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『ルードさん、取り敢えず…そこから逃げて。この建物には何が仕込まれているかわからないから、安全な場所までハピと、皆を連れて行って。』

「そうだな…」

『そんな悲しい顔しないで。死んだ訳じゃないのよ。ただ、今の状態だとスキルも発動出来ないし、HPも残り少ない。防御もとれないから、一刻も早く安全な場所へ行かないと、このまま死ぬことになる。』

「分かった。皆、うちの王宮まで転移させるけど、いいか?」

「了解!」

「OK…」




「帰ったか…」

「魔王の復活は阻止したんですね…でも、代償として犠牲を払ったと。」

「そうですね…くそ、僕がもっと…何か手伝えたことが…」

「落ち着いて、時が経てば、復活出来るんだから、大丈夫。」

「その『時』が、人間の基準だと長すぎるんだよ。1000万日は、えーと…この世界の一年は何日だ?」

「大体200日、ということになっているわ。つまり、50万年。」

「200日か。魔界の一年は35000日程度だから、ずっと感覚が狂ったままでな…」

「50万年…50万年経ったら、みんな死んでいるのでは…?」

「肉体は滅んでいるでしょうね。魂は…汚染されない限り、残る。この話はまた後でしましょう。今、【憑依】状態でハピと思考の一部を共有していて、彼女と会話出来る状態なの。危うく、外界とコミュニケーションが取れなくなるところで…本当に危なかったけど何とか成功した。」

「ああ、そうなのか?意識は保っている状態なんだな、じゃあ、ハピが次に気付いた時には50万年後で、全く理解できない世界で生きていくことに…なんてことにはならないのか。」

「そうね、あと、自分から行動出来ないっていうだけで、周りの事象を感知することは出来る、つまり感覚系は全て残った状態。あと、一番大事な事。本来、この【行動不能】の状態異常は上位存在の干渉が無いと起こり得ないものなの。一応、一部の下位存在でも起こせるけど…例えば、ルイスさんは生まれつき天使から力を授かっているから行動不能にさせる技を持っている、そうですよね?」

「その通りです、ただし、期間は2日までとかなり短いですが。」

「いや、上位存在以外がそれを扱える時点で人間からしたら途轍もない脅威よ。」

「二日間動けなかったら何もかもやりたい放題されてしまうからな…」

「えーと、話を戻すけど。本来は『上位存在しか起こせない、上位存在でも抵抗不可の状態異常』なわけで。上位存在に掛けることが前提となっている状態異常だから、人間に掛けると不具合が起こるの。例えば、呼吸をしているように見えるけどこれは実際は見た目だけ。物理的な肉体を持つ者に掛けている故の不具合ね。あともう一つ肉体に関して。ハピの肉体は『行動不能状態の間、時間が進まない状態』になっている、はず。こんなに長い行動不能状態は普通、人間に掛かるものじゃないから、確証は持てないのだけれど…今までの前例と、あと私達が行動不能を掛けられた時に適用される状態を加味すると、それが正しいと思う。」

「えっ…じゃあ、こいつは、50万年生き続けることに…?」

「何もなければ、そうなるわね。私達にとってはほんの一瞬の期間とも言えるけど、人間の時間で50万年は相当、永い。次に復活する時、そこにどんな世界が待っているかは…分からない。私達も勿論、この世界の管理者として、環境の維持に尽力するけど。」

「管理者って?」

「管理者とは?」

「あら、誰も管理者について教えなかったの?上位存在4種は、それぞれの世界の管理者に割り当てられているの。天使は天界、魔族は地獄、悪魔は魔界、妖精は…この世界。この世界は他の世界からは『中間界』と呼ばれている。と、これ以上はややこしいからまた別の機会に話すことにして。」

「…よく、やってくれたな…遠くから感知しただけじゃが、今回の魔王は復活した場合、前回とは比べ物にならない程強大な敵となっていたじゃろう…。復活してしまったらわしらにもどうにも出来ん程のな。」

