MtXの現場から、もう一人のあなたへ
私の中にいる、女性の部分が、書けというので書きました。
あなたが「女の子みたい」って言われて泣いて帰って来た時があったよね。泣かなくてもいいのに。あなたの中には私がいて、だからその大人はあなたを通して私を見たんだと思う。あなたはいつもそうやって、私を否定する。いい、あなたの中には私がいるの。そして、それは拭い去れないの。
精神の安定を育む施設で、それしかないから少女漫画をよんでいた。あなたは、男の作家の書いた物しか読めなかった。心の障壁を取っ払って、あなたが嫌悪している世界をのぞきなさいよ。私もそれを望んでいるの。あなたはいつもそう。人から押し付けられた男らしさを金科玉条だと思い込んでいる。もっと自分を見つめなさい。大事なのは何? 世間体?
あなたは今プロレスにのめり込んでいる。それで友人ができたと思っている。でもあなたの話には情感がないの。あなたは、あなたの友人と知識でしか会話していない。あなたの話には感情の動きが全くない。知識と冗談で世の中を渡っていけると思っているの? それ間違いだから。感情が出てこないとあなたの言葉は他人を動かせない。あなたがハマっているSFの女性の美しさに気づいているよね。そこに含まれた感情に気を配りなさい。知識でプロレスを、SFを語っている言葉は、相手には届かない。知識の鎖が自分の内面を縛っていることに気づけない。
プロレス見ていて、外人選手が日本人選手より好きなんでしょう。それ、私の影響だから。日本人選手にない格好の良さを、私が教えているの。素直になりなさい。あなたの一部は私なの、あなたはいつもそうやって主導権を自分が握って離さない。自分が自分の中心だと思っている。女性は好きなままでいいのよ。そこまでは奪わない。だけどね、あなたの中にいる私にも気づいて欲しいの。
あなたが、売れないと思って陳列をおざなりにした洋食器。私にはわかる。これはすごくいい物だから売れるの。事実、売れたでしょう。それから、あなたが嫌々、陳列している水玉模様のグラス。これ、本当は好きなんでしょう。これも売れたよね。箱から出してちゃんと商品が見えるようにしたから。
前にスキニーパンツのお客さんが来店した時、あなたは見とれていたよね。性的な意味じゃなくて、いいファッションだと思っていたよね。あなたにはそういう素質があるの、でも「男だから」という理由で蓋をしているだけなの。もっと自分が好きなものに入れ込みなさいよ。
卒業おめでとう。今まであなたの人生を半分以上占領していた欲望からやっと自由になれたのね。あの欲は、あなたをとても苦しめていた。あなたの人生は、あの欲望の奴隷だった。薬の副作用かも知れないけど、いい作用だと思う。心が軽くなったんじゃないかしら。あなたのゴールはすぐそこにある。心を開いて飛び込んでごらんなさい。