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再び今の世界について

さて、朝ごはんを食べ終わり、お漬物の作り方を教えた後、私たちは昨日の続きに移りました。


「それではお嬢様、昨日の続きをお願い致します。」

「えぇ、分かったわ。」


まずこの世界が前世でゲームであった世界ということは前回お話しましたが、問題はこのお話の中にありました。

このお話は主人公が攻略対象の誰かの好感度を上げる事で悪役令嬢である私を打倒し、攻略対象と結ばれます。


「ではお嬢様がソルウィ様をいじめなければ問題無く過ごせるのではないですか。あんなに仲良くしているのであればいじめることもありませんよね?」

「確かにいじめなければ学園生活中は平和に過ごせるわ。でもね、このお話には続きがあるの。」


主人公たちの通う学園があるコーコダ王国の隣国、オートナリー帝国から隕石魔法と呼ばれる魔法が飛んでくるのです。その脅威から太陽の巫女である主人公と婚約者になる攻略対象の愛の力で国を守る。そして晴れて結婚に至る。


「今後そのような事が起こるのですか。でもそれが何か?」

「ハッピーエンドが国を守って結婚する。じゃあ誰とも結ばれなかったら?」

「誰とも結ばれない場合…まさかっ!!」

「確かに私がいじめなければ平和に過ごせる。でもね、それだけの為に国を巻き込みたくないの。」

「まさかお嬢様、このままゲームと同じ様に過ごされるおつもりですか!いけませんそんなこと!それではお嬢様が死んでしまうではありませんか!」

「確かに私は死んでしまうわ。でもねマリア。」

「?」

「誰かの幸せを守れるってとても幸せな事じゃない?」

「でもっ、お嬢様がいじめなくてもソルウィ様は結ばれるかもしれないではありませんか。わざわざお嬢様が死ぬ必要はありません!」


やっぱりマリアは優しいわ。でも私はもう、心に決めている。


「本当にそうかしら。もし私がいじめなければ会わないという可能性すらあるかもしれないわ。だったら確実に結ばれるようにゲームを辿る様にした方が効率が良くないかしら。」

「それは、でも…」


マリアは納得できない様にうつむいている。マリアにそんな顔はしてほしくないけれど、これは私にとってどうしても譲れない事になる。国を巻き込みたくないのも確かだけど一番の目的は前世で見れなかったエンディング、主人公と攻略対象の結婚式を見る事。これが私の前世で一番の心残りだから。これの為なら二回死ぬのもきっと悪くない。


「マリア、手伝ってくれないかしら。あなたの協力が必要なの。」

「わかりました。協力はします。でも…」

「でも?」

「私は絶対あなたを死なせません。絶対に。私より先に死ぬなんて許しません。」

「…ありがとうマリア。」


誰かにこれほど愛してもらえている。それだけできっと私は満足しているの。だから私は他の人の幸せを願えるんだわ。それはとても…幸せなことだわ。

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