居眠りしてみた昼休み
翌日、私は早めに学園に向かい、再度監視カメラ魔法を配置した。これで安心。
監視カメラを配置するようになり、昼休みのあの子のそばには王子が付き添う様になった。私は学園の中庭にあるガゼボで過ごしている。ここであればどこで警告がなってもすぐに向かう事が出来るからだ。
(ふわぁ~あ。ちょっと眠い。早起きと魔力の使用が祟ったかな。まぁ、最近は私がここに居て話しかけてくる人も居なくなったし、少しぐらいいいかな。)
いつもここで周りには本を読んでいるように見せかけて、実際はこれから起こる出来事をノートに書きだしている。人が来る時には本に持ち替えて差異が無い様にした。
(たまには、いいよね。)
そう思って私は段々沈んでいく意識に身をゆだねた。
どれくらい経ったのかは分からなかったが、ふと目を覚ました。あれ?机に置いてあったはずのノートが無い?
「え!?」
すぐに飛び起きる。あれをもし他の人が持って行ってしまったのならば大変な事になる!そう思った私はすぐに周りを見渡した。すると私の隣で顔を青くしながらノートを持つ少女が居た。
「………。」
「………。」
お互いに喋りだせず、沈黙する。気まずい雰囲気を変える為にとりあえずノートについてお願いする。
「あ、あの、それ返してもらってもいいですか?」
「えっと…」
少女は私のお願いを聞いてどうすればいいのか分からないという反応だ。
「それを持って行かれると困るんです。お願いします。」
私は立って頭を下げる。その行動に少女はびっくりしていた。
「あ、頭を上げて下さい!お返ししますから!」
「ありがとうございます。」
顔を上げた私に少女はノートを渡してくれる。この子がいい子で助かった。というかこの子どこかで見たことあるような?
「あの!このノートに書いてある事は本当の事なんですか!」
読まれてたー!読まれてないといいなーとか思ってたけどやっぱり読まれてたー!体から血の気が引くのを感じる。どうにか言い訳しないと!
「えっと、その、そうなったらいいなーとか思った事を書いてただけだったり…」
「えっと?すごく目が泳いでますよ?」
「へっ?」
そう言われて自分の顔を意識する。そう言えば昼休みの時は人が来ない様になってから仮面を外すようにしていた。魔法だから視界は悪くならないし、邪魔になる事も無いんだけど仮面を着けているって思うと不思議と息苦しいと感じていたから。基本外せるのは家に帰ってからのみだ。そしてこの仮面が無い状態を現在進行形で目の前の少女に見られている。
「あ、あうあ…。」
ノートを見られ、素顔も見られた。どうすればいい?ここからどうすればいい?
「あの、このページのソフィーちゃんを幸せにする為って、本当ですか。」
プチパニックを起こしていた私は少女の質問で我に返る。少女が開いているのは最初のページ。私が必ずやり遂げたい事、『ソルウィを幸せにする!』と大きく書かれている。
「は、はい。」
私は良い訳も思い付かない為、正直に答える。すると少女は微笑んだ。
「今度は本当なんですね。」
「うっ。」
絶対表情で判断されている。仮面が無いとそんなにも分かりやすいのか。少しがっかりして私が自分の顔をもにゅもにゅしていると少女が自己紹介してくる。
「私、プリマ・クラウディアって言います。クラウディア伯爵家の娘です。」
「プリマ?あーーー!!」
思い出した!この子主人公のソルウィに救われてから最後まで友達でいてくれるとってもいい子!
「やっぱり私の事を知っているんですね。」
プリマちゃんは苦笑しながら言う。私はハッとなったけど相手が問題無い子と分かって安心した。
「安心してます?」
「そこまで分かりますか!?」
「何だか顔に書いてあるんじゃないかってぐらいは分かりやすいです。」
そこまでですか。もうずっと仮面してた方がいいかも。




