気づき
「ここの部屋ださっさと入りやがれだぼくれが」
口調の荒い男が僕を部屋の中へ突き飛ばす。
「痛いな!なんでそんな乱暴に扱うんだよ!何にもしてないじゃないか!!」
「てめぇもっかい聞くぞ。どうやってうちの数奇屋門を開けやがった。」
「だから少し弄ったら何故か空いてしまっただけなんだって!」
「そんなわけねぇって言ってんだろ!」
「そこら辺にしときなシル」
そんな不毛なやり取りをしていたら奥の扉から40代くらいの女性が現れた。
「あ、姉貴!でもこいつ、、、」
「お前の言いたいことはわかったから落ち着けお前には冷静さが足りないと何回言ったらわかるんだ」
「す、すみません、、、」
「んでそこの若いの本当に少し弄ったら開いちまったんだね?」
「そ、そうなんです!僕もなんで開いたかわからなくて、、、」
「そうなのかい。でもうちの数奇屋門は特殊な構造をしていてね。簡単には開かないようになっているんだよ。」
「そ、そうだったんですね」
「それでうちにはなんの用事で?」
「あの、格好を見てもらったら分かるかもしれないんですけどピザキャットの配達に来た者です!」
「ふむ、おい!誰かピザ頼んだやついるか!ピザキャットって店だ!」
そう女の人が叫ぶと今度は天井から小さな女の子が飛び出してきた。
「はい!わ、私が頼みました!!」
「お前かラル、なんであたしに言わなかった。」
「い、いやあのごめんなさい!」
「あたしは何で報告しなかったか聞いてるんだ。」
「あの、その、アラクとリタスに言われて、、、」
「まぁそんなこったろうと思ってたよ。あいつらは後で叱っとくからあんま気にすんな。ラルもあんまアイツらの言うこと聞くなよわかったな。」
「は、はい!失礼します!!」
「すまんなピザキャットのー、、、」
「えっと飛島と申します、、、」
「飛島、、、なるほどじゃあお前の名前はここにいる間はトビだ。」
僕はトビと言う名前を聞いた時、少し身構えてしまった。
「え、なんでその呼び方を知ってるんですか!!」
「ほー、他の誰かにもトビって呼ばれてんのか。」
「いや、何故かその呼び方がしっくりくるので皆にそう呼んでもらってるんですよ。」
「そうか、じゃあトビ今日からうちで働け。」
「はい?!」
訳が分からない。今ここにいるのも正直なぜだか分からないのにさらに働けと言われても。
少し混乱しているところにさらに追い打ちをかけるように女性が言葉を発した。
「お前には才能がある。いや、才能と呼んで良いものかわからんが、、、トビお前は今までにも何回かこういうこと無かったか?今回みたいに玄関とかじゃなくてもいい。友達のスマホのパスワードが何故かわかってしまうとかそう言った些細なものでも。」
「そ、そういえば友達にイタズラで勝手にスマホのパスワード変えられた時に勝手にロックが解けてたり、家の鍵忘れた時に気づけば部屋の中にいたり、、、」
「そうか、やっぱりな。お前いつ頃からそういう事が起こり始めた。」
「じ、実は僕大きな事故にあっちゃったみたいで約15年分の記憶が無いんですよね、、、」
「なるほど。」
さて、どうしたものか。初対面の人に色々話しすぎている気もするが何故か話したくなってしまう。そういう空気がここには漂っている気がする。
「多分、いやほぼ確実にお前には特殊な能力が身についている。」
「特殊な能力、、、?」
「あぁそうだ。近年こういった能力を持った人間が増えちまってるんだ。めんどくさいことにな。」
「は、はぁ」
僕は何を話されているのかあまり理解していなかったが女性が話した言葉をまとめるとこうだ。
近年、と言っても本当に最近のことだ。とてつもなく力が強くなった。足が早くなった。のように気づきにくいことから、物音を立てないで動けるようになった。夜なのによくものが見えるようになったなどのかなりの変化を感じるもの。そして一定時間空を飛べるようになった。特定の人物と念話ができるようになったと明らかに人智を超えた能力が開花したものなど普通じゃ持ちえない力を持つものが増えてきたらしい。
「あたしはお前にもその能力が身についてるんじゃないかと思ってんだ。だがな、この能力を手に入れるために必要な手順ってのがちょいと複雑なものが多くてな。」
「複雑と言うと?」
「一つ目こいつが1番わかりやすい。実は産まれながらにして能力が身についてる場合だ。ここ数年で目立ってきてるということは10数年前の赤子になにかあった可能性が高いと考えてる。そしてこいつで手に入る能力は割とばらつきがあるが大体はしょぼい能力だ。例外もあるがな。二つ目は死にかけるってことだ。なんでもいい崖から落ちたでも事故っちまったでもいい。生きるか死ぬかの瀬戸際をさ迷うことで能力が手に入る場合がある。そしてこの場合手に入るのは力が強くなったなどの気づきにくいものだ。三つ目は親密な人が目の前で死んじまった場合だ。この場合は暗視能力などの変化を感じやすいものだな。そして最後は何かしらの能力を持った人間が目の前で死にその死んだやつが目の前にいるやつに能力を授けたい、と考えた場合だ。こいつはちょいと複雑だがその分手に入る能力も大きい。空を飛べるようになったりしちまうらしい。」
「な、なるほど、、、つまりその中のどれかが僕にも身についてると?」
「あぁ、お前事故にあったって言ったよな。」
「はい、記憶が無いので本当にあったと言い切れはしませんが。」
「事故の場合は二番目と三番目、そして四番目に当てはめることができる訳だがあたしは三番目なんじゃないかとふんでいる。なぜなら二番目にしては重い能力だし四番目にしては軽すぎる。」
「なるほど、、、でもこの考察になんの意味が?」
「まぁ気になるわな。こうも長々と話されちゃ。実は手に入れ方によってはいくつも能力が身についちまう場合があるんだ。」
「な、何個でもってことですか?!」
「あぁそうだ。そしていくつでも手に入る場合ってのは一つ目、そして四つ目の場合だ。一つ目は完全にいくらでも手に入っちまうんだがこいつは死にかけても能力は手に入らないと言う制限がある。そんなこと出来たら完全なチート人間の完成だもんな。四つ目の場合、この場面に出くわしたら何個でも手に入っちまう。まぁこんな事そうそう無いがな。あ、忘れちまってたよ!シル!もう能力解いていいぞ。」
なんと気付かぬ間に能力を使われてたらしい。
「やっとか姉貴!これ意外と疲れるんっすよ!」
「すまねぇな後でピザ食わせてやっから許してくれよ。」
「ったくしょうがないっすねー!」
「い、今なんの能力を?」
「まぁ軽い自白剤的なもんだあんま気にすんな。」
いや、気にするなと言われる方が無理だと思うが。
「シルも悪いやつじゃねぇんだ許してやってくれよ。」
「いや、あまり怒ってないですけど、、、と言うか!少し気になってたんですけど能力能力呼んでますがその能力に名前ってあるんですかね。」
「お!良いところに目つけたな!この能力の名前はだな。」
さて、能力の名前が明かされそうになった所で終了です!
あ、どうも、零翕です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
長文な上に駄文なのでとても読みにくくなっていると思います。すみませんでした!
いやー、能力説明の会は長くなっちゃいますよね。
次回も読んで頂けるとありがたいです!