今日の報告
午後の授業を終えて家に帰った私は、
「マリア~、ごはん~。」
「はいはい、もう少しお待ち下さい。」
リビングのテーブルで生きた屍の状態で突っ伏していました。何を隠そうあのイベントを起こすにあたって、失敗しないよう気を張っていたら昼食をすっかり忘れていたのです。午後の授業も空腹でノートに書き写す事が限界で集中できませんでした。お腹すいたよ~
「お嬢様、準備が整いましたよ。」
ガバッと起きた私の前には前に私が作ろうとしていた和食セット、お漬物までありました。
「これ、前私が作ろうとしてた…」
「はい。少し練習しまして自分的に問題無い出来になりましたので。」
あの時からこっそり練習してくれていたらしい。
「お嬢様。他にも食べたい物があったら言って下さい。作り方を教えて頂ければ私がお作りします。」
それはこれからも色々作ってくれるという事かな。でも…
「ダメよマリア。」
「ダメ、ですか?」
マリアが驚いた顔をしてこっちを見てくる。私が否定するとは思わなかったみたい。でも私は前世の食事を食べたいから前の行為をしていた訳では無い。
「私ね、料理がしたいの。他にも運動とかお買い物とかもしたい。前世はそんな余裕無かったから。」
「お嬢様…」
実際は多少してはいたけどそれは全て義務的な行為だった。お金をもらう為に『料理』をした。成績を良くする為に『運動』をした。生きていく為に『買い物』をした。そこに私の意志は無かった。
「だったら、私と全部叶えましょう。私はどんな事にも付き合いますよ。料理も私と一緒にしましょう
。お嬢様からも教えて頂きたいですから。」
「うん!ありがとう!」
「お嬢様、他にもあればいつでも言って下さい。これでも私、できない事はあまりありませんから。」
マリアは私の想いを汲んでくれる。そのことがとってもうれしい。やっぱりマリアはいい母親です。
「一緒にご飯を食べましょう!」
「いつも一緒に食べていますよ。」
マリアは微笑みながら食事をし始めた。私も一緒に食べる。食べながら私は今日の出来事を話した。
「あの子はやっぱり強い子ね。泣かなかったもの。」
「ゲームの方とは違うのですか?」
「やっぱり状況も違うからか少し違うみたい。ゲームでは多人数に囲まれて泣きそうになっている所に王子が来たけれど、あの子は泣く事無く私の話を最後まで聞こうとしてた。王子が来なければひどい事まで言うところだったのに、耳も塞がずにずっと私の事見ていたの。」
あの時のあの子の目を思い出す。その目には何かの決意が映っている気がした。
「ふふっ、ソルウィ様は泣きませんよ。」
「えっ?どうして?」
「皆さんが小さな時、ソルウィ様に言われた事があります。自分もお二人を守るのだと。その為に助けを求めてただ泣くのではなく自分ができる事を懸命に探すのだと。」
「あの子がそんな事を?」
私にとってあの子は妹のようで私が守ってあげないとと思う大事な存在だ。きっと幼馴染みの彼も私と同じだと思う。そんなあの子が守りたいなんて。
「ソルウィ様もお二人と同じ様にお二人が大事な存在なのですよ。」
「まったく、あの子は。…かわいいんだから。」
少し驚きもあったけど、あの子が昔からそう思ってくれていたことに大きな嬉しさと小さな罪悪感が生まれた。




