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「タロウ君、おかえり。それで、あの後どうなったの?」

「ダンジョンで集団の魔物に出くわしまして…」

タロウは今までの出来事を話した。

「で、結局ランクはS+ってことになりました。アレックスさんは実力相当だって言ってくれましたが、まだ少し不安です…。」

「そう、で、何か依頼を受けてきたの?」

「受けましたよ!これです!」

【依頼・「王宮の騎士」の職 国王の負傷により人手が不足しているため、緊急時の対応や国王の護衛等の仕事が出来る方を募集。 推奨ランク:S+ 要求ランク:S-】

「え、こんな依頼誰が出したの?」

「僕だよ。」

「ああ、ルード?私は別に要らないと思うけど…。」

「いやお前はちゃんと安静にしてろって!」

「ハピは、タロウさんを送った後に全力疾走で王宮まで帰ったから滅茶苦茶怒られたのよ…。」

「えぇ…何してるんですか…」

「まぁでも、タロウ君が護衛なら安心だろう。わざわざ自分で戦う必要はないからな?ハピ」

「はいはい、分かりましたー。」




その夜…

「ハピさんは寝てるけど…マリーさんは、睡眠は必要ないんでしたっけ?」

「必要ないわ。そう言う貴方は?」

「俺は基本的に夜行性なんで、さっき昼寝をしたから大丈夫です」

「あら、そう。じゃあ、聞くけど…」

マリーは神妙な面持ちになった。

「なんか、殺気を向けられてない?」

「そうですね、そんな気はします。野生の勘ってやつですけど。」

「ハピを起こさないように、静かに処理しましょう?」

「はい、分かりました」

【タロウはTPを3500消費し、大魔法「地獄の鎖」を発動した!】

【アルファの敏捷性が99%ダウン!】

「なっ!?なんだこれは…!」

「おっと。静かにして。」

【マリーはTPを26消費し、捕縛の蔓を放った!】

「うっ、なんだこ…!~~!!」

「おまけでこれも付けておくわ?」

【マリーはTPを750消費し、封魔草を放った!】

【アルファの魔法が封印された!】

「こいつはもう抵抗出来ないはずよ。朝になったらルードさんに引き渡しましょう。」

「そうですね、ナイスプレーでしたよ。」

「貴方こそ。あれが無ければもしかしたら逃げられていたかもね。」




「ねぇタロウさん?」

「何ですか?」

「貴方。100%の本気出したことってある?」

「うーん、一回しかないですかね。本当に、いざと言う時に使わないと。というか、やりすぎると暴走しちゃうんです、俺の場合。」

「やっぱり貴方、獣形態を持っているのね。獣人の中でも希少な能力でしょう?」

「ああ、なんだ、知ってるんですね。獣人の中でも2%以下しか解放できないと言われていますね。」

「やっぱりさぁ、」

「はい?」

「貴方やハピ、それにルードさんは、もう先代の英雄に近いか、それ以上の実力を持っていると思うの。」

「まぁ、俺は師匠が、私の弱みを受け継がないように、って育ててくれたから、少なくとも今の師匠になら1vs1では勝てますよ。ただ、戦闘で器用貧乏な俺と、全盛期の師匠、どちらが役に立つかと言われたら…微妙じゃないですか?」

「器用貧乏は謙遜しすぎじゃない?寧ろ、器用大富豪みたいな…」

「いや、なんですかそれ…」

「それほど、貴方の器用さには目を見張るものがあるってこと。あ、気付いてなかったかもしれないけど、私は一昨日の貴方の活躍、見てたからね」

「え?」

「私は【スキル・感覚共有(最上級) 効果:任意の相手に視覚・聴覚・触覚を共有できる。また、任意の相手の視覚・聴覚・触覚を体験できる】を持ってるから、タロウ君の視覚を借りてた。その気になれば【スワップ】で助けに入ることも出来たけど…貴方、結構楽々倒してたし、その必要はなかったわ。」

「見られていたんですね…ちなみに、あの弓はモンスターを見つけたら自動で発射してしまうので、ギルドに売り渡しちゃいましたよ。」

「なるほど、というか、ダンジョン探索の報奨金と併せてそれなりのお金になったでしょう?なのに貴方は今ここで仕事をしている。理由は?」

「それはあの時のお礼みたいなものですね。うちの国を救ってくれたので。」

「でも貴方の強さからして…あの悪魔くらいなら一人でも倒せたんじゃ?」

「俺の攻撃だと多分火力不足で負けますが…本気でやれば、勝てた可能性はありますね。ただ、本当の本気を出してしまうと自分が災害になってしまうので。自分の力の制御が出来ていない、という点が俺の最大の欠点だと思いますよ。その点ハピさんやルードさんには及ばないです。ステータスだけ上がり続けて、精神が付いていけていないのかな…」

「確かに…貴方の弱点はそこね。もっと、自信を持つべきよ。」

「まぁ、何にせよ、彼らは恩人なので、恩返しも兼ねて…というわけです。」

「成程ねぇ。」

「俺からも質問をいいですか?」

「いいけど。何?」

「マリーさんは、本気を出したことはあるんですか?」

「…ないわね。それこそ、災害…いや、そんなレベルでは済まないかも」

「そうですよね。貴女は、どう考えても力の殆どを使っていない。」

「ルードさんのところのあの悪魔もそうね。私達が本気を出したら、まず一番近くにいる私たちのご主人様が被害を被るから、本気を出そうとしてもまず出せないわ。私もあいつも、ご主人様が大好きだからね。」

「ハピさんに分け与えている分の力で、だいたい何割くらいなんですか?」

「何割…だいたい1割2分くらいかしら。それでも、溢れ出てた分の力だけだから、実質的には0割だけど。」

「それは、恐ろしいですね…。」




「もう、朝ね。また明日話しましょう?」

「そうですね。それより、コイツを引き渡さないと…」

「ああ、忘れてた。生きてるかしら?」

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