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父が死んだ  作者: 青紫蘇
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突然

こんなことになるなんて、思わなかったんだ。ただほんのちょっとの出来心だよ。

ねぇ、お父さん、何でこんなこと隠してたの?






何のことか私には、理解できなかった。

ただ呆然と画面に写し出された淡々とした黒い文字を見つめていたんだ。

10分いや2分ほど見つめてはっ、と我に返った。

慌てた。黒い文字には〇〇病院と書かれているのをみつけて仕事も投げ出し、電車に駆け込んだ。何で?今日に限って滅多に履かないヒールなんだろうと後悔して、今朝の自分に馬鹿野郎と叫んでやりたいと心底思った。


わざわざ汗をかかなくても勝手に湧き出てくる季節なのに。尋常じゃない汗の量例えばエアコンの効いた涼しいオフィスからミスをして相手の会社まで謝罪しに行く時並みに汗をかいた。


扉が開くと父のベッドの周りには5.6人ほど人がいた。訳の分からない機械がたくさんあってどれもかしこもうるさくおしゃべりしている。

その中で母が必死に声をかけていた。

「お父さん!起きて!ねぇ何か言ってよ!!」

「…」

生きているでも死んでいるようなもの、話しかけても返答がない目の前に父が眠っている。なんで喋らないの??


歳の離れた妹と弟が泣きじゃくっているのを見つけた。

妹のひなが私に気づいて声をかけてきた。

「お姉ちゃん!お父さんが!」顔がぐしゃぐしゃになっているひなを抱きしめて、頭を撫でてやることしかできなかった。

弟のあつは母の服の裾を掴んで「お父さん」と途切れそうな声を絞り出しながら溢れんばかりの涙を流していた。

私も声をかけてみた。

「お父さん?私だよ帰ってきたの。」

「…」

父の代わりに機械が返事をするそれが私はとても気持ち悪いと思った。

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