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「特大魔石…?こんなものをどこで手に入れたのですか?」
「ああ、武家屋敷ダンジョンの裏ボスみたいなやつを倒したらドロップしたんですよ」
「裏ボス?それってもしかして隠しイベントですか?」
「そうですね、Lv100以上でボスを倒したら出現しました。」
「あのボスをLv100以上で倒したんですか…?」
「倒したどころか一撃でしたけどね…もうちょっと手心ってものが」
「そういうお前もLv200の裏ボスを実質無傷で倒したじゃないか?」
「えっ、貴女が倒したんです?でも貴女、Lv1ですけど…HPも2桁ですし…」
「あなたも情報開示スキルが下級なんですか。じゃあ、僕の視覚貸してあげるんで見てやってくださいよ、コイツがどんな化け物かをね」
【スキル・感覚共有(下級) 効果:任意の相手に視覚・聴覚を共有できる】
「え、なんですか、そのスキル、S-ランクの冒険者を何人も見てきましたけどこれは知らないですっ」
(あれ?感覚共有は上級の冒険者には必須だって大賢者様が言ってたような…?)
【スキル・情報開示(上級) 効果:相手の技と通常スキル以外の全てのステータスを閲覧可能】
【《ハピ》Lv.1 HP80/80TP80/80 AT4708 DF4706 MG4703】
【固有スキル・???(下級) 効果:レベル上限が1になる。ただし、幸福度ステータスを100ポイント貯めるごとに全ステータスが2上昇する。(ただし、HPとTPは上昇しない)現在の幸福度235176】
「4700…!?」
「ああ、僕でも4000にやっと届きそうな程度なのにコイツは軽く超えてきやがる…」
「そもそも貴方達、当たり前のように情報開示スキル(上級)を使ってますけど、普通の冒険者はせいぜい中級ほどですよ?上級にランクアップするには100種類のボスのステータスを閲覧したうえで討伐しないといけないのに…。」
(??? 100種類どころか300種類くらいボスを倒したような気がするが、もしかして普通の奴はそんなに倒さないのか?)
「もしかしてルードさん、固有スキルは経験値ブースト系ではないのですか?」
「僕のスキルは魔法強化ですけど、」
「経験値ブーストなしでLv100を超えたんですか!?」
「ああ、結構大変だったんですよ?」
「結構なんてレベルではありません!私はこのギルドの買取担当を25年やっていますけど、経験値ブーストなしでLv100の純粋な人間を見たのはまだ二人目ですよ!」
「ちなみに一人目っていうのは?」
「15年ほど前に冒険者を引退された、S+ランクの大賢者マーリン様です。」
「!」
ルードはハピと顔を見合わせた。
(大賢者様、Lv250くらいあったなそういえば…)
「えーと、とりあえず魔石の買取価格は、特大×1が1000000G、大×1が10000G、中×2が200G、小×2が2G、合計で1010202Gとなりますが」
「は、はい、買い取ってください…」
「あ、それと、貴方達、ギルドマスターに貴方達のことを伝えておくので、明日ランクの修正をしにまた来てくださいね。」
二人は外に出た。
次の日、ランクの修正をするためギルドマスターに会いに行く二人だったが…途中で、厄介そうな集団に絡まれてしまった。
「やぁそこのお嬢ちゃん、今ちょっと時間ある?」
「おい、俺たちは今から」
「あんたたち、私等にちょっかいかけてタダで済むと思ってるわけ?」
「は?」
「ちょっとハピ、ここじゃマズいって」
「大丈夫、控えめにしとくから…」
【ハピの殴打!】
【エネルギーの調整により、ダメージが95%減少します。】
【スキル:竜神拳(中級)により、攻撃範囲が上昇します】
【7人 の対象に平均13800ダメージ!】
「がっ…!?」
「HPが2割弱残るように調整しといたから、それ以上動かない方がいいよ」
「くそ…なめるなよ!?」
「HP1まで減らされたい?」
「ひっ…」
「さ、行こうルード。」
「ちょっとやりすぎじゃないのか…?」
「こう言う奴らは力の差を見せつけてやるのが一番だよ。」
そこへ、一人の男が現れた。
「すまないね、君達。普段はああいう奴らは私が直接制裁を加えているんだが、ちょっと今人を待っていたもので、対応が遅れてしまった。いやはや、強いお嬢さんでよかった。普通の女の子じゃあ、何も抵抗できず連れていかれてしまうからね…」
「あの、あなたは誰なんです?」
ルードが問う。
「ああ、私はこの近辺を守っている【ストライクギルド】のギルドマスター、アレックスだ。君達は?」
「私はDランク冒険者(仮)のハピ、こっちはAランクのルード。」
「ああ、君達を待っていたんだよ。明らかにランクより上の実力を持ってる二人組がいるって買取担当から聞いてね。全く、人事担当は何をやってるんだか…。」
「あなたがギルドマスター…」