「そうですね…世界の終わりを覚悟しましたが。その身を犠牲にして…まさに【英雄】と言ったところでしょうか。」

「あ、ハピ、心の中でにやけてる…。」

「貴女もお手柄ね。もしハピが外界とコミュニケーションが取れなくなっていたら、50万年のあいだに気が狂って…自分が魔王並みの脅威になってしまっていたかも。」

「うちのご主人様に限って、そんなことは無いと思うけどね!念のためよ。」




「そういえば、リリーは何処へ行ったんだ?オメガを討伐しに行こうとした時に、先に行ってて、と言い残したきり姿を見せないんだけど。」

「あぁ、忘れてたわ。あの子は今、復活期間中なの。つまり、一回死んだ。まぁでも、幸運にも、復活までの期間は20日らしいから、特に困ることはないはず。」

「えぇ、あいつ、私に隠れて何か、無茶をしたのか?」

「まぁ、無茶と言えば無茶ね。あの場には、もう一人魔族が居たらしいの。中階級くらいの奴が。それを自爆技で巻き込んで一回殺し、地獄に送り返したの。別世界からこの世界に来るには、こちら側から干渉が無いと無理だから、送り返すだけでもかなり効果的ってのを分かってるから、リリーは。ただあの子も一つ計算ミスをしていたようね。貴方に迷惑を掛けないようにと黙って一人で戦ったようだけれど、自分がもし復活までに何年何十年かかってしまうとしたらそれは、一番迷惑が掛かってしまうからね。運よく短期間で済んだけど。それと、復活期間中も契約の恩恵は残った状態だからそれも心配しないで。」

「そうか…。タマもあいつに会いたがっているし、復活が待ち遠しいな。」




同時刻、天界にて。

「さぁ、ハルさん、貴方ももう目的は果たしたでしょう。もう暫くは魔王は現れないはずです。転生の準備を。」

「…あれほどの魔王、本当に復活していたら、手が付けられなかっただろうね。本当に、よくやってくれた…」

「正確には、一度復活してしまっていましたけどね。ハピさんが【巻き戻し】で無かったことにしましたが。」

「あぁ、だから異常に対応が正確だったのか。納得した。それにしても…どうも、都合が良すぎないか?それなら、貴方が与えた3つのスキルはどれも活用されたことになる。」

「…ハルさん、【特殊転生】はしますか?」

「あ?いや、するつもりはないよ。この記憶を持って次の人生を送るのはちょっと気が引けるね。」

「じゃあ、タネをお教えしましょう。私はスキル【高度演算】を持っています。そのスキルの効果で、観測できる範囲外からの干渉が無い限り、やろうと思えば数年分…世界の全ての事象を演算出来ます。それで、まず【逆転の天使】【思考加速】が必要なことが分かりました。正直、【逆転の天使】はこちらとしても与えるコストが大きくて…なんたって属性相性をひっくり返すものですからね。この時点で、演算できる範囲で、最終盤面を切り抜けるためのスキルを与えるだけの余力が残っていませんでした。だから、私の演算出来ない『時間操作』に着目したんです。巻き戻しを使うタイミングまでは演算出来ました。巻き戻った先でハピさんがどんな行動をとるかは演算範囲外だったので、正直、賭けでしたが。」

「なるほどね。ハハハ、改めて、上位存在というものがどれだけ化け物かが理解できたよ。俺の人生でそれを超えることを目指さなくて、正解だったな。」

「私やローズさんは上位存在の中でも上の中くらいですからね、そこを目指すのは相当骨が折れる話ですね。」

「そうだな。次は目指してみようかな、なんてな。それじゃあ…」

「あ、もう、転生されますか?ローズさんに連絡をとっておきますか?」

「いや…いいよ。あいつなら、大丈夫だろう。」

「そうですか。あー、でもそれではローズさんもあまりに可哀想なので…一つ、貴方に目印を付けておいて、いいですか?」

「まぁ、それくらいなら。」

「スキルを付与しますが、実質無いようなものなので、気にしないでください。」

【スキル・ありがとう(特級) 効果:5種ステータスが常に1.05倍化される。(このスキルは転生時に消滅せず、情報開示で認識されない。)】

「無いようなもの…とは…?1.05倍の重さ、分かっているか?」

「さぁね?分かっていないかもしれません?」

「【高度演算】があるって言ってただろ!」

「ハハハ、冗談ですよ。皆、貴方には助けられましたからね。お返しのようなものです。それに、主に上位存在の持つスキル【情報権限】を使えばこのスキルも見えるので、ローズさんが貴方を見つけたらそれが貴方だと認識出来ますからね。」

「はぁ。まぁ、いいよ。それじゃあ…長らく世話になったな。キンゴさん。」

「私の名、一回しか言ってないのに、覚えていてくれたんですね。やっぱり、そういうところなのかなぁ、ローズさんが貴方に惚れたのも…」

「ああうるさいな!それじゃあな!」

「はい。いい人生を!」

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