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あなたを探して旅してました。  作者: SAYA
3.Pansy
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「お前を呼んだ覚えはないんだが、なぜいるんだい?」

「僕も呼ばれた覚えはないんだけどね、セイラちゃんにちょくちょく会い行くって約束したからね」

「・・・」

にこにこ笑顔を絶やさないシルビィーの言葉に、レイはジトっとセイラに目をやった。

こっ、怖いですよ、レイさん!


そう、今日はシルビィーさんが遊びに来てるの。

約束っていうか、確かにちょくちょく来るとは言ってたけど、別に私がお願いしたわけじゃないんだから睨まれても。

二人にお茶を出しながら、セイラはその視線に気づかない振りをすることを選んだ。


「…、はぁ~」

セイラの態度にレイはおおげさにため息をつき、諦めたようにお茶を一口すすった。

「そうそう、今日はセイラちゃんにプレゼントを持ってきたんだよ」

2人の邪魔にならないように家事に戻ろうとしたが、レイによって強制的に隣に座らされて、一緒にお茶をすることになった。

どうやら、1人でシルビィーさんの相手をする気はないらしい。

ある意味、私に責任を取れということなのだろう。


なんとなく気まずい思いをしている私に、シルビィーさんは大きな箱を差し出した。

「プレゼントなんて、そんな…」

予想していなかったプレゼントに慌ててしまった。

しかもなかなか大きな箱である。

「今年は冬が早いみたいだからね。はい、どうぞ」

半ば押し付けられるように箱を受け取る。

「けど…」

「こいつに遠慮する必要はない。金なら腐るほど持っているんだから。開けてみれば?」

「そうそう、制服の支給だとでも思って。町に下りる時にでも使って」

箱を抱えて困っていると、レイとシルビィーはそう言った。

まぁ、確かに一国の王子ともなればお金はたくさん持っているだろう。

そう納得しながらも、少々申し訳なく感じる。

しかし“プレゼント”というのは、やはり嬉しい物である。


「じゃあ遠慮なく…」

そう断りを入れて、箱にかけられている黄色のリボンを外し、蓋を開けると、

「わぁ、かわいいっ!」

思わず声を出してしまった。


その中には、淡いピンクベージュの膝丈コートが入っていた。

形こそシンプルだが、フードと腕の袖口には上質なファーがあしらわれており、それがポイントとなって、可愛さをひきたてている。


「ほら、羽織ってみてよ」

そう言われて、箱からコートを取り出しその優しい肌触りに驚きながらも羽織ってみる。

「温かいっ、しかも軽いっ」

思わずその場でくるりと回り、笑みがこぼれる。

「でしょ、特注品なんだよ」

そんなセイラの様子に満足したように、シルビィーはにこにこ笑っていた。

“特注”って…。

その言葉を聞いて、笑顔を貼り付けセイラは固まってしまった。

いったいこれ、おいくらですか?

気になるけど聞けない。聞いたら普段から着ることができなくなってしまいそうだ。


「似合ってるよ、可愛い」

「馬子にも衣装…」

もちろん後者の意見がレイである。

私の方をチラリと見て、それだけ言った。

その言葉に少々ムッとしたが、それよりもプレゼントが嬉しくてレイの意見は無視する。


「シルビィーさん、こんな可愛いコートありがとうございます」

少々興奮気味に、お礼を言った。

「サイズもちょうど良いみたいだし。気に入ってもらえてよかったよ」

「汚さないうちに部屋に持っていきますね」

セイラは再びお辞儀をすると、そのまま自分の部屋に戻っていった。


「お前がそんなに気の利いた奴だとは思わなかった」

「よく言うよね、セイラちゃんに防寒着持って来いって言ったのは、君じゃないか」

セイラは部屋に戻っており、この場にはいない。

レイの憎まれ口を気にした様子もなく、シルビィーはニタニタ笑いながらレイを見ている。


実は、コートを発注したのはレイだ。

セイラがここに来た時に比べると、だいぶ冬が近づいてきている。それなのに彼女はあまり防寒になるような服を持っていなかった。

それが気がかりで、どうにかしたいがどうすればいいか分からない。

あまり金を持っているようにも見えない彼女に、買ってこいと言うのも違う気がする。


結果、最初は自分で支給するつもりだった。

しかし、1人町に下りて、女性用の店に入る自分なんて一瞬たりとも想像できない。

それで仕方なくシルビィーに用意させたと言うわけだ。


「…余計な事は、言うなよ」

レイは少々声を落として、シルビィーに脅すように言う。

「分かっているよ、でも、まさか君が、こんなにセイラちゃんを気に入ってるなんてね」

シルビィーはお構いなしだ。

「別に、そういうつもりじゃないけど。セイラが体調を崩したら、僕が面倒みることになるだろう」

「もし、僕と君が一緒に住んでいて、僕が体調を崩しても君は僕の面倒なんか見ないと思うよ」

「当たり前だ。お前にはなんの興味もないからな」

「ほらね。君はセイラちゃんが特別なんだよ」

「・・・」


僕はなんと返事をすればいいか分からなかった。

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