第7話 第二陣
「氷の咆哮は前兆があるみたいだ! 皆でカバーしながら、一斉攻撃だ! 行け!」
エドウィンのかけ声で、冒険者隊が動き出した。
パウラがすぐに前線に出て、斧を構えた。パウラの斧が輝き出し、ケートスの敵視を集めた。
「隙は私が作る! お前たち! 援護しな!」
ケートスはすぐに前足でパウラを攻撃したが、パウラ身軽な動きでかわしていく。とても現役を引退した冒険者の動きには見えなかった。
パウラの声と動きで、冒険者一同は鼓舞された。
「ブルームト! 奴の氷の咆哮を止められないか?!」
エドウィンがブルームトの近くまで駆け寄ってきた。
「咆哮の前に大きく息を吸い込む必要があるみたいだった。鼻と口を凍らせてしまえば出せないと思う」
「できそうか?」
「できるけど、あれだけでかいと詠唱に時間がかかる。それまで時間を稼いでほしい」
エドウィンが頷いて、全員に支持を出した。
「分かった! 魔法部隊はパウラにシールド魔法と回復!
他の奴らは奴の尻尾を狙って攻撃だ! ブルームトのカバーはクリストフに頼んだぞ!」
エドウィンは指示を出すと自分も剣を抜いて前に出た。
剣を持った冒険者たちが一斉にケートスの尻尾に斬りかかる。パウラに注目していたケートスは尻尾に近づく冒険者に気が回っていなかった。尻尾を切りつけられて、初めて気がつき大きな声を上げながら尻尾を振り回した。
ケートスは足に力を入れて飛び上がり前後を入れ替えた。今度は尻尾を攻撃してきた冒険者たちを排除する算段のようだ。口を大きく開けて、冒険者たちに突っ込む。
ブルームトは焦った。いつもならこのタイミングで氷壁を出すのは自分の役目だが、今はそれができない。
「クリストフ! カバーだ!」
「言われなくても!」
クリストフはケートスの足元に土魔法で大きな岩を出現させた。ケートスは岩に躓き、前方に大きく倒れ込んだ。
「おまけだ!」
クリストフは太ももに下げていた投擲用の小型ナイフをケートス目掛けて投げた。クリストフのナイフは吸い込まれるようにケートスの目に命中した。
「グオォォォォォ!!!」
ケートスは苦痛の鳴き声を上げ、前脚で目を引っかいて刺さったナイフを抜こうと必死だ。
「もらったぁ!!」
民家の屋根の上から大剣構えたグスタフが飛び降りながらケートスの尻尾に強力な一撃を食らわせた。
ケートスは尻尾を切り落とされてパニック状態だ。大きく息を吸い込み氷の咆哮の準備に入った。
「ブルームト!」
エドウィンがブルームトを見た。
「大丈夫、間に合った!」
ケートスの長い頭を光る魔法陣が囲った。魔法陣が大きな光を放ち、消えるとケートスの鼻先から徐々に凍り始めた。ケートスは辛うじて口の端の方で呼吸はできるようだが、口を塞がれては氷の咆哮は使えないようだ。
ケートスは本能的に自分の不利を悟ったらしく、逃走を始めた。村の民家を壊しながら、トカゲのように一直線に逃げていく。
「逃がすな!! 追え!!」
エドウィンの声で、全員がケートスを追いかけた。




