第5話 決戦前夜
王都から出発した一行は、北部で一番大きな街のメルンに到着した。イーツ全土からSランクモンスターの討伐の為に兵士や冒険者が集まり、街は人でごった返していた。
しかし、宿屋などに全員宿泊できるほどの空きはなく、街の外にテントを張って過ごす他なかった。
テントを張りながら、クリストフとブルームトは話をした。
「雪が降ってる時期の野営は初めてだ…… ブルームトはやった事あるか?」
「あるよ」
ブルームトは魔王軍時代の雪山訓練を思い出した。
「空気穴だけ残して、隙間風が入らないように雪でテントの隙間を埋めると割かし温かく過ごせるよ」
ブルームトは昔、上官に教えてもらったことをそのままクリストフに教えた。
「なるほど! さっそくやろうぜ!」
テントを張り終え、中で食事を取っているとエドウィンが様子を見に来てくれた。
「明日はいよいよ討伐戦だ。しっかり休んでおくように。
目標のSランクモンスターにはケートスという名前がつけられた。クジラのような巨大に手足が生えているらしい。ケートスは現在、隣の村を占拠している。
我々が担当するのは第二陣だ。国軍が先発を務めて、その後スイッチして、敵を叩く流れだ。国軍が対応してくれている間にできるだけ敵の事を分析してくれ」
「敵の弱点などは分かっているのですか?」とブルームトは食べながらエドウィンに聞いた。
「弱点は不明だ。現在分かっているのは、口から大量の冷気を吐いて、凍った人間を食べると言うことだけだ。住民もだが、北部に駐屯している兵士が既に何人も犠牲なっている。油断しないように」
「そうなんですね……」
冷気を使う敵はブルームトとは相性が良くなかった。氷魔法を使っても、ダメージが入らない可能性が高いからだ。
武勲を立てないとS級に昇進できない……
今回を逃したら、あと何年待つか分からない
ブルームトは討伐戦で生き残ることよりも、どうやって討伐に貢献できるかを考えていた。
冒険者は皆、志願して参加しているので、恐らく考えていることは皆同じだろう。
エドウィンが付け足した。
「今回の魔物はかなり強い…… もしものことを考えて、家族に手紙を書くなら、メルンの領主に預けていくから今晩中に書いてくれ…… じゃあ、明日も頼んだぞ」
エドウィンは心苦しそうな顔をしながら出ていった。
「手紙書くのか?」とクリストフがブルームトに聞いた。
「実はもう書いてきてある」
ブルームトは防寒着の胸ポケットから手紙を一通出してクリストフに見せた。
「準備いいな…… こういうの初めてじゃないのか?」
「まぁ、そんなところだ」
魔王軍時代も自領に強力な敵が現れた時などに必ず手紙を書かされたし、自分が将軍だった時は部下に必ず書かせた。
「じゃあ、俺は母さんとサラに書こうかな……」
クリストフは冒険日誌を書くのにいつも使っているノートのページを二枚切り取り、冒険日誌を下敷きにして手紙を書き始めた。




