第12話【残り321日:マサオ、キレる】
第12話【残り321日:マサオ、キレる】
ターゲット物色中。
マサオが双眼鏡を覗く。
「次は、あのリーダー格の女子だ!あいつを乗っ取れば俺はクラスを支配できる!」
「・・・無理」
サァァと顔から血の気が引く。
「群れの中にいるな。よし、呼んで来い」
「無理。絶対に無理」
「なんでだよ」
過去の怖かった記憶。言語化が遅かった幼少期。
取り囲まれ、まくし立てられる光景。
「威圧感のある女性、苦手なんだ」
「・・・分かんねぇな」
僕は力なく笑った。
ドゴッ!!
「いっ!?」
「お前、それやめろ」
「え」
「自分を笑って誤魔化すんじゃねぇ。・・・まぁ、いいんじゃねぇの。俺も虫とか嫌いだ」
「・・・それと一緒にしないでよ」
口元が、今度は少しだけ自然に緩んだ。
――
ターゲット—―穏やかそうな男子生徒 (岡本くん)
「あいつは心の中も穏やかそうだ!」
「呼んで来い」
「岡本くんだね」
ダイブ。乗っ取り成立。数秒後。
「うわああぁぁぁ!!変態だぁぁ!!」
即、飛び出すマサオ。
「どうしたんだ!?」
「こいつ、水着の女性達を課金で集めまくってるぞ!」
「岡本君、アイドル好きらしいよ」
「変態だぁ!!」
「・・・健全だと思うよ」
―――
マサオ、キレる。
「なんでだよぉぉぉ!!」
ドン!!
「なんで誰も乗っ取れねぇんだ!!」
「いや乗っ取ろうとするなよ」
「あと全部“重い”って逃げてるじゃん」
「・・・」
ピタッと止まる。
「・・・あの時は、いけたんだよ」
「え?」
「・・・なんでもねぇ」
ヒヨコ2号、背中に乗る。
「ピヨ」
「お前、重いぞ」
――残り321日




