25 / 怪物と呼ばれて
【リンはTPを500消費し、波動砲を放った!】
【カイは寸前で回避した!】
「…」
【カイはTPを3200消費し、高速乱打を放った!】
【30hit!】
【リンに21098ダメージ! 47998/133000】
「…中々、やるじゃないか。」
「…リン」
「何だ?」
「お前、わざと、攻撃を外していないか?」
「…」
「【百発百中】の異名、それに恥じぬ腕、リンの攻撃、オイラが避けられるわけが…ないよな?」
「そうだな…そうかもしれない」
「…」
「…」
【カイはTPを3200消費し、高速乱打を放った!】
【30hit!】
【リンに21104ダメージ! 26894/133000】
「…こんな闘い、フェアじゃない、そうだろう?」
「私とお前は…もう、敵なんだ。思う存分、殴ってくれて構わない。」
「…そこの悪魔、お前は、どう思うんだ?」
「正直、俺にはもう何が正しいのか分からないが。俺も…お前に死んで欲しくは無い、そう思えるほどには…我が主によくしてくれていたな。」
「…」
「立場が違ったら、仲良くなれたのかもな。」
「私には、やはり、お前を消せない…。」
「ああ、リン、一つ言い忘れていたんだが。こいつ…カイの、【魔族浸食度】は93%といったところだな。これが何を意味するかというと…今ここで、浸食度が100%になる前に殺しておけば、まだ輪廻に戻れるということだ。勿論、9割以上も汚染されていれば、天界でタダでは済まないだろうが…二度とこの世に戻れないより、いいんじゃないか?」
「…?」
「何が言いたいかって?お前の手で、コイツを、救うんだ。」
「私が…?」
「無論、俺がやってもいいんだが。悪魔は魔族に対して特攻を持っているからな。俺がやればいくらか、早く終わるだろう。だが…リンがその手で救うことに、意味があるんじゃないか?」
「何だか知らないが、オイラだって、無抵抗のリンを、殺すなんて御免だよ!最後くらい、本気で、かかってきてくれても、いいんじゃないのか?」
「分かった、じゃあ…一撃で、決める。」
「おう!来い!」
「今まで、ありがとう。そして、さよなら。」
【リンはTPを15000消費し、ヘッド・ショットを放った!】
【固有スキル・必中(最上級)を発動。回避を無効にし、必ずクリティカルヒットが発生します】
【クリティカルヒット!】
【カイに1749524ダメージ! 0/116000】
「次の人生では…こんな、悲惨な結末にならない事を、祈るよ。」
「感傷に浸っている所悪いが、まずは皆と合流を目指そう。まずはムーンライト達とコンタクトを取るべきだな。」
「そうね。所で、『次』があったら私とカイはまた、友達になれるか。貴方はどう思う?」
「きっと、なれるさ。でも、『次』を迎えるには、『今』を乗り越えなければいけない。この戦い、必ず…乗り越えるんだ。」
「分かってる!」
…
「何だ、こいつは!」
「誰か、こいつを追い出せ!」
「待って、オイラは…」
「ハァ…」
昨日も今日も明日も拒絶されるばかり。こんな生活はもう嫌だ。カイ(現在の名)はそう思っていた。
カイの種族は『オーク』と人間のハーフ。傍から見たら、只の化け物であった。
本来オークはグリーン共和国の奥地にある、山脈の中腹で暮らしている。だがカイの父親は、人間と恋に落ち、山を下りた。しかし、禁忌の恋をした二人は、それをよく思わない者たちの手により、殺された。まだ小さい子供を残して。
以来、カイは各地を転々とし、何とか生き延びていた。しかし、もう限界も近い。自ら命を絶つことも考えだした、ところが、ある日の事。
「フフフ、君は中々いい素質を持っているよ。」
「オイラがか?一体、何のことだ?」
「世界を変える力です。貴方は、元々力が強い種族だ。そして、今、貴方はこの世界にうんざりしている。どうです?私に手を貸してみませんか?」
「…オイラを、罠に嵌める気だろう?どうせ。アンタのような、人間の考えることなんて、お見通しだ。」
「ほう、信用してくれませんか。貴方、生活に困っているのでしょう?私達が、衣食住を保証しますよ。対価として、私達の協力者となってくれれば。」
「…どうせ、死にゆく予定だった、命だ。最期に、賭けてみても、いいかもな?」
「交渉成立ですね。ああ、それと。貴方は今日から『χ』と名乗ってください。」
その者たちの待遇は非常に良く、カイは持ち前のパワーを活かして戦う戦士となった。カイはこの世界を根本から変えるべく、魔王の復活を手伝うことにした。
しかし、カイは知らなかった。自分が魔族に取り入られ、輪廻の輪から逸脱しようとしていること。そして、魔王が復活してしまったら、災害では済まない惨事が起こるということを。
「…ここは?」
「ここは天界です。貴方は、死んだのですよ。」
「…オイラ、負けたのか。…リンは、やっぱり、オイラより、数倍強いもんな。」
「私達に言わせれば、貴方は救われた、そう考えるべきですけどね。貴方は危うく輪廻の輪から外れ、その魂を魔族に喰われるところでした。」
「???」
「奴らにとっては、貴方などただの手駒に過ぎなかったというわけです。リンさんは、貴方がまた転生できるよう、完全に魔族に浸食される前に死なせてくれたんです。」
「…何だかよく分からない。でも、リンは、オイラの為を思ってくれていたなら、オイラは、嬉しい。だって…」
「最初で最後の、親友だから。」
補足
天使は妖精に強い。
妖精は悪魔に強い。
悪魔は魔族に強い。
魔族は天使に強い。
いわゆる、4竦みになっています。




