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行列のできるスキル鑑定士  作者: ポムの狼


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第6話 アクセサリー職人のフィーネ

 雨の日が嬉しいのはサラだけでは無いらしい。



「次の方、どうぞ」


 サラが呼ぶと眼鏡をかけた女の子が緊張した様子で入ってきた。サラと同じ位か、少し年下に見えた。サラは初めての女性客に喜んだ。


「いらっしゃい! 座って座って!」


 サラはいつになく笑顔だった。

 サラの笑顔で、少し緊張が解れたのか女の子も胸をなで下ろしながら席についた。


「はじめまして、フィーネと言います。この街で冒険者向けのアクセサリー職人をしています。知り合いの冒険者から、相談事は鑑定士のサラにしたら大抵解決すると聞いて…… 今日は雨で男のお客さんがあんまり並んでいなかったので、思い切って来てみました」



 誰だ、そんなデマを流したやつは…… ここはなんでも相談所じゃないぞ……

 でも、女の子のお客様が来てくれたのは素直に嬉しい。店長にレディースデイを作るように提案してみようか……



「なんでも解決できるかは分からないけど…… 話してみて」とサラはにこやかに対応した。


「実は…… アクセサリー職人である父が肩を痛めて先日引退したんです。それで、私が店を引き継いでやっているのですが、いまいち上手くいかないというか……」


「上手くいかないって言うのは?」


「父がやっていた時ほど売れないんです。商品の出来上がりは父がチェックしてくれているので、出来は問題ない筈なんですが」


「商品は持ってきている?」


「はい、こっちが父が以前作った物で、こっちが私が作った物です」


 フィーネは左にフィーネの父が作った腕輪、右にフィーネが作った腕輪を置いた。


 サラは【鑑定】を使って二つの腕輪を見比べたが、性能には殆ど差がなく、二つとも防御力が上がる効果の腕輪のようだった。


「私が【鑑定】しても、性能に差は無いみたいね。二つとも防御力上昇の効果が付いているわ」


「すごい! アクセサリーの鑑定もできるんですね! その通りです。『守りの腕輪』という商品名でうちの店で作って売っている物です。うちの定番商品なんですが、代替りしてからいまいち売れなくなってしまったんです」


「そうね……… 恐らくだけど、顧客はお父様の経験や技術を信頼して今までは買っていたけど、娘に代替りした事で信用度が落ちた……といった所じゃないかしら。

 冒険者は命にも関わる仕事だから、慎重に慎重を期したいのではないかしら」


 サラの鑑定にフィーネはショックを受けた顔をした。


「そんな! じゃあ、どうしたらいいんですか? そんなの私の力じゃどうしようもありません!」


 サラは頭を捻った。そして、【鑑定】を使ってフィーネのステータスを見た。



 そうだ……いい事を思いついた……



「こういうのはどうかしら? 私がフィーネの商品の鑑定書を書くわ。

 私、一応人気鑑定士だから、私の鑑定書が付いていれば、信用度も担保できると思うわ」


「え!? いいんですか!?」


「ただし、手数料を貰うのと、私が鑑定屋の仕事が休みの日しか書くことができないけど、それでも良いかしら?」


「もちろんです!」


「では、契約書を作りましょう」


 サラは紙に契約内容を書き出し、自分のサインを入れた。


「内容を確認して、問題なければフィーネのサインもここに書いて」


 フィーネは契約書の内容をよく確認し、サラのサインの下に自分の名前も書き加えた。


「よし、これで契約成立ね」


 サラはフィーネと握手した。フィーネは可愛らしい笑顔を浮かべた。


「こちらこそ、よろしくお願いします!」



「あとね、フィーネのステータスを見たら『器用さ』と『デザイン力』の数値がとても高いのだけど、本当は既存の商品以外も作ってみたいんじゃない?」


 フィーネは目を輝かせた。


「そうなんです! ほんとは女性向けの華奢なデザインのアクセサリーも作って見たかったんです!

 でも、冒険者ってやっぱり男性の方が多いから売れないかなと思って作ったことなかったんです」


「女性の冒険者もいるから、多くなくてもいいけどど少しは作ってもいいと思う。店内に女性客が増えると男性が入りにくくなってしまうから……

 レジ横に少しだけ陳列してみましょう。恋人とか奥さんがいる男性客にも、もしかしたら売れるかもしれないし」


「わぁ! ありがとうございます! やってみます!」


「喜んで貰えて良かったわ。明日、鑑定屋は定休日だから、鑑定書書きに行くね」


 フィーネは何度もお辞儀をしてから、鑑定室を出ていった。



「ふふふふふ……」


 サラは笑いが止まらなかった。



 これで、副収入を得る手段を得たぞ…… 独立に一歩近づいたわ………





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