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行列のできるスキル鑑定士  作者: ポムの狼
雪踏み

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第16話 帰ってきたブルームトといなくなったサラ

 魔王は約束通り、ルビンの誕生日の翌朝にブルームトとパウラを見送ってくれた。


「また、いつでも帰ってきなさい。これも渡しておこう」


 魔王は黒い魔石をブルームトに渡した。

 出来ればもう二度と使いたくないとブルームトは思ったが、断るのも変なので素直に受け取る事にした。


「ありがとうございます」


「勇者も、ブルームトの事を助けてくれたと聞いた。残りの人生、息災でな」


 魔王はパウラにも挨拶をしたが、パウラは「ふん」と言って返事をしなかった。


「では、転送するぞ」


 魔王がそう言うと、ブルームトとパウラの足元に紫色の魔法陣が浮かび上がり強く光った。光が消えるとブルームトとパウラは魔王城から消えていた。





 ブルームトとパウラはフォルト村の前に転送されたようだった。ケートスとの戦闘の時は氷漬けになっていた村だったが、氷は溶けて日常生活を取り戻しているようだった。


「嘘だろ……… ブルームト……パウラ……」


 ブルームトが振り返った先にいたのはクリストフだった。ブルームトはクリストフの顔を見てぱっと笑顔になった。


「クリストフ、ただいま」


 クリストフは雪を踏みしめながらブルームトに近づいてブルームトの顔を殴った。

 ブルームトは何が起こったのか分からず尻餅をついて呆然とした。


「……ただいまじゃないだろ!!どれだけ心配したと思ってんだ!!

 ……俺は、てっきりブルームトとパウラは死んだものだと思って……」


 クリストフはしゃがみ込み、膝を抱えながら泣いた。


「ご、ごめん……」


 ブルームトは慌てた。友人が自分のせいで泣いているのを見るのが辛かった。

 パウラがしゃがみ込みクリストフの背中を叩いた。


「ブルームトは私を助けようとして、しばらく遠い所に転移していたんだ。おかげで死にそびれちゃったよ。ブルームトをあんまり責めないでやってくれ」


 クリストフは涙を手袋でゴシゴシ拭くと立ち上がり、ブルームトにも手を貸して立たせた。

 ブルームトは立ち上がったクリストフをぎゅっと抱きしめた。クリストフもブルームトを抱きしめて、背中を叩き再会を喜んだ。


「これで仲直りできたかな?」


 ブルームトは心配そうにクリストフの顔を見た。


「仕方がないな。先輩は後輩に優しくしなきゃいけないからな」


 クリストフはいつもの笑顔のクリストフに戻っていた。

 ブルームトはほっと胸を撫で下ろした。



「サラは元気にしているかい? あの子の事だから、酷く落ち込んだんじゃないかい?」


 パウラはクリストフにサラの近況を聞いた。


 クリストフの顔がまた曇り、ブルームトはその顔を見て嫌な予感がした。


「サラの落ち込みようったらなかったよ……

 俺はブルームトとパウラを探すために、あれからほとんどフォルト村にいたんだ…… サラのことはアルマに頼んできたんだ。

 そしたら、こないだサラから手紙が届いて……」


 クリストフはポケットから一通の手紙を出した。

 ブルームトはそれを奪うように取って読み始めた。






 クリストフへ


 元気にしていますか?

 あまり無理をし過ぎて風邪を引いたりしていないか心配です。また、近況を手紙でもいいので知らせてください。


 話は変わりますが、私はクリストフや皆に黙っていた事があります。

 私は、実はフラン王国のバロン男爵の姪にあたります。亡くなった私の父は先代男爵でした。

 私は叔父に無理やり結婚させられるのが嫌でイーツに逃げていたのです。


 先日、私の婚約者を名乗る方が私を迎えに来ました。話をよくよく聞いてみると、叔父のバロン男爵は私の婚約で多額の金銭を受け取っているらしく、これ以上逃げられそうもありません。

 相手の方はフラン王国のベランジェ辺境伯という方で、悪い方ではなさそうです。なので、諦めて結婚しようかと思っています。


 急な知らせになってしまって申し訳ないです。相手の方がすぐにでも領地に来てほしいとのことなので、すぐに引越すことになりました。クリストフと直接お別れができないことが寂しいですが、どうか元気でお過ごしください。


                 サラより





 ブルームトは手紙を読んで呆然とした。パウラもすぐにブルームトから手紙を奪い取り読んだ。




 パウラは笑った。


「サラのやつ……素性を明かさないとは思っていたが、こんな事情があったとはね。

 お前たちには気の毒だが、私は賛成だよ! その何とかって辺境伯の所に嫁に行ったほうがサラはよっぽど幸せだ!

 いつ死ぬか分からない冒険者の嫁になんて、ならない方がサラのためだ! あの子は心配性だからね。お前たちのどちらかと一緒になったら、あの子はいつか心労で倒れちまうよ!」


 それでもブルームトは諦められなかった。


「サラに会いに行く……」


 ブルームトの言葉にパウラは怒った。


「やめな! サラだって悩んで決断しただろうに、お前が会いに行ったら、サラが苦しむ事が分からないのかい!?」


 ブルームトはクリストフを見た。


「クリストフはいいの!? このままサラが結婚してしまっても!」


 クリストフは眉間にしわを寄せている。


「………俺も店長と同じ意見だ……

 だから、追いかけなかった。悲しい気持ちはあるけど、サラが幸せになるなら、俺はそれでいいと思ってる。相手が俺であろうと、お前であろうと、辺境伯であろうとだ」


「もういい……」


 クリストフのカッコつけめ……

 俺はどうしても諦められない。


 ブルームトが二人を置いて行こうとした所に、パウラが回り込んで立ちはだかった。


「行っちゃだめだ! どうしても、行くと言うなら私を倒してからにしな!」


 パウラは背中に背負った斧を持って構えた。


「ワォーーン」


 ブルームトは空に向かって遠吠えした。するとブルームトは狼の姿に変わっていた。


 パウラの横をすり抜けてブルームトは走った。


 後ろからパウラがブルームトを止める声が聞こえたが、ケートス戦で足を痛めたパウラはブルームトを追いかけることができないようだった。




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