【《アレックス》Lv.91 HP53000/53000 TP10000/10000 AT5200 DF2600 MG1800】
【固有スキル・眼光(上級) 効果:10分に1回使用可能。対象の動きを先読み出来る。更に、対象のステータスを20%減少させる。3分間持続。】
「なかなかの強い固有能力をお持ちで。流石ギルマスと言ったところですかね。」
「情報開示(上級)持ちか。ということは、少なくともHP300000以上のボスを倒してるってことか。」
「ああ、情報開示のランクアップ条件のことですね?4~5年前に鉄のゴーレムを、ハピがボコボコにして…僕は殆ど何もしてなかったんですけどね?」
「はぁ…鉄のゴーレムは確かに鈍いが、一撃喰らったら即死級の攻撃をしてくるはず、それをボコボコか…。」
「とりあえず、拠点へ行って話をしません?周りの視線が…」
「ステータス数値は見させて貰った。君たちは少なくともS-ランクには到達していそうだ…。ただ、スキル効果は加味していない。これから、最大出力を見せてくれないか?」
「分かった…けど、私達の最高出力を出したら最悪、町ごと吹き飛びますよ?」
「安心しろ、地下200㍍に地下洞窟があるんだ。そこで撃ってもらうよ。」
地下洞窟にて…。
「あの的に向かって最高出力で撃てばいいんですね?」
「ああ、思いっきり撃ってやれ!」
【ルードはTPを0消費し、アイスストームを放った!】
【ルードはTPを250消費し、ダークネスホールを放った!】
「魔法の重ね掛けか、この組み合わせは初めて見るな。」
「深淵の闇によって更に氷の温度を下げるんです。」
【二つの魔法が合成され、大魔法「ディープフリーズ」が発生した!】
【1600hit!】
【試験用的に8373112ダメージ! 0/10】
(800万…これは紛れもなく俺より上、S+ランクだ…)
「私も撃っていいですか?」
「反対側の的があるから、それを使って。」
「はい、了解です」
【ハピはTPを35消費し、炎竜剣生成を使った!】
【ハピはTPを35消費し、炎竜剣生成を使った!】
「剣を2本も生成した…?」
「普段はTP消費のない僕が氷剣を作ってやるんですが、あいつが一人で最大火力を出す方法は、二刀流なんです。そして、余った10のTPで…」
【ハピはTPを10消費し、炎竜十文字を放った!】
【2hit!】
【試験用的に25065590ダメージ! 0/10】
「2500万!?」
「攻撃範囲が狭いうえに、TPを全部消費しちゃうので暫く無防備になっちゃいますけどね」
「二人とも、規格外ですね…文句なしのS+ランクを付けさせてもらいます。」
「S+ランクってどのくらい凄いんですか?」
地上に帰ってきたルードが訪ねる。
「S+は基本的には最上位ランクで、それを超えた人物といえば英雄のパーティの4人しか居ないと思います。S+自体は国に10人居るかどうか程度ですね…。」
「あ、英雄で思い出した。君達、職業は?」
「まだ選んでないですね、最近登録したばかりなので…。」
「職業補正無しであの威力か…。全く、異次元だな。職業に就くことは基本的にメリットしかないから、今からでも選んできなさい。」
二人は職業案内所へ向かう。
「すいませーん、職業を探しに来たんですが~。」
「はい、オススメの職業診断を行っているので、アンケートに回答してください!」
(Lvは50以上か?はい)
(魔力には自信があるか?はい)
……
「ふーん、魔導士だって。魔法が全般的に強化されるらしい…?」
「それ、上位役職に賢者があるらしいよ。そのうち大賢者にもなれるかもね?」
「あ、本当だ。って、なんで知ってるんだ?」
「まともな職業が全然でなかったから虱潰しに調べてるの~」
ルードはハピの診断結果を覗いてみた。
「Lv1に適正の職業なんてサポーターしかないよな、普通。」
「一個だけ、サポーター職じゃないのもあったけど」
「…勇者?」
「でも勇者って魔物の討伐とか積極的にやらないといけないみたいだし、流石にHP80の私じゃ厳しいかなって」
(防御力4700の奴が何言ってるんだ!)
そう言いかけたが、心の内に秘めておいた。
「いざとなったら僕が手伝うからさ、やってみたらいいじゃない?それに、低レベルでも結構なステータス補正がかかるみたいだし、」
(勇者になられたら僕より2,3段先の境地に入れるのでは…?)と言いそうになったが、抑えた。
「まぁ他にいい職業がないから、これでいいかな」
「じゃあ僕も魔導士で決まり!そのうち大賢者様を超えられるかもだからね」
【ハピの職業が勇者に確定しました】
【ルードの職業が魔導士に確定しました】
「何の職業に決まりましたか…って、勇者!?」
「何か問題が?」
「いや、勇者は今、魔物討伐のため招集がかかっているんです。ただ、生半可な魔物じゃないみたいで、何人もの勇者職の方が命を落としています。」
「ほう、じゃあそいつの討伐に成功しないとコイツが生き残る道はない、と」
「案の定初っ端から面倒なことに…」




