静かな図書館の、非常識な2人の、ただの会話
読んでくださってありがとうございます。
私の処女作となります。
ぜひ、最後までお読みください。
人がいないね。
うん、そうね。
静かでちょうどいい。
私もそう思うわ。
ここへ来て、正解だった。
自分の決断に、感謝しなくちゃね?
それにしても、僕たちは非常識だ。
どの意味で?
図書館で話していること。
誰もいないから、いいわよ。
まぁ、咎めるのは自分の良心のみだからね。
ねぇ、私たちって非常識ね。
どの意味で?
初対面で、名前も聞かずに気安くお喋りしてる。
名前が必要?
言っただけよ。
確かに名乗るのは大事なことだね。
様式美として、ね。
でも僕は、名乗る気にはなれないな。
そう言うと思った。
親に決められた名前が必要なわけがないだろ?
この状況じゃあ、そうね。
ねぇ、『よだかの星』って分かるかい?
答えの分かりきった質問をするのが、あなたの趣味なんてね。
回りくどいのは嫌いじゃないさ。
でしょうね、分かるわよ話せば。
僕たちは、よだかみたいだね。
……生きるために他の命を奪うところ?
ああ、そうさ。
それなら、違うわ。
どういう風に?
よだかは、虫の命を奪うことに罪悪感を覚えたわ。
僕たちは罪悪感なんてない、ってこと?
私たちは、よだかよりも下等な生物よ。
だとしたらあれもそうなのかな。
そうね、きっと。
散りぬべき 時知りてこそ世の中の 花も花なれ人も人なれ。
ガラシャね。
つまり、外で足掻いてる人たちは醜いってことになるわけだ。
一概には言い切れないわ。
例えば、家族とゆっくりしてる人とか?
自分に対して嫌味を言うのね、あなたは。
もちろん、君に対してでもある。
私の家族は本だから、嫌味にならないわね。
嫌味を言われるより、悲しいとは思わない?
それはあなたの価値観じゃないでしょ。
ああ、世間一般の素晴らしい価値観様だ。
あなただって私と同じだから、こんな日にここへ来てるんでしょう?
それも僕たちが非常識なところだね。
まさか、私以外にも人がいるとは思わなかったけど。
同じ意見だよ。
図書館員だって、今日は家族や友人と過ごしてるのにね。
誰だってそうさ。
少し、近くなったわ。
君と話すのは楽しいけど、残念ながらそろそろタイムリミットみたいだね。
私も残念よ。
室内はいいね。
断末魔の悲鳴が聞こえないから?
それもあるけど、ただ……。
ただ?
隕石に直撃されないってところがいい。
分からないわよ、そんなの。
ああ、確かにね。
もうすぐ、来るみたいね。
そうか……。
あの世があるなら、また話しましょう。
じゃ、再会の希望を込めて……またね。
ええ、またね。
読んでくださってありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
会話しかないので、読みづらかったでしょうか……?
いつか、もっと綺麗な物語を書きたいですね。