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「ハハ、勇者を選びおったか。奴を思い出すわい」
家に帰った二人は、大賢者様に職業のことを話した。
「奴とは誰ですか?」
「ああ、わしの相棒だった奴じゃ。勇者職の最上位種、英雄まで上り詰めた、今考えても規格外な奴じゃったが…奴はもういない。不治の病のかかって、あっという間に…」
「…」
(英雄ってさっき聞いたな…ってことは大賢者様はS+より上の存在って事か…)
「まぁ、昔の話だよ。じゃが奴との冒険は最高の経験じゃった。奴は固有スキルの効果で、レベルを上げる代わりにステータスを任意で強化できるスキルを持っていた。じゃが、奴はHPに一切値を振らなかった。HPは少ない方が勝手がいいんだよ、と譲らずに。今までハピに教えた戦法は殆ど奴が編み出したものじゃよ。」
「あぁ、HP1カウンターとかのことね?なんでそんな戦法を大賢者様が知ってたのかと思ってたけど、そういう事だったんだ?」
「そうじゃ。ちなみに、奴とパーティを組んでいた時は、4人パーティじゃった。残り二人は今どこにいるか知らんが、【獣王】と呼ばれた獣人のクリス、【聖天使】の二つ名を持つエルフのルイス。この二人に会うことがあったらわしは元気だと、伝えておいてくれ。」
(大賢者様レベルのとんでもない人たちがあと二人いるのか…)
「あ、そういえば、勇者になったせいで明日から西の町へ魔物と戦いに行かなきゃいけないらしいの。二人で行ってくるつもりだけど」
「ああ、そういう事なら明日、転移魔法で西の町まで飛ばしてやるわい」
「その便利な転移魔法、そろそろ僕にも教えてくださいよ?」
「これは、賢者の標準スキルなんじゃ。賢者以上の階級を一度経験すれば使えるようになるのじゃ。」
「おお、そうなんですね、じゃあ魔導士になって正解だ!」
次の日。
早朝に転移魔法で西の町まで送ってもらった二人は、惨状を目の当たりにした。
避難指示が出された町は閑散とし、遠くでは爆発音が聞こえる。
「無理だ!あんな奴に勝てるわけがない!」
「俺たちはここで終わりだ…」
「畜生!一撃だけでも喰らわせてやる!」
【ケンはTPを50消費し、連続斬りを放った!】
【3hit!】
【ストームドラゴンに14ダメージ! 49907/50000】
「くっ…!!」
【ストームドラゴンのスネークテイル!】
ケンは死を覚悟した。その時。
「君の相手は私達がしてあげるよ。」
【ルードはケンを庇った! 攻撃対象が変更されます。】
【ルードに223ダメージ! 102577/102800】
「ガード無しだと結構痛いな!」
【スキル・歩行(最上級)により、空中と水上の歩行が可能になります。】
「あいつ、怒ってるね。冷静さを欠いたら勝負はついたようなモノだけれど」
「とりあえず、僕の攻撃で弱点がつけそうだからやってみようかな?」
【ルードはTPを0消費し、アイスストームを唱えた!】
【弱点属性のため、ダメージが倍増します。】
【80hit!】
【ストームドラゴンに1250ダメージ! 48657/50000】
「流石ドラゴン、あんまり効いてないな?」
「でも弱点は突けてるみたい」
「魔力が高いから大したダメージが入らないんだろう。じゃあ、アレをやろうか」
「そうだね、アレで行こう」
【ルードはTPを0消費し、氷槍生成を使った!】
「はい、ハピさん、存分にやっちゃって~」
「コレの威力が増すだけでも勇者職についた甲斐があるってもんね!」
【ハピはTPを20消費し、アイススラッシュを撃った!】
【弱点属性のため、ダメージが倍増します。】
【ストームドラゴンに184300ダメージ! 0/50000】
「…!」
ケンをはじめ、その場にいた誰もが思った。この二人が暴れたら災害などというレベルでは済まないと…。
「さて、ドロップアイテムを貰って帰ろうか…と言いたいところだけど、」
「ん?まだ何かすることがあったっけ?」
「このボコボコの地形をそのままにして帰ったら怒られるだろ…。」
「ああ、でもこれはあのドラゴンがやったって事にして、」
「いやみんな見てただろ!お前の一撃でクレーターが出来たの!」
「……。」
「ま、いいよ。どうせお前はTPが2桁しかないから大規模な魔法は使えないもんな。黙って見てろ。」
「………。」
【ルードはTPを1200消費し、山崩しを発動した!】
【周囲の地形が平地に置き換わります】
「この技、凹みも直せるから滅茶苦茶便利なんだよね。魔導士になったから効果範囲も広がったし…ってあれ?」
「どうしたの?」
「職業が賢者にランクアップしてる。」
「あれ、私も大勇者になってる。」
「職業効果でさらに魔力アップ、回復魔法は効力が300%もアップするって。ハピの方はどうなってる?」
「私のは経験値ブースト…これは使えないからゴミね。あとは、アイテム使用時効果が100%アップ…アイテムは基本的にローポーションくらいしか使わないしこれもいらないかなぁ?」
「前々から思ってたけどローポーション一個で全回復できるのズルいよな…」
「あとは、魔物に与えるダメージが100%上昇、受けるダメージは50%減少。でも天地逆転は固定ダメージだから適用されないし、これもそこまで重要じゃなさそう。」
「まぁお前に前衛を任せやすくなったってところか。」
「HP80しかないか弱い女の子に前衛を任せようって?ああ怖い怖い」
「防御力4700のくせに何言ってやがる…」
「いや、勇者補正で今は5000超えてるから」
「尚更だよ!!」
「なんて、この他愛無い会話でも私の幸福値は貯まってるから、6000も夢じゃないね」
「全く、本当にえげつないスキルだな。ステータスの上がり幅が少なくなかったらもう追いつけなくなるところだよ」
「魔法威力100倍の人には言われたくないけど」
「氷以外は10倍だよ」
「それでも10倍だよ」
「あーはいはい」
一方、ケンは。
【ケンはTPを2消費し、通信を開始した。】
「もしもし、国王様…?」
「なんだ、ストームドラゴンの討伐に成功した時以外は通信を許していないはずだが」
「ストームドラゴンが倒されました、突然現れた二人組によって…。」
「なんだと?我が騎士団が敗走したあのドラゴンを倒しただと?」
「はい、しかもほぼ一撃で。」
「…それはどんな奴らだ」
「一人はLv130弱の魔導士、もう一人は勇者で、Lv1でしたが圧倒的な攻撃力で…」
「Lv1?まさか…」




