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「えー、全治約20日ぃ?」
「状態異常耐性があってそれだから、相当な無茶をしたんだろう、お前は」
「不便だなぁ、暫く利き手が封じられるとなるとまともに闘えな…」
「いや、その状態なんだから暫く安静にしてろ!」
「ハピさん、左利きなんですね?」
「ああ、そうだけど…それよりタロウ君、なんか用があったんだっけ」
「そうだった、あのですね…遂に、師匠に、一人前と認めてもらったんです!」
「良かったな、で、なんでここに来たんだ?」
「それは…一人前になったからと言って、今は街の復興も終わったでしょう?何をすればいいか分からなくて。」
「ああ、仕事を見つけたいのか?それなら取り敢えず、アレックスさんのストライクギルドへ行ってみると良い。あそこに登録すればギルドの依頼が受けられるようになるからな。最近は、僕らからの依頼も出しているし。」
「獣人の俺でも登録できるんですか?」
「種族選別をするギルドもあるけど、あそこはとにかく多くの依頼が舞い込んでくるから、何の種族でも関係なく登録できるようになってるよ。」
「でも獣人は多少不利になる可能性があるわ。獣人の長所は敏捷性でしょう?でも、敏捷性はステータスには反映されないから、本来の強さより低いランクを付けられる可能性があるわね。」
「僕らが行ったときのような面接官だったら特にそうだな」
「タロウ君のステータスならそれでもS-くらいのランクはつくんじゃないかな、まぁでも、アレックスさんに直接見てもらうのが手っ取り早いかな。」
「どうやってですか?」
「私が付いていけばいいんだよ、後見人として。そうしたらあちら側もそれなりの対応をとってくれるでしょう。」
「お前、安静にしてろって聞いてなかったのか??」
「大丈夫、付いてくだけだから~」
「まぁ確かにそれは効果覿面だと思うが…」
「でしょ?ほら決まり!そうと決まればほら、さっさと行く!」
「分かりました!じゃあ俺がおぶって…」
「大丈夫!ちょっと走るくらいなら!」
「駄目だろ!行きは僕が転移させるから、帰りはこの転移石を使って帰ってこい」
「転移石!?それ結構貴重な品物ですよね…俺のためなんかに使っちゃっていいんですか?」
「ああそれに関しては、ストームドラゴンを倒したときに大量にドロップしたから問題ない。」
「ドラゴンまで倒したんですか?やっぱり、次元が違いますね…。」
「あら、あの程度ならタロウ君一人でも倒せると思うけど」
「取り敢えず、転移させるぞ。あ、ハピはくれぐれも変な行動はしないように!」
「わかったわかった、じゃあ行ってくる~」
「すいませんー、ギルマスさんは居ますか~」
「アレックスは今、新しく発見されたダンジョンの事について会議を…って、国王様!?」
「あー、ちょっと、この子がギルドに登録したいって言ってるんだけど、私達的にもこの子は期待の星だから、ちゃんとした目でみて力をはかって欲しいの。」
「ちょ、ハピさん、期待の星なんてそんな、荷が重いです…。」
「タロウ君、君は自分の実力を過小評価しすぎなんだよ。俊敏性に長けた呪術師なんて、唯一無二の個性もあるのに。自信を持って?」
「成程、私のスキルでは、全てのステータスを見ることは出来ないので、アレックスを呼んできますね。」
「この子が期待の新星ですか?すいません、獣人の強さをはかるのは難しいんです、一番の個性がステータスに反映されない部分だから、私の目で見てもこの子には数ランク下の評価を付けてしまうかもしれない。それでもいいですか?」
「それは私も分かってるよ。でも取り敢えず、見える部分のステータスだけでもいいから評価を付けてあげて欲しいの。」
「分かりました、どれどれ?」
【スキル・情報開示(上級) 効果:相手の技と通常スキル以外の全てのステータスを閲覧可能】
【《タロウ》Lv.148 HP84000/84000TP14800/14800 AT3602 DF3256 MG7666】
【固有スキル・猛虎の牙(下級) 効果:HPが半分以下の時、攻撃力が100%上昇。1/4以下ならさらに200%上昇。】
「!?」
「スキルとステータス・職業がかみ合ってないのがちょっと痛いけど、ステータスに関しては申し分ないでしょう?」
「実際の戦闘を見てみないと判断はつきませんが、Lvだけで判断してもS+ランクに到達する勢いですよ、この子は…獣人ということは、レッド出身でしょうか?」
「そうですね、そうか、ブルーには獣人の集落は無いんでしたっけ。」
「無いですね。いやぁ、このステータス、流石に【獣王】クリス氏には及びませんが相当なものですよ…一体どこでこんな力を?」
「この子、そのクリスさんの弟子だよ」
「!?」
「大賢者様から聞いたけど、クリスさんは自分が克服出来なかった弱点の補い方を弟子たちに教えてるって言ってた。」
「それは凄いですね…弱点補完した【獣王】になり得るということですか」
「取り敢えず、仮ランクとしてSを付けておいて、一度戦闘を見てあげて欲しいの。」
「成程。では、新しく発見されたダンジョン【山奥の廃坑】の攻略を任せてもいいでしょうか?あそこはAランク相当までの魔物しか発見されていないようなので、Sランク相当のタロウさんの実力を推し量るには丁度いいかと。」
「…分かりました、やってみます」
「タロウさんは後衛職なので、パーティを組んだ方が真価を発揮できそうですね。丁度、Aランク以上の冒険者でパーティを組む予定だったので、そこに入っていただけるといいかなと。」
「よし、決まりね。私は先に帰ってるから、頑張ってきてね!」
「ああ、ハピさん、いい人材を紹介してくれてありがとうございます。怪我、お大事にしてくださいね?」
「うん、じゃあ、タロウ君の事よろしく。」
「この距離、転移石でわざわざ帰るのは勿体ないなぁ…徒歩で帰ろうかな」
「え?ちょっと待ってそれは…」
【ハピはTPを12消費し、スピードスターを発動した!】
【一定時間、敏捷性が1000%上昇します】
【アーティファクト「星の力の石」の効果で、敏捷性が500%上昇します】
【スキル・歩行(最上級)により、空中と水上の歩行が可能になります。】
マリーは頭を抱えた。
「安静にしてろと言われて全力疾走するバカがどこにいるんだよ!」
「ハハハ…」
「やっぱり、こうなるわよね…。」




