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見えましゅ。

 ちくちくちく。

 サバナさんが破れたお尻の部分に継ぎ宛をし、縫い上げていくのをココとアンディは熱心に見つめていた。


「もうすぐ、仕上がるからね」

 二人の視線に気づいたサバナさんがにっこりと笑う。

 へへへと、ココとアンディも照れ笑いをして、また指先を熱心に見つめる。


「さぁ。出来たよ」

 いっぱい転んだり遊んだりで、擦りきれ穴が開いていたアンディのズボンが、きれいに修復されている。


「穴、あいてないね」

「あいてにゃいー」

「サバナさんありがとう」

「ありあとー」

「どういたしまして」

 ズボンを受け取ったアンディは大喜びで走り回る。


「メーメのミルクのむ?」

 ナイスタイミングでナナちゃんが声をかける。

「のむー」

「のみゅー」

 ミルクを受け取り、ゴクゴク飲んでいる子供たちの周りを、くるくる回っているモノたち。

 お付きの天使ーズ。二号。三号。


『神力で新しいズボンを出せばいいのに』

『不思議ですよね。この子たち、あれから殆ど神力を使っていませんね』

『まぁ、黄金の衣ならともかく、ショボいズボンを出すのに神力使われるのもどうかと思うけどねー』


 ん?

 グビグビとミルクを飲んでいたココは、ナナちゃんとアンディの間の宙を見上げて、訝しげに首を傾げた。


「ココちゃん、どうしたの?」

「んー。なんかいないけど、なんかいる?」

「え?虫?」

 昆虫が苦手なナナちゃんはキョロキョロと周りを見渡して手をバタバタさせる。

「虫じゃないけど……なんか」


「いりゅー!ピカピカしてるのがいりゅー!とんでりゅー」

 急に立ち上がったアンディが宙を指差し大声をあげると、なにかを追うように走りはじめた。

「えー」

 イヤそうに顔をしかめたナナちゃんに、ココはハッとした。


 これは、秘密の話つながりだ。

 言ってはいけない話だ。

 たぶん。


 バタバタ走っているアンディを捕まえ、無理矢理座らせる。

 残りのミルクをアンディに飲ませて落ち着かせた。

 

 虫ではない。

 ナナちゃんの頭の上からこちらをピョコピョコ伺っている、羽の生えた小さな生き物たち。

 今ではココの目にも、はっきりと見えていた。

 

 あ。目があった。


『見つかった?』

『見られてる?』

 顔を見合わせた二号三号は、次の瞬間、ピゅーっと消えて居なくなった。


 消えた!

 ココはコップを持ったまま二号三号が消えた場所を呆然と見つめていた。



『かくかく然々こういう訳で……』

 姿を見られた二号三号は、取り合えず一号に相談に来た。

 慌てている二号達に対して、一号は動じなかった。


『まっ。いいんじゃない』

 何とも気楽なお返事だ。

『えー?神様に叱られないかな?』

『いいのでしょうか?』


『んー。人間とはいえ、神力を持った奴等よ。見ようと思えば何でも見えて、察知出来るわよ。仕方ない事よ。ジョーは全く私を気にして無いから、ある意味、子供のが敏感なのかもね』


 一号よ。食い意地がはっているだけではなかったのか。

 達観した大人な発言だ。


『……そうですね。意思の疎通が出来た方が良いかも知れませんね。でも、見守るという御指示でしたので、お叱りを受けても、御報告に行かなければ……』


『いいわ。私が代表して報告してきてあげる。その間、ジョーの事みててよ』

『え?いいの?』

 叱られるかもとビクビクしていた二号の顔が、パァ~と明るくなる。


『任せといて~グヒヒヒヒ~』と、えらくご機嫌で去って行った一号を見送りながら、三号は呟いた。


『やっぱり……ただの食いしん坊ですね』


 一号の素晴らしき行動力の目的は、誰の目にも明らかだろう。



 




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