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いじめの続き

あの子が無事ケガも無く収束した為、私は人が居ない場所で魔法を解除してから教室に戻った。そして私は先程のあの子の様子を思い出す。始めは下を向き、返事もオドオドしていた。前世の私もそうやって耐えて相手の気が済むまでそうしていた。変に抵抗すれば続くから。でもあの子は突然前を向き、力強く向き合った。それこそ相手の子が怯むぐらいには。


「…はぁ。」


前世の私に出来なかった事をしていたあの子を見て素直に凄いと思った。でも同時に危ないなとも思った。いじめていた側は反抗されるとよりひどいやり方でいじめようとしてくる。それは前世で私以外の子がいじめられて対抗した時を見ている為確実だ。言葉が通じないなら物に害を与え、それがだめなら体に害を与え、それでもだめなら大人を使う。


「………。」


きっと今日にでも行動は起こる。必ず誰かがあの子の持ち物に手を出す。物に実害が出るのは平民の出のあの子にはきっと痛い。教育資材もタダではないのだから。


私が…守らなきゃ。


「どう思いますかルナミリア様!」

「どうも何も私は何も気にしていませんわ。」

「そんな事では王子を取られてしまいますわ!」


…と。考えている中でもクラスメイトが私に話しかけてくる。王子の婚約者である私に取り入るつもりなのでしょうけど私からしてみれば印象最悪です。何故かというとこの人たち先程あの子をいじめていた張本人なのです。とはいえ変な対応をする訳にもいきません。


「王子の婚約者なのですからあなたが王子のそばに居なくてどうするのですか!」

「そばに居なくても問題ありませんわ。"私が"婚約者ですもの。そうですわよね?」

「は、はい。」


私の自信に満ちた声を聞いてか彼女達は少し怯んだ。


「私以外はありえませんの。そうでしょう?」

「そ、そうですわね。」

「なら、何も問題ありませんわ。あの子に手を出すのは止めておきなさい。いつか痛い目を見るかもしれませんわよ。」

「わ、分かりましたわ。」


そして彼女達は離れて行った。でもあれでは止めないでしょうね。私の事もただの踏み台としか思っていないようだから。




それから授業が終わり、放課後になってから、教室で待機していた私の頭に警報が鳴り響いた。


「…そうよね。」


場所はあの子のクラス。あの子のクラスには攻略対象全員が在籍している。名のあるキャラの中では私だけ省かれているというかなり悪役に対して辛辣な状況である。そして現在、そこに普通であればもう全員帰宅しているであろう教室に一人女子生徒が残っている。


「…本番ね。」


私は自分に月魔法をかけてから発声練習を行う。


「あー、あー、うん問題無い。」


マリアとずっと練習はしていたけど、本番となると緊張する。でもこの行為に失敗は許されない。


「…行こう。」


準備が問題無く終わった私は現場へと向かった。そして現場である教室の扉を開けると女子生徒が驚いた様に振り向いた。


「あなた、誰ですの。」


その女子生徒は休み時間中に特にしつこく私に言い寄っていた子だった。


「おやおや、人に名前を聞くときは自分から名乗るのだと家で習っていないのかい?君、貴族なんだろう?」


月の魔法で姿が男の様に変わっている私は声を変えて話している。今の私は仮面の色が藍色になり、服は華やかな怪盗を意識した服装で肩辺りに羽が付いてたりする。まぁ、そう見えるだけで実際は制服のままですが。あ、ちなみに服装は前世で人気を出していた怪盗の映画の予告を見ていたことがあった為そちらを参考にしました。


