁寧に、状況や一般常識を、全て、説明する必要があります。」



と、言われました。



ママリが考え込むと、カウンセラーは、大丈夫ですよと、励ましてきました。



『チャタ君は、普通の子が、自然と学べることを、自然と学べないタイプですが、一つ一つ教えてあげれば、理解ができるので、大丈夫です。』



普通の人間は、例えば、先生の動作や表情を見て、マネて、学ぶことができ、ぱっと見て、状況を判断することも、できるらしいです。


人間が、生まれながらに持っている、標準装備だそうです。




王子は、数星の王子なので、人間の標準装備は、できていません。


でも王子には、物事を理解する力があるので、一つ一つ、人間の武器について説明をしてあげれば、王子にも装備できる(かもしれない)、ということでした。





これは。



これは…。



これは、裏を返せば、




『できないのは、親が、教えてないからだ。』



ということに、なりませんか?




今の時点では、仕方がないけど、なぜできないのか、教えればできる、ということをママリに伝えた今から先、王子が標準装備をしていないのは、ママリがそういう訓練を怠ったからだ、ということですよね?




これは、効きましたね。



鮮やかな、ボディーブローでした。




この時から、



王子ができないのは



ママリの責任



と、なったわけです。


※これは、王子の場合です。他の発達障害の子は、それぞれ、みてもらってください。





確かに、親には、子供の人生に対する責任が、あります。



でも、ある程度は放っておいても、子供は勝手に育つ、とも、言われていますよね?



でも、王子の場合は、それが通用しない、ということでした。



王子の場合、幼稚園や保育園に、長時間入れていたら、ただボーッとしている(もしくは、自分の好きな物を見ている・考えている)だけで、周りの人間の声や動きからは、学べていない可能性が高い、と言われました。



普通の人間は、自然と、今この瞬間一番大事なことは、他の人間の行動や表情にあると、他の人間の重要性に、気づいているらしいです。


だから、子供はママの声に敏感で、人間は人間の顔を見分ける力に、長けている。





では、数星の王子の場合は、どうかというと、



多分、人間にとって重要な「他の人間」が、王子にとっては「数字」なのかな、とママリは考えています。


だから、人間よりも、数字に目がいっちゃうのかな。




分かりません。



ただ、王子は、人間も大好きで、みんなと遊びたい、といつも言っていて、実際、遊ぶ機会があれば、数字より、遊びに行くことを優先します。




ただ、根本的なところで、人間自体の優先順位が、数字や、王子の好きな物よりも低そうなので、あえて、人間を見なさい、表情はこう、等々、わざわざ王子に気づかせて、言葉で、体で、誰かが教える必要があるんだな、と、今のママリは、納得しています。





ただ、当時は、ひたすら??な1日でした。



そして最後に、王子には、



「苦手なことを、克服するのではなく、安心して居られる環境を、作ってあげてください。」




と、言われました。



環境とは、例えば、王子の特徴を理解して接してくれる大人や、失敗しても怒られない環境等です。




ふむふむ、なるほど。



これは、よく、分かりました。





では、今後どうすればいいのか、ママリが聞くと、



「チャタ君は、知的に問題がなく、社交のみに対応した療育クラスはないので、市でできることは、ありません。」



「チャタ君の場合、幼稚園にも通えているので、発達障害の診断はでません。グレーゾーンです。」



「お母さんが家で、注意深く、見てあげてください。」




え?



ええ?



IQが高くても苦労する、人間の表情が読めない、想像力・常識がない、等々等々、けっこう辛口な、問題点が、ありましたよね?




そして、



誰かが教えないと、王子は、標準装備すらできない



って、言ってましたよね?






誰か、って?



ママリ?



ママリが?



家で?



一人で?



何の知識も、ないのに?




何を、どうやって、教えりゃいいんだよ?





確かに、ママリにとって、新しい情報が盛沢山で、非常に、有意義な時間でした。


でも




ざっくり



ですよね?




そもそも、王子に、「お前はこういう王子だ!」という烙印を押せるほど、どっしりと重みのある情報は、あの検査に、あったのか?



そして、その情報は、信じてもいいのでしょうか?




問題点も、解決案も、ざっくりしていて、曖昧だし、これ以外にも、もっと、王子の特徴から出てくる個性が、いっぱいあるはずです。





これから対策を練るなら、もっと、もっと、もっと、王子を詳細に分析した結果が、必要ですよね?





「問題を、間違えました。」



子供なので、聞き間違い、勘違い、表現できない、等、色々と、あるでしょう。


このどれが原因なのか、対策を練るためには、知る必要がありますよね?




だって、耳が悪いから聞き間違えたのに、対策に、想像力を豊かにするための絵本を読んでも、対策には、ならんよね…。





ただの、人間侍女長ママリが、どうやって、数星の王子を、自ら分析しながら、教育するんだよ。




誰か、教えてくれー---。





王子の、レベルアップのための、訓練方法と施設がないなら、せめて、武器を。



王子の、最強武器を作るための、武器屋、防具屋、道具屋を。



武器屋、防具屋、道具屋を、教えて、くれー----------。






それも、ないんかぃ↓↓




こうしてママリは、完全に混乱したまま、大宇宙へと、解き放たれたのでありました。







《今回のラッキー 一覧》


ラッキー 4 


市のカウンセリングで、王子の個性が発覚 → 王子家、王子の発達障害要素に気づく



※ 王子家の冒険譚は、王子固有の状況下でのみ発生する事柄なので、他のお子さんには、あてはまらないことを念頭に、一例として、お読みください。



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