第10話【残り324日:鉄壁の岬さん】
第10話【残り324日:鉄壁の岬さん】
僕はマサオに「そのままで可愛い」と言い続けた。
マサオは可愛さの自信を取り戻した。
結果、元の作戦に戻ってしまった。
・・・間違えたかもしれない。
「俺は最強の肉体を手に入れる。狙いはあいつだ」
(あ、終わった)
マサオの視線の先。
運動神経抜群で有名な女子――岬さん。
「やめとけって」
「潜入するぞ」
「どうやって」
「堂々とだ」
(・・・どういう作戦だよ)
僕は目を細めた。
マサオは微妙に背中を丸めた。いたって真剣な顔だ。
「行くぞぉぉぉ!!」
ペタペタペターッ!!
ヒヨコ達も必死に追いかける。
その光景に、思わず僕は吹き出しそうになる。
(全力で可愛い、そして全力で変だ)
マサオは両ヒレを広げ、堂々と歩く。
廊下の角を曲がると。
岬さんが目の前に現れた。
「わ、ペンギンさんだー!」
スッ・・・
マサオと目が合う。
瞬間、岬さんとマサオ。両方ピタリと静止。
遅れてマサオを抱え上げる。
抜け殻みたいだ。
1秒後、すぐビクッと反応。
「入ったぁ!・・・と思ったら、即『出てって』って弾きだされたぞ!? 拒絶が早すぎる!」
「岬さん、心の中までストイックなんだね・・・」
「おかしいぞ、この女子!強すぎる!!」
体幹も強い岬さんが珍しくふらついた。
複数の男子生徒の声が近づく。
僕はマサオを抱えたまま、ダッシュでその場を後にした。
――残り324日




