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「ハピ、もう寝ちゃったみたい。まぁ、寝てなかったら【スリープハーブ】で強制的に寝てもらう予定だったけど。」
「主人に対して中々手荒なのね。で、貴女、調子はどうなの?」
「コンディションはバッチリよ、時間の使い方にも困らないし、最高ね。」
「そう…本当に、何十年も地下室に居させて…ごめん」
「自分で選んだ道なんだから、姉さんが気にすることでは無いわ。それに、ハピに私のことを教えたのは姉さんでしょう?それでチャラみたいなものよ。永遠に近い寿命のうちの何もないウン十年より、今のひと時の方が私には大事なんだから。それより、わざわざ来て、他に話すことはないの?」
「ああ、そうね。貴女も何か感じない?イエローの不審な動き…きっと、何かある」
「昔行った時はどうだったの?先代のハルさんと行った事があるんでしょう?」
「あの時は…もう二十年も前だけど、いい場所だったわよ、人の温かみを感じられて…。神聖国なだけあって、教会だらけだったけどね。」
「うーん、その二十年で何かあったのかしら?あと、リリーもそこに居るんでしょう?あの子の事も心配ね…。」
「あの子の事だから、心配しなくても逞しく生きていそうだけれど…。ご主人も相当な実力者だったでしょう?」
「あの人は相当強いし、まぁ心配は要らないとは思うわ。それでも、5年も会っていなかったら心配になるでしょ?」
「連絡手段は持ってるでしょう?貴女は【感覚共有(最上級)】を持っているんだから。」
「でも、暫くは連絡してくるなって…」
「いや、今は明らかに連絡すべきでしょう。暫くはって、貴女まさか一度も連絡を取ってないの?」
「いや、最初に一回だけ連絡したんだけど…喧嘩しちゃって…」
「それっきりってことね、あー、理解したわ。今こそ、連絡すべき時よ。」
「分かった…やってみるわ。」
「リリー、聞こえる?私、ローズだけど…」
「え!?ちょ、ちょっと待って!」
「マリー姉!いくらなんでも5年間連絡を寄越さないのは酷いでしょう!こっちからは連絡する手段が無いんだから!」
「ご、ごめん…」
「全く、二人とも、子供じゃないんだから。」
「それで?わざわざ連絡してくるってことは、何か言いたいことがあるんでしょう?」
「ああ、明日、私がイエローに出向くことになったの。もしかしたら貴女に会うかもしれないから、よろしくって、連絡しようと思ったの。」
「え!正面から来るのは危ないよ、今のこの国は昔のような場所ではないから…」
「やはり、何かあったのね?ここ数年の間に?」
「詳しい話は、明日しない?安全な入口を教えるから。」
「仲間…というか、各国の代表を連れていく予定なんだけど…大丈夫?」
「各国の?何かあったの?」
「イエローからグリーン・ブルーに攻撃があってね、幸い攻撃してきた者は全員捕えたけど…。抗議しに行こうと思っていたの。」
「奴ら、遂にそこまでしだしたのか…とりあえず、何人で来るの?」
「4人…正確には、一人と一匹と一体と一柱?」
「な、どんな面子で来ようとしているの!?」
「まず、グリーンから私でしょう?ブルーからルードさん、と、契約者、悪魔のムーンライトさん。あとレッドから獣人のタロウ君ね。」
「その悪魔のムーンライトって…神格レベルの、あの?」
「そうだけど」
「そんな大物が来るの!?こちらも相応の準備をしないと…」
「そんな大物って…貴女や、私達も、同レベルなんだからそんな気張る必要はないと思うけど…?」
「取り敢えず、姉さんたちが向かう為のルートを用意してくれるんでしょう?それを今のうちに教えて頂戴。」
「分かった、私たちの本拠地へ通じる裏ゲートを教える。イエロー、グリーン、ブルーの国境の点に、石碑があるの。そこに、火属性の魔法を撃ち込むと、転移ゲートが開く。」
