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快速電車  作者: yuu
1/1

始まり

7時5分。


今日もいつもの紺色のパーカーを着て家を出る。

春になったというのにまだ外は肌寒いが、マスクをしているので

顔のあたりはあまり寒さは感じない。自転車でいつもの道を進む。

追い抜いていく小学生や中学生を見て、友達と一緒に通学していた頃を

思い出す。大学生になり、いや、高校生から友達と待ち合わせして登校する

ことは自然に無くなっていった。初めは一人で行く学校は少し違和感があったが

今となっては普通になっている。


駅までは約20分かかるが、大体は下り坂だ。体は疲れることはないが、精神的に疲れることがある。

それは車とすれ違う時だ。風で髪が起き上がり、オールバックのようになる。それを車に乗っている人に

見られていると思ったら、少し恥ずかしい。これは僕だけだろうか。誰にも聞いたことがないから

分からない。でも今日はマスクをしていたので気は楽だ。マスクをしていると顔全体にマスクをかぶっている感覚に陥ることができるので、マスクをつけることは多い。


やっと、駐輪場に着いた。自転車が止められていないスペースを探すのは意外と大変で、

わずかな隙間でも無理やり押し込む。最近購入したリュックからスマホと定期券を取り出し、駅へ歩き出す。スマホで時間を確認すると7時24分。僕が乗るひとつ前の電車が停車していた。

駅へ走る人たちに抜かされる。この電車に乗るために朝から走るのは意外と疲れるだろうと同情する。

間に合ってほしいと少しだけ思う。


改札を通る前、コンビニを少しだけ見るが中には入らない。

そのまま改札を通過する。駅員さんは改札を通る人に「ありがとうございます」と言っているが、

通る側からする人はあまりいない。僕もしない。少し罪悪感はあるがそのまま左へ歩き出す。左にはトイレがある。毎朝電車に乗る前はトイレへ行っている。トイレの洗面台には髪をセットする高校生やサラリーマンが必ずと言っていいほどいる。僕も一様鏡を見て自分の姿を確認する。髪が少し跳ね上がっていたので、手で軽く治す。最後に全身を鏡で見てから、トイレを出る。改札のほうへ体を向け再び歩き出す。

電車を待つ人の波を避けながら自分が乗りこむドアの前まで蛇行する。毎朝同じサラリーマンの後ろに

並ぶ。そのサラリーマンは電車が来るまでストレッチをする。この光景を見るたび、今日も一日が始まったなと改めて実感する。そして、リュックから白いイヤホンを取り出す。毎回といっていいほど絡まっているのでそれをやさしくほどく。イヤホンとスマホを合体させ、音楽アプリを開く。

何の曲にしようか迷うが、昨日ドラマで流れていたエンディング曲を選ぶ。これがデビュー曲である

まだ若いバンドだが、少しはまりそうだなと心の中でささやく。気が付くと電車が到着していた。


サラリーマンに続いて黄色い快速電車で乗り込んだ。




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