第8話 犠牲
ケートスは雪山を登り、崖の前で止まった。崖の下を見たが、とても飛び降りられる高さではないと判断したらしい。もたもたしている内に冒険者たちに取り囲まれてしまった。
ケートスは足をバタつかせて抵抗した。地面が揺れて冒険者たちは地面に膝をついた。
その隙にケートスは凍った口先を前足で必死にかいた。ブルームトが苦労して凍らせた氷がケートスの皮膚と一緒にポロポロと落ち始めた。
ケートスの口はまた開いてしまった。顔中から血を流していたが頭を天に向けて氷の咆哮のモーションに入った。
「させないよ!」
パウラが高く飛び上がり、ケートスの顔目掛けて斧を振り下ろした。パウラの斧はケートスの鼻先に深く刺さり、ケートスは叫び声を上げた。
氷の咆哮は来なかった。しかしケートスがパウラの右足にがぶりと噛みつき、離さない。パウラは気を失い、足から逆さまに宙吊りになってしまった。
「パウラ!!」
ブルームトはパウラの名を呼びながら走った。
――このままではパウラが死んでしまう。
ブルームトはサラの顔が脳裏に浮かんだ。
ブルームトも高く飛び上がりケートスの頭に飛びついた。剣をケートスの口に差し込み、パウラの足を抜こうとしたが、なかなか抜けない。
その時、ケートスが立っていた地面がグラグラと揺れて崩れた。崖の一部が崩れ落ちたのだ。
「ブルームト!! パウラ!!」
クリストフは二人を助けようと走ったが間に合わなかった。
ケートス諸共、二人は崖の下に落ちてしまった。崖の下は深い谷になっていて、大きな川が流れていた。ケートスと二人は川に落ちて見えなくなった。




