4 ネネの口をひねってやりたくなった瞬間
「みやの?」
俺の部屋の前でネネが表札を読み上げた。
そういや俺の名前言ってなかったっけ。
「俺は宮野草子だ。1回人を事故で殺しちまったダメな男でございます。
年はほっとけ。」
「バカかお前は」
ネネにつっこまれた。
へいへい、俺は馬鹿ですよ!
ったく、何なんだよ・・・
「みやの そうし・・・」
ネネがぶつぶつ言っている。
不意に顔を上げて俺を指差した。
「よし、お前は今日から草子だ!」
いや、お前に言われる前から草子ですけど!?
「今日からお前を草子と呼ぶと言っているんだ」
「なら最初からそう言えよ」
こいつといるとマジ調子狂うな。
さっさと鍵を開けて家に入る。
殺風景な玄関が広がった。
「汚い」
・・・・・・・。
ネネの言葉を聞かなかったことにする。
上がってすぐがダイニングキッチン。
「はぁ・・・」
雑誌や食器がおきっぱのテーブルの上を見てネネがため息をついた。
無視だ無視。
右に曲がって扉を開けるとそこがリビング。
小ぢんまりしたこたつとテレビ。
ネネがこたつに足を入れて正座した。
開口1番、
「狭い」
「お前は文句しか言えないのか!?」
家に入って文句しか聞いてないんだけど。
まあ確かに言ってることは正しいんだけどな。
「キッチンを左に曲がったら廊下を挟んで畳の寝室だ。廊下の突き当たりに
2つドアがある。右がトイレで左が風呂な」
さて、無視してくれたネネは置いといて、暗くなってきたし
夕飯の買い出しにでも行くか。
「ネネも行くか?」
一応聞いてみるが・・・
「私はいい。お前の家の構造を確認しておく」
さっき教えたじゃん。
それともあれか。
俺の言ったことが信用できないのか。
・・・バカだから・・・・(^-^)。
1瞬ネネの口をひねってやりたくなった。
まあいいか。
「鍵は外からかけておくからな。何かあったら俺のケータイに電話しろ」
ケータイの番号をメモって机に置いておく。
「今日はすき焼きにするか」
ついそう呟きながら俺は家を出た」