第4話【残り339日:人間乗っ取り大作戦】
第4話【残り339日:人間乗っ取り大作戦】
「フッ・・・さて、作戦会議だ!」
マサオは人間でいうところの肩を竦めるようなポーズをした。
このペンギンは時々妙に人間っぽいのだ。
「・・・その作戦、犯罪じゃないの?」
「バレなきゃいいんだよ!」
「いいわけないだろ」
「うるっせぇ!」
マサオは子分のヒヨコ達に向き直る。
「聞け、子分ども。人間の体を乗っ取るには」
大真面目な声だ。
「心を奪う!!ここ重要だ!!」
「心を奪うってこと!?」
警戒心がにじむ。
(どういう意味だ)
「要するにだな」
ヒヨコ達はまるで聞いていなかった。
ちょこちょこ寄ってくる。可愛い。
「よし説明する!」
「人間を乗っ取るにはな」
マサオはどこからかプロジェクターを出した。
「え、プロジェクター!?」
「プレゼンするぞ」
「なんで持ってるの!?」
「作戦名は!」
バン!!
「人間乗っ取り大・作・戦だ!!」
「そのままだね」
「パワーポイントも作った」
「ペンギンが?」
「三日徹夜した」
(努力家なんだよなぁ)
映像が映し出される。
―――そこには冬太が映っていた。
「わぁ、可愛い・・・」
自分で思ってもいない表情を晒している冬太の顔が、画面いっぱいにアップで映る。
「俺を可愛いと思っている状態で、目が合うと、乗っ取り成立だ!!」
マサオはいたって真剣そのものだ。
僕は頭を抱えた。
「なんでこんな映像撮ってたんだ・・・!」
「一瞬だぞ。チャンスは逃すなぁ!!」
ヒヨコ達はプロジェクターを通して、自分の小さな体をパタパタしながら
影遊びに夢中だった。
奥に、日めくりカレンダーのような紙が見えた。
何か大きい字で書いてある。
――残り339日
「マサオ、あれ何?」
「さぁな」
「行くぞ!お前らぁ!」
「作戦開始だー!!」
マサオは猛々しく叫ぶ。
「ピョ(寝る)」
「寝るなぁぁ!!」
マサオは、ブチギレた。
「お前ら!!」
「俺の引き立て役だ!!」
「分かってんのか!」
マサオは怒鳴りながら、ヒヨコたちを両ヒレで叩きつつ、秘密の通路へ走る。
「行くぜぇ!実践あるのみ!」
階段をペッタペッタ上がっていくマサオ。
ヒヨコたちも慌てて追う。
僕は後ろから見つめながら思う。
(こいつ、やっぱり全力で可愛いな)




