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(只者ならぬ気配…誰なの、この人は…)
「転移の書き換え…?そんなことが出来るんですか?」
「正確には俺が、ではなく俺の為に上位の存在がやったんだけどね…。」
「上位の存在って…それより、ここは何処なんですか?」
「天界…死後の世界の一つだね。あ、安心して、君は後で元の世界に返すから。」
「はぁ…。」
「天界の中でも、ここは中心部。上位存在【天使】が居る場所に近い。」
「天使?ルイスさんが確か、【聖天使】の異名を持っていましたが、それとは何か関係が?」
「ああ、あいつか。あいつの固有スキルは天使が直接授けた物で、【断罪】という天使の使う技と同じ効果を、常時使える。だから【聖天使】の異名がついたんだ。」
「へぇ…そんな由来が。それで…貴方は一体、誰なんですか?」
「君たちの話にもさっき出てきた、【救済者】ハル。それが俺の名前。」
「えっ…大賢者様のパーティのリーダーだった、あの英雄…」
「君も今は英雄ランクじゃないか。そう驚くような事でもないさ。」
「確かにそうですけど…。」
「君がここに居られる時間は長くはないから、そろそろ本題に入ろう。君たちは、今、魔王の復活を阻止しようとしている。」
「はい、そうですね…。」
「魔王が復活されると、天界も困るらしくてね。魔王をはじめとする【魔族】に魂を取り込まれると二度と輪廻の輪に戻れず、その分天界に戻る魂も減る。そうなると、天使が新たに魂を生成しなければならないんだが…魔王の復活ともなると、失われる魂の数も、膨大なものになる。そうなると天使も消費するリソースが途轍もない。それは困るってんで、俺に力を貸してくれたんだが…」
「成程?それで、わざわざ私を呼び出したのは何故ですか?」
「単刀直入に言うと、魔王の復活を阻止してもらいたい天使達が、君に力を授けたいと言っているんだ。具体的には、とあるスキルを与えようとしている。」
「…何故、私なんでしょうか?私は戦闘ではなく指揮を執ろうとしているんですが。」
「それは…君が一番適任だからだね。まず妖精や悪魔は神格、つまりそこそこ上位の存在なんだ。その存在に力を与えたら世界のパワーバランスが乱れかねない。そして、残った者の中には、前衛で戦う事を主にするのは、君しか居ない。」
「前衛だと何かいいことが?」
「それは今から授けるスキルを一番有効活用できるのが、前衛職だからだね。まぁ、もうそろそろ時間が無くなるから、授かってから内容を見て欲しい。」
「はい、分かりました…」
「おっと、身構えなくていいよ。スキルを受け取るタイミングでダメージを受けたり状態異常が付与されたりはしないから…というか、もう渡してあるんだけれど。」
「え、もうですか?」
「そろそろ時間切れだからね。君は元の時間、転移先の場所へ飛ばしておくから。あ。言っておくけど、君はすぐにここへ来るんじゃないよ?」
「死ぬなって事ですね?分かってますよ!」
「お帰りなさい…あれ?」
「只今。どうしたの?」
「今、時間と空間の歪みを感じた気がするんだけど…」
「…歪んでたよ。」
「やっぱり?どこへ飛ばされてたの?」
「天界」
「天界!???」
「魔王倒してこいって頼まれちゃったよ…どうしよう…」
「どうしようって…やるしかないでしょう、どちらにしろ!」
「あと、幾つかスキルを貰ったらしいんだけど、まだ何を貰ったか確認してなくて。今から確認しようと思う。」
「天使からスキルを?天使は直接現世に干渉することを嫌うはずなのに。」
【スキル・逆転の天使(特級):【魔族】に攻撃する場合、ダメージ3倍。更に、魔族を倒した場合存在を消滅させる。】
「一個目…。これは魔王特攻みたいな感じかな?消滅って…」
「上位存在は、死んでも初期地点…私なら妖精の里に、復活出来るから…それが何年、何十年先になるかは分からないけど。消滅ってことは、復活を許さないわけね。本物の、死を与える。」
「そんなスキル、私に託しちゃっていいのかな…」
「まぁ、貴女ならきっと、やれるわ。」
【スキル・思考加速(特級):1秒間、思考速度を100倍に引き上げる。クールタイム10秒】
「二個目。何に使えばいいか分からないけど…」
「敵の攻撃を確実に見切るのに使えると思うわ。クールタイムも短いし、HPの低いハピには特に便利なスキルだと思う。」
「あぁ、そういう感じなのね。わざとダメージを喰らいたい時もあるからそういう時にも使えるのかな。」
【スキル・巻き戻し(特級):時間を巻き戻せる。ただし、範囲は300秒前まで。クールタイム200日】
「最後、これは緊急用だね。クールタイムが長すぎる。」
「それだけ、時間を逆行させるのは難しいという事ね。」
「そういえばこのスキル達、等級が(特級)だって…こんなものもあるのね?」
「特級スキルは上位存在から直接授かる事でしか発現しないの。今まで言ってなかったけど…私から与えられるものもある。」
「そうなの?」
「せっかくの機会だから…与えてもいいかもね。ほら、これよ。」
「さっきもそうだったけど、何の通知もなくサラッと与えられるのね…」
【スキル・自然発火(特級):植物を使用する技の使用時、火属性攻撃効果を追加できる。】
「植物を使う技?」
「教えてなかったけど、私と契約した時点から植物の操作が出来るようになっているはず。今から三日あるし、覚えてみる?」
「少しでも役に立つなら、やるよ。」
「OK,それなら明日、里へ行きましょう。」
突然の超強化イベ
物語も終盤に…。




