敗者のうた
さあ競争を始めよう
どこからともなく声がして
大人も子どもも一斉に
走り出したのはいつからか
敗者が可哀想でしょうと
勝者は平等を叫ぶ
手を繋いでみんなで走りましょう
敗者の存在しない世界
けれどそこで彼らは気がつく
敗者がいなけりゃ勝者もいない
敗者はもうあんな思いをしたくないと
やはり勝者になりたがる
だからもう一度競争しようと
勝者は一度知ってしまった勝者の味を
忘れられずやはり叫ぶ
もう一度競争しようと
平等を理想に掲げながら
一度知った甘い味を苦い味を忘れられずに
戦おうと叫ぶ
そんな私はずっと敗者
私は敗者のうたしかうたえない
苦い味しか知らないから
勝者になりたくて
今日も戦おうと叫ぶ
勝った先に何があるのか
私はまだ知らない