プロローグ
キキー!!
ブレーキ音が道路にこだまする。
「・・・また・・・なのかよ」
俺の車に当たって倒れた小1くらいの少女。
わなわなとハンドルを握りしめながら俺は「あること」を思い出していた。
~~~~~~~~~~~~~5年前~~~~~~~~~~~~~~~
ついさっき好きだった女性に告白し、okをもらった俺は
正直浮かれていた。
好きなバンドの曲をバンバンかけ、アクセルを思い切り踏み込む。
幸い目の前は直線道路。
好きなだけ加速できた。
すごい音を立てながら、十字路に差し掛かる。
次の瞬間、赤ん坊を抱えた母親らしき女性が目の前に現れた。
ひどく焦っている様子で、ためらいなく俺の前を横切ろうとした。
「うおぁっ」
ブレーキに全体重を乗せる。
だが、どこかの標語と一緒だ。
{車は急に止まれない}
正直信じてなかった。
すいません、おまわりさん。
バンッ
当たった衝撃で車が揺れる。
大慌てで車から降りると、
子供を守るようにしっかりと抱きしめ・・・息絶えた母親が大量の血の海に浸っていた。
泣き叫ぶ赤ん坊。
俺はただ立ち尽くし、目撃者がどこかへ電話を掛けたり、母親に声をかけているのを見ているしかなかった。