さらばおっちゃん 小太郎の怒り
ブォ〜〜ン ブォ〜〜ン ……
「若…こんなところで…ダメですよ…若には未来の子供達にいろいろと教えなければならない事が沢山…」
「紅姉ちゃん…嘘だろ…おっちゃんは死なないよな…」
「太郎ちゃん…若は踏まれようと潰されようと死にはしません ただ…最終奥義を使うと…」
「紅お姉さん 最終奥義ってなぁに?」
「若の最終奥義は…超高音波…俗に言う超音波なんです 若は脳内で音を作りそれを口から放出するんですが…その際 脳内が強烈に揺れ…」
「う…うぅ…」
小ちゃいおっちゃんの意識が戻った
「おっちゃん!」
「小太郎殿…」
「若!まだ話してはなりません!」
「小太郎殿…わしに何があっても怒りを露わにしてはならぬぞ…」
「何を言ってんだよ なぁ おっちゃん…もう大丈夫なんだろ?」
「良いか?約束じゃぞ…清い心…忘れるでない…」
ガクッ…
「おっちゃん?なぁ…おっちゃん…嘘だよなぁ…おっちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」
小ちゃいおっちゃんは静かに目を閉じた
「若はどうなってる!」
「わからない…今は目の前の敵に集中するんだ!」
未だに増え続けるノラえもんに苦戦する妖精達
「なんでだよ…おっちゃんが…」
「太郎ちゃん…」
「おっちゃん…ごめんな…」
拳を握る小太郎
「太郎ちゃん ダメだよ!多分…おっちゃんが言いたかった事は…敵討ちをしたら…」
「わかってるよ晶ちゃん…でも…」
袖口で涙を拭う小太郎
「おまえら!いい加減にしろ!」
「太郎ちゃん!」
小太郎は戦場に飛び込んで行った
「いかん!皆の者 小太郎殿を止めるのじゃ!」
未来の小ちゃいおっちゃんが号令を出す前に サスケ 時来也 獅子達が小太郎の前に立ち塞がった
「太郎ちゃん 退がってください」
「ここは 我々に任せて」
「サスケのあんちゃん 時来也のおっちゃん どけ!おっちゃんが…おっちゃんが…死んだんだ…」
膝から崩れ落ち 泣きじゃくる小太郎
サスケ達の目からも止めどなく涙が溢れでる
「皆の者 ここはわしに任せて 戻ってくれぬか」
未来の小ちゃいおっちゃんが小太郎の肩に乗る
「懐かしいのぉ…ここがいつしかわしの特等席となっておったな…いろいろな者の肩に乗ったが 小太郎殿の肩が一番安心して乗られたのぉ 乗り心地が良いというか 小太郎殿が気にしながら歩いてくれたからなんじゃろうが…まぁ それが小太郎殿の気遣いじゃったんだのぉ 多分 小太郎殿は意識などせずにやっておった事…小太郎殿…わしが何を言いたかったのかわかるか?小太郎殿には このまま…その優しさを持ったまま成長して欲しいと願ったに違いない…仇討ちなど望んではおらんぞ…小太郎殿 これは喧嘩ではなく 戦なんじゃ…わしらは 守るものがあるから戦っておる 小太郎殿もそういう戦いならまだ良いが…今は違うじゃろ?わしの死を目の当たりにし 感情が先行しておる…亡くなった者を 守る とは言わぬ!わしはそんな事を望まぬのじゃ!小太郎殿には いつまでもわしらが見える者でいて欲しいのじゃよ」
ポロポロと大粒の涙が小太郎の頬を伝い落ちる
「わかってくれたか?邪気を纏って戦っては小太郎殿の目の前から わしらは消えてしまうのじゃ…それをわしは最後に言いたかったのじゃ」
「太郎ちゃん…」
小太郎を心配して晶ちゃんも小太郎を追ってきた
「晶殿…小太郎殿を頼んだぞ わしは戻らねばならん」
「おっちゃん…」
「わかっておる 必ずわしらが勝つ!」
「どうしておっちゃんが居るの?」
「?」
晶ちゃんの問いかけを不思議に思う小ちゃいおっちゃん
「おっちゃん死んだんだよね?どうしておっちゃんは居るの?」
「亡くなったのは 過去のわし…わしは…おぉ!そうじゃ!過去のわしが死ねば 未来のわしは存在せぬ事になる…もしや!小太郎殿 わしの元へ連れて行くのじゃ!」
「おっちゃんここにいるだろ?」
「違う!亡くなったわしの元へじゃ!」
「潰せばいいのか?紅姉ちゃん言ってたけど…おっちゃんは潰しても死なないんだろ?」
「小太郎殿…今 非常に恐ろしい事を考えてはおらぬか?天国ではない!過去のわしの所へじゃ!」
「なんだよ 最初からそう言えよな…」
「大体分かるじゃろ!誰が自分の殺人依頼をするものか!早うせい!」
「偉そうに…」
小太郎の肩に乗り 過去の自分の元へ向かう小ちゃいおっちゃんは 笑顔だった
それは 過去の自分が無事かもしれないとわかったからではなく 小太郎の顔から邪気が消え いつもの小太郎に戻った事にだった




