私の死に様
前世の名前を考えるのも一苦労です…
「どうしてそんな事を?」
流石にマリアに対してでも内容を聞かせるのはちょっと怖い。ある程度慣れはあるかもしれないけれどやっぱり内容が内容だから。
「心配しないで下さい。私がもっとお嬢様を知りたいだけなのです。」
「………わかった。話すわ。」
これは私が死んだあの日、高校の卒業式のお話。
私にとって今までの日常と特に変わりのない日。でも今日で自由になれると思うと少し元気になれた。卒業式が終わったら両親と縁を切って生きていくつもり。周りに振り回されない、自分の生き方を見つけよう。…そう、思っていたのに…
「あらあら?あなた名前はなんでしたっけ?」
教室に入って始めに言われた言葉はいつもとあまり変わりのないお馴染みのセリフ。それに合わせて周りも同調して笑うのが当たり前。私はいつも下を向いて自分の机に向かうだけだったけど、今日は少し元気があった私は前を向いた。そこには名前も知らないクラスメイトが驚いた顔をしていて、周りも静かになっていた。周りを見渡すと今まで瞳に映る事の無かった教室の景色が見えた。あぁ、世界って意外と明るいんだなぁ。
「……に……てんのよ」
今まで見ていなかった当たり前の景色に少し感動していた私はそのつぶやきが聞こえなかった。すると唐突に胸倉を掴まれた。
「あんた何笑ってんのよ!」
私が?笑ってる?そうか、今私笑えているんだ。
そう思うとなおさら元気が湧いてくる。今日はこのままで行こう。
「何なのあんた。気持ち悪いんだけど。」
「なんでもありません。失礼します。」
そう言って私はいつも通り自分の席に着いて目を閉じた。瞳の裏に浮かぶこれからの生活と楽しみにしているゲームの続きを思い浮かべながら過ごした。今日はいつも周りでうるさくする人達もいないようで、遠くから話す声のみが聞こえる。
その後も何か特別なことは起こらず、何だったらいつもより構われる事が少なかった。無事に卒業式は終わり、教室で先生の話を聞いて。後は帰って両親と話をするだけ…だったのだけど。
「ねぇ、あなた。ちょっとこっち来なさいよ。」
「すみません。私これから用事がありますので。」
「あんたの用事なんてどうでもいいの。とっとと来なさい!」
朝構ってきたクラスメイトが私の事を強引にトイレに連れ込んだ。力の無い私は抵抗できなかった。
トイレに入った瞬間私は頭を何かで殴られ意識を失った。次目覚めた時には手を後ろに縛られ、足も縛られて立つことすらできない。おまけに口もガムテープで塞がれて声を出すことすらできない。前にはあのクラスメイトと何人かの女子がにやけながら立っていた。
「はーい皆さんご注目!これから月島ちゃんのお仕置きショーを始めるよ~!」
「わー!!」
私には何が何だか、いつも構ってくる時はもっと多くの人が見ている中だったはず。何故こんな狭いあまり人が来ない所で構ってくるのか。
「なんでこんな事するのかって顔だね。だって卒業式だよ?あんたに最高の思い出をあたし達が作ってあげる為だよ。これからもあたしに怯えて生きていけるようにね。」
私には言っていることが一つも理解できない。
「せっかく最後までつまんない顔させておこうと思ったのに、あんな明るい顔して、思い出すだけで気持ち悪くて鳥肌が立つ。」
「ちょっと杏。早くしよう?警備員とか来たらまずいよ。」
「分かったわよ。」
杏と呼ばれたクラスメイトが私の髪を掴み、引きずって個室に移動する。
「あんたはこれからここに顔を突っ込むのよ。最高でしょう?」
杏がそう言うがそんな訳がない。誰が好き好んでトイレに顔を突っ込むのだろう。私は抵抗したけど背中を蹴られそのままトイレの水面に顔を突っ込んだ。すぐに顔を上げようとするけど頭を押さえられ、手足も使えない状態では抵抗すらできなかった。そのまま水面から顔を上げる事が出来ず、息も続かずにトイレの水を飲み、私は死が近づく感覚を感じた。意識が無くなるその時まで。
相手側視点もいずれ書くつもり…つもりですけど…




