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カルナディアの勇者ガヤオは、仲間のネココと川沿いをパトロールしていた。
「今度、モツコさんに、ちゃんと謝るッスよ」
「確かにひどいこと言ったからな⋯でも、モツコさんとは付き合わないぞ」
「はぁ。贅沢ッスねー。桃太郎さんの猿のことは早く忘れるッス」
「元カノみたいに言うな! あれはただの凶暴な猿だろ!」
「ミツコさんにも謝るッスよ」
「ミツコさん、関係なくね!?」
2人が揉めていると、川の中から半魚人のモンスターが3匹、現れた。
「わー!」
驚きつつも、ガヤオは右手を敵に向ける。
「ビリビリン!」
しかし、何も起こらない。
「あれ!?」
戸惑ううちに、モンスターは攻撃してきた。
1匹の爪を、ガヤオはスモールシールドで防ぐ。
ネココは残り2匹をショートボウで牽制してくれた。
ガヤオは剣を抜き、物理攻撃でモンスターたちを素早く倒す。
「ふぅ」
剣を鞘にしまい、額の汗を拭った。
「どうしたッス? 危なかったッスよ」
ネココが心配する。
「ああ。少し調子が悪いのかな? 呪文が出なかった」
「魔力はあるッスよね?」
「ある。何でだろ?」
ガヤオは首をひねった。
「あ!」
身体が半透明になる。
ミョーン感覚が、やって来た。
これは、ガヤオが異世界に呼ばれる兆しである。
「待っててくれ」
「へーい」
ネココが、気の抜けた返事をする。
周りの景色が、大ホールのイベント会場に変わった。
「ゲーム大会」と書いた大きな看板が掲げられている。
ガヤオの前に、10代後半の少年が立っていた。
半袖シャツに短パン、キャップを後ろ向きで被っている。
右手の指に包帯を巻いていた。
「来た来た! 助かったよ!」
少年が、大喜びする。
「オイラはゲーム太郎!」
「俺はガヤオ。カルナディアの勇者だ」
互いの自己紹介が終わると、太郎は状況を説明した。
彼は今、町内のゲーム大会に出場している。
順調に勝ち進み、決勝まできたところで、デビル団の罠にかかり、右手を負傷してしまった。
「デビル団?」
「ゲームで世界を支配しようとしてる悪者たちさ!」
太郎は怒り心頭だ。
デビル団に優勝されれば、この町が乗っ取られてしまう。
だが、太郎以外にゲームが出来る者は居ない。
しかも、決勝の相手はデビル団のボス、デビル悪男だ。
悪男はレトロTVゲームが、とんでもなく上手いのである。
「ええー? そいつに俺が勝つのか? TVゲームとかいうので? 普通にやっつけちゃダメか?」
ガヤオが腰の剣を抜いて見せると、太郎は首を横に振った。
「オイラはゲームで勝ちたいんだ!」
「いや…相手に怪我させられた時点で、何でもありだろ」
「ガヤオさん、お願いだよ!」
「そうか…」
ガヤオは剣をしまった。
「オイラがゲームを教えるよ!」
「時間はあるのか?」
「15分」
「じゅじゅ、15分!? 無理無理!」
慌てて教えてもらう。
決勝のゲームは「キョキョキョ エイリアーン」といって、カクカクのキャラクターを上下左右に動かし、敵のエイリアンを避けながら、時折飛んでくるキョキョキョ玉を手に入れ、短時間だけ逆襲し、得点を重ねていく。
レバーとボタンを使うのが、意外と難しい。
しかも、練習の時間が足りない。
基本の動きを理解した辺りで、本番が来てしまった。
司会のお姉さんにステージに呼び込まれ、ガヤオと太郎、デビル悪男と部下たちが向かい合う。
大勢の観客から、巨大なゲーム画面が見られるようになっていた。