「分かったわ、仲間たちに伝えておく。それじゃあ、また明日…。」
「あれ?クリスさん、まだ深夜ですが…」
「私は種族的に、睡眠時間は短めなのです。そういう貴方は?」
「俺は…夜行性の種族なので。最も、疲れていたのでさっきまでは寝入っていましたけどね。」
「そうですか。」
「タロウさんは、どこへ向かうんでしょうか?」
「外へ、冷たい風を浴びに…散歩ですね。」
「私も行って宜しいでしょうか?」
「ああ、いいですよ。」
「…あの」
「はい?」
「貴方達といた頃の師匠は、どんな方だったんですか?」
「クリスさんの事ですかね?あの人は…最初は会話すらしてくれませんでしたね…」
「へぇ?あの師匠が、ですか。」
「それに、大抵は速攻で一人で敵を蹴散らしてました。多分、私達を信用していなかったんでしょうね。でも、ある時…ボスモンスターの【リトルダークマター】と闘う時…彼女は全方位攻撃に弱いのは貴方も知っていますよね?」
「ああ、師匠は速攻極振りですからね、避けられない攻撃が来たら即ダウンもあり得ます…。」
「そう、その時、全方位攻撃を、もろに喰らってしまったんです。HPが残り3割程まで削られ、恐らく彼女も死を覚悟したんじゃないでしょうか。でも、ハルさんや、私達は決して彼女を見捨てたりはしないですからね。」
…
「デバフはかかっていないみたいですね、これなら簡単に治癒させられそうです。」
「治癒って…?」
【ルイスはTPを1000消費し、ウルトラヒーリングを唱えた!】
【クリスは55877回復! 78000/78000】
「回復魔法?それはSランク帯の冒険者でも殆ど使える者は居ないはず…」
「お前、どうせもう一回敵に突っ込む気だろう?なら、次は特大の一撃を入れてやれ。マーリン、あれを。」
「分かった。」
【マーリンはTPを666消費し、破壊の衝撃を唱えた!】
【クリスの攻撃力が一定時間、500%上昇。敵単体に攻撃する場合、更に5000%上昇。】
「文字通り、破壊してやれ。わしらが援護する!」
「…分かった。」
【クリスはTPを340消費し、シルバーバレットを放った!】
【攻撃に光属性が付与されます】
【リトルダークマターに487760ダメージ! 365487/999999】
【リトルダークマターの闇の波動!】
「!まただ、避けられない…」
「させるか!」
【ハルはTPを3消費し、身代わりを発動した!】
【ハルに1ダメージ! 79/80】
「1!?」
「ああ、これか…俺の固有スキルでダメージが軽減されているんだ。それより…決めちゃってくれ。」
「ああ…言われなくても分かってる!」
【クリスはTPを340消費し、シルバーバレットを放った!】
【攻撃に光属性が付与されます】
【リトルダークマターに490043ダメージ! 0/999999】
【リトルダークマターを倒した!】
…
「それから、彼女は、私達を信用…そして信頼してくれたのかな。徐々に仲良くなって。役割も明確だったから、直ぐに馴染んだんです。」
「ふふ、ありがとうございます、師匠の可愛い一面を知れました。」
「本人はこの話、他所でするな、と言っていましたけどね。今この話をしたのも内緒ですよ。」
「大丈夫です。分かってますよ。」
「…それと。明日は、女王様をよろしくお願いします。」
「あの方は俺がどうこうする迄もない程強いんじゃないですか?少なくともあの方にダメージを与える程の攻撃は俺には防げないと思いますけど。」
「まぁ、そうですね。でも。女王様、時々突拍子もない行動をしたりするんです。どちらかというと見張ってて欲しいと言いますか…。普段はその役を私がやっているんですけどね。」
「ああ…なんとなく分かりました、善処します。」