「うるさいわね。あなたのような不審者に名乗る名はありませんわ。」

「なら僕も君のような貴族の箱入り娘に名乗る名前は無いよ。」


私は彼女を嘲笑うような動きをして見せる。彼女は悔しそうだ。


「警備員を呼ぶわ!」

「おやいいのかい?そんな事をすれば君がここで何をしていたのかも話さなくてはならなくなるよ?」

「別に問題無いわ。あなたが信用されるはずが無いもの。」

「それはどうだろう?僕は君が何をしようとしていたかが手に取るように分かる。それを聞いて君が動揺を隠していられるのかな?」

「何を馬鹿な事を…」


彼女は教室から出ようと私の横を通ろうとする。そんな彼女に私は少し声を低めて呟く。


「その手に持った教科書をどうするつもりだい?」

「!?別に自分の教科書をどうしようと勝手でしょう!」

「ふぅん。じゃあ君の名前はソルウィと言うのかい?」

「な!?」

「教科書に名前が書いてある。それが君の名前なのだろう?あぁ、でもそれでは貴族姓の無い君は平民ということになるね。」


彼女の顔が青ざめていく。


「でもおかしいねぇ。君が着けている装飾品かなり高価なものじゃないか。平民ではとてもとても買えたものじゃない。」

「と、当然ですわ。私は立派な貴族ですもの。」

「おやおや?ではこの教科書は君の物では無いという事かな?」

「ぐっ。」

「じゃあ君が持っているその教科書は一体誰のだろうね?」

「し、知りませんわ。じ、地面に落ちていたのだもの。」

「へぇー、君は…」


彼女の怯えたような顔を見て、私は内心笑いそうになりながら続ける。


「"仕舞われている物"は"地面に落ちている物"と同じ物というのか。」

「ひっ!」


私は手に彼女が持っている教科書と同じ物を手に出して見せる。


「そ、それは?」


彼女は震えながら聞いてくる。私は実際手に持っていたペンを月魔法で変えているだけですが、表を見せるだけであれば十分です。本物ではありません。そして私はわざとらしく言い放ちます。


「あ~こんなところに"地面に落ちていた"教科書があるじゃないか。地面に落ちていた物だしどうしようかな~」

「まさかそれは!」

「地面に落ちていた物だし何してもいいかな~」

「か、返して下さいまし!」


彼女が必死になって私に向かってくる。しかしその時には私はそこに居ない。


「な、消え…!?」

「おやおや?どうしたんだい?そんなに必死になって。」

「返して!返しなさい!」


彼女が向かってくる前に私は教科書の幻影の近くに炎の幻影を作り出す。彼女は動くに動けない。


「どうして必死になっているんだい?これは地面に落ちていた物じゃないか。」

「………。」

「燃やそうか?水に落とそうか?風で切り刻むのもいいね。あ、切り刻んでから燃やしてその炭を水に溶かすなんてどうだろう。ねぇ、どう思う?」

「やめて…くださ…」


彼女は段々泣き始めた。私が順番に属性を見せたせいか反抗する気力も無いようだ。全部幻影だけれど。…まぁこんな所だろう。最後に一押しはしておくけれど。


「君が行おうとしていたのはこういう事だよ。そこには貴族も平民も関係ない。只々誰かが傷つくだけの事さ。そしてそれで得る物はたったその時だけの優越感だけ。」

「………。」

「人を蹴落とすよりも自分を磨き上げた方がいい。特に君は貴族だろう?もし自分が行おうとしていた事が明るみに出れば、君の家はどうなるだろうね。」


彼女はもう頭が下がったまま上げる事すらできない。私は前世の自分みたいだなと思った。やってる事悪役みたいだししょうがないか。


「この教科書は戻しておこうかな。仕舞われていた所に。」


そう言って私は幻影を解いてペンを仕舞う。彼女は顔を上げ、教科書が無いと見てほっとした。


「君はどうする?その教科書を持っていくのかい?」

「…戻し…ます。」

「それがいい。」


彼女は元の場所に教科書を戻した。それを確認して私は教室を出る。そして教室の中にいる彼女に向かって思いついた事を言った。


「そうだ、君の周りの者たちに伝えておいてくれないか。平民に…特にソルウィという子に危害を与えてはならないと。与えてしまえばただでは済まない…と。」


彼女は顔を早く縦に振った。それを見て私は教室を後にした。そして階段で変装を解いてわざと足音を立てながら教室に戻る。


「あら?あなた何をしているの?」

「ルナミリア様!?どうしてここに?」


彼女は私を見て驚いていた。まぁ当然ですね。彼女は私をちらちら見ながら聞いてきた。


「あの、ルナミリア様。先程あなたと同じ仮面をした人を見たのですが見ませんでしたか?」

「…いえ?見ていないけれど。何かあったのかしら。」

「いえ、見ていないならいいんです。」


彼女は俯きながら続けた。


「ルナミリア様。私、平民が怖くなりました。」

「あら?どうしたのかしら突然。」

「ルナミリア様も平民には気を付けて下さいね。」

「…えぇ、心に留めておくわ。」


彼女はふらふらと教室を出て行った。…これである程度静まるといいけれどそうもいかないと思う。まだまだこれから続けていかなくてはいけない。まだ、始まったばかりだ。

ルナミリアの男装ムーブ!

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