おっちゃんの一大事
「小次郎殿は寝たか?」
「うん やっと…置いて行かれないようにって 私の耳たぶ掴んでたから なかなか動けなくて…」
「遊びに行くなら小次郎も連れて行けばいいのに」
「小太郎殿 これは遊びではない 戦さじゃ!」
「えっ?」
「一刻を争う!しょう…案内いたすのじゃ!」
小ちゃいおっちゃんは一人で焦っている
「母ちゃんにおにぎり作ってもらうか?」
「いらん!早よ行かねば!」
小ちゃいおっちゃんが食べ物を拒んだ
「あっ 来た来た!」
小太郎達が男の子に案内されて やって来たのはいつもの公園
そこには 黒服の男が二人
「あぁ〜〜!」
ビクッ!
男二人が飛び上がる
「小太郎殿 知っておるのか?」
「多分…どこだったかなぁ…」
「私もなんとなく…」
「おい!おまえら 俺とどこかで会ったろ!」
「い い いえ…は は 始めてです…」
しどろもどろになる黒服の男達
「本当か?なんか晶ちゃんが危ない目に遭って…」
小太郎の中で記憶が蘇りそうになる
「おい!」
「わかった!」
黒服の男が ボタンを押すと
ピカ〜〜〜〜
眩い光が小太郎達を包んだ
「ここどこだ?」
「前にも見た事あるような…」
「晶太様…」
「うん…小太郎くん 晶ちゃん お願いがあります」
その男の子は 晶太 と言うみたいだ
「なんだ?お願いって」
「今 僕の 世界 では大変な事が起こっているのです」
「大変な事って何だ?」
「実は…小太郎くんは おっちゃん が好きですか?」
「おっちゃん?好きだぞ!」
この一言で 小ちゃいおっちゃんの涙腺が崩壊する
「うおぉ〜い おい おい」
「うるさくて ハゲてて おっちょこちょいなところあるけど」
「うおぉ〜い!わしはハゲてるのではない!これから生えるのじゃ!」
「でも 大好きだぞ!」
「うおぉ〜い おい おい…ズスゥ…」
泣いたり怒ったり忙しいな…
「僕も好きです そのおっちゃんが…拐われたのです」
「ん?おっちゃんならここに居るぞ」
「そうじゃ…わしはここに居るぞ…」
「ここに居るおっちゃんは 過去のおっちゃん 僕の おっちゃんが…」
「なぁ 今回の任務ってなんなんだ?」
「さぁ…大奥様から 大至急連れて来るようにとしか…総理は首脳会談で 北 に行ってるし…」
「それにしても 晶太様達は何を話してるんだろう?誰かが拐われたとかって言ってないか?」
黒服の男達には 小さいおっちゃんは見えていない
「晶太様 そろそろ到着します」
ウィ〜〜ン…
ハッチが開く
「晶太!」
「ばあちゃん!」
品のいいばあちゃんの元へ 晶太が駆けていく
「待って居ましたよ 太郎ちゃん」
「ん?ばあちゃん 俺の事知ってるのか?」
何も言わず 微笑むばあちゃん
「おっちゃんも元気そうで」
「もちろんじゃ!わしは36525日一年中元気じゃ!」
小ちゃいおっちゃん達 妖精の一年は 人間の100年
「あのぉ…晶太くんのおばあさんのお名前は?」
「あきらだよ!あっ…」
晶太が しまった と言わんばかりに口を押さえる
ニッコリと笑う晶ばあちゃん
やっぱり…そう言うかのように 晶ちゃんも微笑み返す
「なんだ?ばあちゃんも あきら って言うのか!晶ちゃんも あきら って言うんだぞ!」
もちろん小太郎は ピンッと来て居ない
晶太のばあちゃんは 晶ちゃんの数十年後
ここは未来なのだ
「へぇ〜〜 晶太のじいちゃんは 総理大臣なんだ…」
「そうだよ ねぇばあちゃん」
「本人は嫌で嫌でしょうがないみたいですけど…」
「さすが太郎ちゃん…」
晶ちゃんが ぼそっと呟く
数十年後の総理大臣が なんと小太郎
「なぁ あの銅像って犬か?」
「そうだよ!昔 じいちゃんが飼ってたの すごい長生きしたんだって」
「そっかぁ 小梅 いっぱい長生きするんだね」
キョロキョロする小太郎
「太郎ちゃん どうしたの?」
「ん〜…なんとなく見覚えあるんだよなぁ…」
それもそのはず 小ちゃいおっちゃんを晶太が知っていると言う事は ここは過去の小太郎の家が建っていたところ
小太郎が総理大臣になった時 首相官邸に入らず自分の家から出なかったのだ
「のぉ…盛り上がっておるところすまぬのじゃが…わしの一大事では?」
「あっ…そうだった…」
すっかり忘れ去られていた 小ちゃいおっちゃんの一大事
一大事とは一体…