ホワイトストーン。
クコの実や青菜を煮込んだ塩味のスープと、サボ芋をこねて焼いた素朴な夕食が出来あがった頃、ジョーパパが帰ってきた。
「パパりゃー」
「おかえりなさいー」
キャーキャーと笑いながらお出迎えするチビッ子たち。
「今日はお土産があるぞ」
ジョーパパが抱きついているアンディのウネウネ頭を撫でながら言うと、
「おにきゅ?おみやげ、おにきゅ?」
まだお肉熱がさめないアンディがキラキラ目で見つめてくる。
「え?肉?肉じゃないんだけどな……」
思わぬお肉攻撃に怯みながら、ポケットから白い真ん丸な石を取り出す。
テーブルに置くとコロンと転がるので、布巾の上にのせる。
「ホウセキ?」
ココは宝石など見たこともないが、宝石と呼ばれる美しい石があることは知っていた。
「宝石じゃないと思うんだけど、珍しいだろ。真っ白で真ん丸な石なんて。森の入り口に落ちてたんだ」
ココは石を手のひらで転がしてみる。
コロコロコロコロ。
アンディの手にも乗せてみる。
コロ。
「カワイー」
転がる白い石にココは夢中になった。
「カワイー」
アンディも真似して石を転がそうとする。
「気に入ってもらって良かったよ。ご飯にしようか?」
「ハーイ」
「ぎょはんー」
白い石を布巾の上に置いて、ココはスープをお椀に注いでいく。
ジョーパパとアンディもちんまり座って待っている。
「アンディは今日も良い子にしてたか?」
「してちゃー。あしふみしちゃー」
「ハイ。パパどうぞ」
「あぁ。ありがとうココ。今日も旨そうだ」
「いただきまーす」
三人で温かい夕食をとる。
キラリ。
石が、一瞬光を放った。
ハッと気づいたココが見た時には、光は消え、白い石がただそこに在るだけだった。