27 / お前が最強だ
「キメライオン、もういい、戻れ!」
【エルは「キメライオン」を呼び戻した!】
「…圧倒的に、強い。どうしますか?」
「ゴーストフォックスに少しずつ体力を削ってもらう。ただ、奴の注意を引く壁役が必要だが…キメライオンでも耐えきれなかった。」
「やはり、攻撃力デバフもかけた方が…」
「いや、長期戦になって君にTP切れを起こされたらまず勝ち目はないだろう?まぁ…そろそろ、エースカードを切るか。」
「エース…」
「出番だぞ、ジェリー。」
【ジェリーは変形-機械鉄人を使った!】
「む…なんだ、これは」
【オメガはTPを250消費し、剛破拳を放った!】
【性質変化-柔が発動!】
【ジェリーに133ダメージ! 299867/300000】
「甘く見るなよ…ジェリーのスキル【性質変換(最上級)】はどんな攻撃でも自身の性質を変えて、最小ダメージで受ける。壁役としてこれ以上のものはないだろう。」
「ほう…だが、壁があっても、それをすり抜けられたら意味がないだろう?」
「!!」
【オメガはTPを1200消費し、誘導連魔弾を放った!】
【10hit!】
【タロウに61223ダメージ! 42777/104000】
「…後衛を先に潰す、戦闘センスは抜群のようだな…」
「タロウ君、すまない。もう少し防御の布陣を固めておけば。」
「いいえ…ただ、俺が只の後衛だと思っているなら…大間違いです。」
「何?」
「え、でもタロウ君は【呪術師】の職だから、後衛に間違いはないはず…」
「…本当は、これは二度と発動する気は無かったんですが。エルさん、後始末、頼みます。」
「…タロウ君、まさか」
「ジョーカーのカードを切ります。貴方もモンスターに詳しいから、知っていますよね…?」
「それは、発動したら元に戻れる保証が…」
「構いません。皆のためなら。では。」
【タロウはスキル・魔獣化を活性化させた!】
【ステータスが大きく変化します】
【TPのステータスが消失します】
「タロウ君!!」
「…全てを捨ててまで、勝利に価値を見出すか。」
【タロウは八つ裂きを放った!】
【3hit!】
【オメガに82306ダメージ! 98413/196000】
「何だ、この威力…」
「白虎…いや、ワータイガーの亜種?変異種?こんなモンスターは今まで見たことが無いよ…。」
【《タロウ》Lv.171 HP42777/473000 AT10650 DF6540 MG7480】
【固有スキル・猛虎の牙 が、一時的に最上級に引き上げられています】
【固有スキル・猛虎の牙(最上級) 効果:HPが半分以下の時、攻撃力が100%上昇。1/4以下ならさらに200%上昇。1/8以下ならさらに400%上昇。1/16以下ならさらに800%上昇。1/32以下ならさらに1600%上昇。】
「スキルで攻撃力が8倍化している状態か。更に、さっき掛けた防御力デバフもまだ残ったままだ。この火力なら希望はある!援護するぞ、ジェリー、タマ!」
「このまま終わると思うな!」
【オメガはTPを1080消費し、散弾千八十度を放った!】
「!!」
【タマは寸前で回避した!】
【ジェリーは身代わりを発動した!】
【性質変化-剛が発動!】
【ジェリーに695ダメージ! 299172/300000】
「タマ、撃て!」
【タマはウィンド・ブレイクを放った!】
【オメガに6078ダメージ! 92335/196000】
【オメガは状態異常・スタンを受けた!】
「あとは頼んだぞ!」
「!!」
【タロウは虎狩を放った!】
【クリティカルヒット!】
【オメガに113255ダメージ! 0/196000】
…
オメガ(現在の名)は、緊急依頼のファイアドラゴン討伐をあり得ない速度で完了させた。
「…こんなものか。討伐隊を全滅させたというから、どんなモンスターかと思ったが、呆気なかったな。」
「ハハ、やっぱお前は、途轍もないな…」
「ケビンも、援護ありがとうよ。お前が居たから早く終わったんだ。」
「■■■一人でも速攻で片づけていただ…、ろ…?」
「?ケビン、どうした?」
「いや…何でもない。」
「何でもなくないだろう!顔が白いぞ…」
「…もう、隠しきれなくなってきたか。お前に心配かけたくなかったから言わなかったんだけど…」
ケビンは、先天性の病気が進行し、死期が迫っていたのだった。
「いいよ■■■、一人で行ってくれ。俺の事はいいから…」
「いいや。俺はお前の最期まで、一緒に居ると決めたんだ。幸い、今までこなした依頼の報酬があるから、暫くは過ごしていける金もある。」
「…」
「おい、ケビン。大丈夫か?」
「本当は…もっと、お前と、共に色々な依頼をこなして…ずっと相棒で居たかった。…畜生!!何で俺は…!!」
「…お前が死んでも、俺の相棒はお前一人だ。この先も、永遠にな。」
「…なぁ、■■■。」
「なんだ?」
「俺は悔しいんだ。お前が作る『伝説』を、この先見られなくなることが。」
「…」
「せめてもの願いは…俺が死んだことで、お前の道を潰すことにならないことだ…」
それから、15日が過ぎ、ケビンは亡くなった。
その後。オメガは、ケビンの分まで強くなることを重視するあまり、前が見えなくなり、強者と闘うことを何よりも優先するようになってしまっていた。そんな時だった。
「貴方が、この辺りで有名な【通り魔】さんですね?」
「そんな呼び名がついていたのか。なんだ、俺を処分しに来たのか?」
「滅相もない。貴方をスカウトしに来たんですよ。」
「スカウト?」
「そうです。貴方の望み…より強くなること。それをかなえるための最高の環境を用意してあげましょう。その代わり、私達の計画に協力してほしいのです。」
「…どうせ、俺のやりたいことなんてもう無いんだ。いいだろう、乗ってやる。」
「ありがとうございます。ああ、そうだ。貴方の素性がバレると厄介なことになりますから、これからは『Ω』と名乗ってください。」
「…ここは?」
「天界、言うなれば死後の世界です。」
「そうか……だが、俺にお似合いなのは地獄じゃないのか?」
「魔族に侵されていたら、地獄行き…二度と輪廻に戻れなくなりますが、貴方は、強い自我で侵蝕を食い止めていたでしょう?」
「ああ…何か、おかしいと思ってはいたんだ…だから、警戒していた。」
「侵蝕は17%といったところですかね。これなら、すぐに浄化出来るでしょう。」
「…」
「何か、やはり後悔があるんですか?」
「死の寸前、俺は気づいたんだ。俺が目指すべきものは、強さではなかったということに。」
「では、真に目指すべきものは何だったとお思いですか?」
「さぁ…それは何だろうな。そこまでは分からない。だが、強さだけを持っていても、それを正しい方向に使わなければ、駄目なのではないか、と思っただけだ。」
「ああ、そうだ。貴方に会わせたい人…いや、魂が居るのですが。」
「?」
「貴方の行動原理、最も愛した者ですよ。」
「まさか」
「俺だよ。ずっと、見てたんだ。」
「ケビン…」
「正直、お前があの後道を踏み外したのは、見ていて悲惨だった。でも、最後には気づけたんだろう?それならいいさ。」
「彼は貴方の行く先を見たいと言って、ここに留まっていたのです。まぁ、これが最後の挨拶になるでしょう。ずっとここに居られると後が詰まりますから。」
「次はもっといい人生になることを祈ろうじゃないか。お互い、な。」
「ああ…そうだな。」




