休日の食後
とりあえず皆が食事を終えたのですが、…で?どうするの?この後は。こちらから話せる事は何も無いよ?と、とりあえず要件を聞こうかな。
「それで?こんな午前中に私の家に押しかけて何の用事ですか?」
私が平常心を保つ覚悟をしてから要件を聞いてみて返って来た返答は、
「遊びに来ました。」
「ルナを見に来た。」
「話があって来た。」
おい!手前二人!!ふざけてるの!?テーブルに頭打ち付けようかと思ったよ!まさか王子が一番まともだとは思わなかったよ!というか、ちゃんと要件あったんだ。
「ではソーラ様の要件をお聞きしましょう。」
とりあえず他二人は一旦置いておこう。しばらく会っていない時期があった上こちらは記憶喪失の設定を持っているというのに距離の詰め方が凄い。ペースが凄い。
「昨日、ソフィーに向かって水を掛けようとした生徒がいたらしい。」
「そのようですね。」
その話が出た瞬間ソフィーが俯く。まぁ、あまり考えたくはないよね。
「それを指示したのはお前か?」
「ソーラ様!!」
ソフィーが王子様を咎めるけど、王子様は気にせず続ける。
「あの昼休み、ソフィーがお前と話をしてからソフィーに対して嫌がらせをしてくる輩が増えたらしい。お前がそうなるように仕向けたんじゃないのか。」
「お姉さまがそんな事するはずがありません!」
「…証拠はあるのですか?」
「実行犯の生徒に話を聞いた。お前に言われてしょうがなくやったと証言が取れた。」
王子様は得意げにしながら私を見る。証言が証拠らしいけどそれじゃ弱くない?まぁ、いいんだけど。それじゃあ…
「王子様ともあろうお方が言葉一つで決めつけなさるのですか?人から聞いた事のみで?」
「ぐっ。」
「人を犯人扱いするのならしっかりとした証拠を集めて下さい。物的証拠を、ねぇ?」
言い返されて悔しそうにする王子様。ソフィーは胸に手を当てて安堵の息を吐いている。レンは…ん?ずっとこっちを真剣に見てる。何で?
「正直俺はあんな事故があったとはいえ婚約を結んだ事を後悔している。あんな話が無ければ俺は!」
「そこのソルウィ様と婚約したと?平民である彼女と?果たしてそれは周囲が許すでしょうか?」
ソフィーは平民、私は公爵令嬢。この差は結構でかい。正直なところ婚約ちゃんとしてよかったと思った。この婚約が無かったらもっとソフィーはひどい目にあっていたかもしれない。婚約者が決まっていない王子に平民が気に入られてるなんて話が広まれば令嬢達はきっと黙っていない。どちらにしてもいじめが始まっていたと思う。まだ婚約者がいるからと怒りを抑える人も多くいると思う。
「平民と婚約したなんて知ったら周囲はどう反応するでしょうか?もちろん王子であるソーラ様ご自身に文句を言う人はいないと思いますが。」
私は顔をソフィーに向ける。そんな私を見て、王子様は苦い顔をしながら俯く。…しょうがない。少しぐらいならいいかな。
「…はぁ、そんなに婚約破棄したいのですか?」
「当然だ。」
ここまで即答なのもちょっと傷つくなぁ。しょうがないけど。
「…ソーラ様。少しお話がありますので、一度廊下に来て頂いてもよろしいですか。」
「…分かった。」
「お二人はしばらく待っていて下さい。」
二人は座ったまま頷く。私は不服そうな王子様と共に外に出る。
「それで?話とは?」
「婚約破棄の件です。これは国王夫妻のみ知っている事ですので他言無用でお願いします。」
王子様は無言で頷く。
「婚約破棄に条件があります。それは私達が卒業する年の秋、その時にソーラ様が好きな人と両想いである事です。それまで婚約破棄は認めません。」
「そんなに待っていられるか!」
「もう国王夫妻も了承している事です。諦めて下さい。それに得が無いわけでは無いでしょう?」
「どういう事だ。」
「先程お話した通り、ソルウィ様は平民です。私という婚約者がいる事で嫌がらせでの彼女の負担が減る事でしょう。」
「そんな事、お前が止めればいいだけだ。」
「人はそう簡単には止まれないものですよソーラ様。」
話は終わりである事が分かるように私は部屋に戻ります。これで私が裏で手を引いているって勘違いし続けてくれたかな。
大きな矛盾が起きてないかとても不安です。




